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私の帰る場所  作者: 常盤周
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着替えて

食堂に行くと兄上が待っていた。


「お待たせしてしまいすみません兄上。」

「いや、さあ食べよう。」


祈りを捧げて食べ始める。

食べながら癒しの森に同行した奴らの裏切りを報告し、そのあとの事はリリーに聞いたと世話になった事を話す。

そして今日

帰ってくる時に試練の森でモンスターが出なかった事も伝える。

兄上は同行した奴らからユーグがモンスターにやられたと聞いて一瞬頭が真っ白になったがそいつらに詳しく話せと言うとモンスターにやられるところは見ていない、モンスターが出てきたのでユーグを置いて逃げたと言い出したらしい。ユーグを見殺しにしたのかと思ったら1人が泣きながら謝罪を始めた。マチルダ嬢にユーグを殺せと。そうすれば金を払ってやると。前金で幾らか貰ったから殺せば残りの金も貰えると思い実行したらしい。愚かだ。

そいつらにユーグを探してこいと、最悪遺体でもいい身に着けていたものなんでもいいから持ち帰れ!見つけるまで帰ってくるなと言って逃げない様に森まで送ったと言われた。

それから戻ってきてないから別の町に行ったかはわからないし、森でモンスターに襲われたかもしれない。血の匂いでそっちにモンスターが集まってユーグの方に出なかったのかもなと言われた。

なるほど。

それでも全然出ないのも不気味だがリリーがいたから

襲われなくてよかった。

それにしてもマチルダ嬢はなんなんだ?


食事が終わり談話室に移動する。

お茶を飲みながら


「マチルダ嬢は何を考えているんですか?セルリエ伯爵は何も言わないんですか?」

「抗議の手紙を出したし、マチルダ嬢が父上にした事で身柄を拘束している事も伝えた。が…伯爵は病に伏せていると。マチルダ嬢はユーグではなく私と結婚したいと言っていたからその願いを叶えてほしいと夫人から返事がきた。」

「はぁ?」

「マチルダ嬢もユーグを殺すように言ったがまだ生きているのかわからないしユーグとの結婚を認めて貰った後、ユーグが生きていないとなれば今から婚約者を探すのも難しいから私に責任を取れと言って結婚するつもりだったようだ。」


兄上が顔を顰めながら言う。


「いやいや。俺は婚約者でもなんでもないのになんで兄上に責任?ってか兄上には義姉上とカミーユがいるのに何を考えて…」

「お前に結婚しろと言いながらどこかで私を見たのだろう。お前から私に標的を換えただけだ。見目の良い男なら誰だっていいんだろう。私の顔しかいらないから私が結婚している事も知らない。まぁそれが幸いして2人を害されなくて良かったよ。父上もお前との婚約すら認めていない。多分お前と父上がいなくなれば邪魔する者はいないと思ったんだろう。自覚はないが辺境伯当主を亡き者にしようとしたんだ。それ相応の処罰がくだるだろう。」


確かに兄上は顔が良い。小さな頃からモテていたし、周りからも兄を紹介しろとよく言われた。

俺の顔もそれなりだが兄には負ける。

兄弟なのにこんなにも違うなんてとよく言われたもんだ。

学園に入ってからマチルダ嬢に付き纏われたが公爵家、侯爵家の子息と親しくなったらしく離れていった。

正直ホッとした。

いくら言っても話しても言葉が通じないから本当に困っていたんだ。

それなのに学園を卒業してから5年…

いきなり婚約者だからとドレスを買って宝石をプレゼントしろって…

家に先触れもなく現れた時は頭が痛くなった。

伯爵家に抗議の手紙をだしても婚約者なんだからと惚けた返事がくる。婚約者ではないと言うのに娘もいい年だから結婚しろと言われてもふざけるなとしか言いようがない。


「すみません兄上。俺が変なのに目をつけられたばかりに…」

「いやユーグのせいではない。あの女が…いや伯爵家自体がおかしいだけだ。いくら断ってもわかっていない。言葉が通じないのはおそろしいな。」


2人揃ってため息を吐く。


「まあ、客人が報告してくれるから大丈夫だろう。陛下も父上の事を気にしているらしい。父上の気持ちを考えて当主交代の打診だったんだが…」


あの日俺が森で襲われ父上が倒れた日…

兄上を訪ねてきた来客は陛下の使いだったようだ。

陛下と父上は学園の同級生だ。

側近でもなく単なる同級生でしかない。

それなのに陛下は父上を気にしている。

学園時代の事を忘れていないのだろう。


1年程前事故で片足が動かなくなり杖をついて歩くようになった。それでも母上とゆっくり歩きながら散歩を楽しんでいたのに数ヶ月後母上が病で亡くなった。それ以来父上は生きる気力がなくなったかのように部屋に篭ることが多くなった。それでも孫が生まれてからは部屋に篭る事は少なくなったが…


義姉上も10日程前にカミーユを産んだばかりだ。

兄上は産んだばかりだからゆっくりしていればいいと部屋から出る事を禁じて自分が会いに行っていた。

本当に2人に何もなくてよかった。





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