002:異界への扉
更新二日目です。
双子山の入口に到着すると、そこは聞いていた通り扉が設置されて南京錠で封鎖されていたので、持参したカギを使って南京錠を外す。
「かえでちゃん、今日はちょっと覗くだけだからね」
「りょっ!」
一歩中に踏み込むと、外と違って大気が冷えてヒヤッとする。
でも、外光が完全に遮断されているため、入り口周辺以外は真っ暗闇。全く何も何も見えなくて、通路がどれくらい続いているのかもわからない。
「うわっ! 真っ暗闇だわ……」
「かえでちゃん、もしかして怖いんじゃ?」
「そ、そんなことないにょ」
ぷぷっ、噛んだ。
かえでちゃんでも暗闇は怖いんだ、メモメモ。
とりあえず持参したランタンのスイッチをオンにすると、LED製ランタンの灯りで、辺りの暗闇が払拭される。
そこには、幅約90センチ、高さはかえでちゃんよりも低くて150センチ位の高さの、土壁で形成された細い通路が真っ直ぐに伸びていた。
周囲を見るために、ランタンを上下左右に動かしてみたけど、壁以外は何も見えず虫とかも見当たらない。
涼しいせいなのかな?
「この通路の数メートル先に行くと、隣へつながる部屋への扉があるはずなんだけど、今日はそこまで行ってみる?」
「そ、そうね」
わたしもそこまでの情報しか知らない。扉の先へは行ったことないし。
かえでちゃんは頭を低くして、わたしの服の裾をちょこんとつまみ、通路を進むわたしの後ろをついてくる。
無言で足を進めるわたしたち。
ランタンの明かりが二人の周辺だけを照らし、こつんこつんと足音だけ響き続ける。
ランタンは失敗だったかな。フラッシュライトなら、入口から奥の扉までライトを照らせたかもしれないのに……。
ようやく扉の前に到着する。
そこには、扉……というよりは、通路と同じ位の大きさの木枠がはめ込まれているような感じで、簡単に外せそうな感じだ。
「かえでちゃん、ランタンお願い」
「んっ」
かえでちゃんにランタンを渡し、左右に付いた取っ手みたいな部分を掴み、木枠を引っ張ってみると思った以上に簡単に外れ、奥には八畳くらいの部屋があり、通路と違い天井までは2メートル位ありそうだ。
かえでちゃんには扉までって言ったけど、もうちょっとだけ進んでみようかな。
そう思い一歩踏み出すと、入った瞬間に違和感を感じる。
「あれ? なんだろう……。かえでちゃん、この部屋なんか変じゃない?」
「うん……なんだかおかしい?」
なんだろう……。通路に比べて空気が澄んでるというか快適な感じ?
なんだかエアコンで室内温度が管理されている上、空気清浄機できれいな空気が保たれているって感じなんだよね。
「ねえ、メグっち。周りがなんかおかしいよ」
「えっ?」
かえでちゃんの指摘に周辺を観察すると、片隅には棚があり、いくつか道具らしきものが置かれているのが分かる。
日本刀みたいな剣とか杖とか色々な道具やバッグなどなど、ちゃんと整備されていて、とても古墳の出土品とは思えない。
「道具があるね。何でこんなにピカピカなの?」
「うん、そうだね……じゃなくて、それも不思議なんだけど、そもそも、ここに来るまでの通路って真っ暗だったよね」
その話にハッとなるわたし。
そうだよ。何でこの部屋はこんなにちゃんと見えるの? 薄暗くはあるけど、部屋の中に何かあるのかはっきり見える。
「そうだよ。棚の道具がこんなにはっきり見えるなんて……」
そう言いながら、わたしは杖を手に取ってみる。
すると、頭の中で、突然謎の声が聞こえてきた。
「管理者に【大空メグミ】が追加されました。ゲートを繋げますか」
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[接続先ゲート]
▶ ダンジョン都市テトラ付近森林
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「えー!!! な、なにっ???」
「どうしたのメグっち!!」
ドキドキしながら、わたしは道具の方へと指を向ける。
「かえでちゃん……刀を持ってみて」
「うん……いいけど……」
日本刀を手に取るかえでちゃん。
「うえぇぇぇ?」
かえでちゃんも奇声を上げる。恐らくは、かえでちゃんも同じ状況になったみたい。そして頭の中に浮かんだ表示にかえでちゃんが追加される。
「管理者に【大空メグミ】【深山かえで】が追加されました。ゲートを繋げますか」
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[接続先ゲート]
▶ ダンジョン都市テトラ付近森林
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「か、かえでちゃんも見えた?」
「うん、声も聞こえた……」
同じだ。
「これ、繋げてみてもいいよね?」
「うん……つなぐように意識するといいのかな?」
戸惑いながらも、繋ぐことを考えてみる。
すると、「選択したゲートに接続しました」の声とともに、正面の壁だった部分の先に、うっすらと森林が映し出される。
まるで壁の向こう側だけ、別の場所につながっているみたいだ。
手を添えると、手は壁をすり抜ける。
戸惑いながらも一歩踏み出す。
その瞬間、身体全体を押し潰すような圧迫感と、身体が宙に浮いたような不思議な感覚に襲われた。
次の瞬間には、わたしたちは別世界と思われるその世界へと踏み込んでいた。




