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夏休みの課題を進めたら異世界への扉が開かれた  作者: ももんが


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003:出会いと魔法と魔物討伐

更新三日目です。

「ホントに移動できた……」

「すっごいなー」


 わたしもかえでちゃんも、森のど真ん中で百二十パーセント困惑中。


 ゲートを潜ったら、そこは見たこともない草木がうっそうと茂った密林で、信じられないほど異世界感が漂っている。


 ここが「ダンジョン都市テトラ付近森林」だとしたら、近くを探せばテトラって都市が見つかるのかな。


 夏休みの課題を準備していただけなのに、どうしてこうなった?


「かえでちゃん、勢いで来ちゃったんだけど、どうしようか」

「いやいや、連れてきたのはメグっちだからね。私は連れてこられただけだし」

「あははっ、だよねー」


 勢いで来ちゃったから、何の道具も持って来てないんだよね。


 いきなり動物とかに襲われたらどうしよう。せめてナイフくらいは持ってくるべきだったのかな。


 そういえば魔力? みたいなのを感じたから、本当に魔法とか使えちゃうのかな。


 それはちょっとワクワクするかも。


 おばあちゃんはイメージが大事って言ってたけど、想像すればうまく魔法が使えちゃうとか?


 例えば、炎のイメージができていれば、ファイアボールみたいな魔法もできちゃうとかかな。


 そんなことを思いながら、手のひらを上に向けて、その上に火のイメージをしてみる。


 すると、手のひらの上に二~三センチくらいの火の塊ができた。


「お! か、かえでちゃん……ま、魔法が使えちゃった!! 見て、見て、わたしの手っ!」

「えーーーーっ、な、なんで? どうやったの?」

「手のひらの上に火のイメージをしただけなんだけど……。かえでちゃんも試してみてよ」

「うん、やってみる」


 かえでちゃんが、わたしと同じように手のひらを上にして、ぶつぶつ言いながら自分の手を見てイメージしている。

 すると、かえでちゃんの手のひらの上で、ポスンと音を立てて、一瞬だけ炎の塊ができて消える。

 まるで、引火しやすいものに着火して、小さな爆発が起きたあと、すぐに燃え尽きた感じに見えた。


「おー、できたじゃんー」

「むむむん、なんか違うぅ」


 かえでちゃんが思い描いていたイメージとは若干違ったらしく、その場で可愛らしく悶えている。

 わたしはその隣で、どんなイメージで爆発した感じになったんだろうと考え込む。

 密室での粉塵爆発とかをイメージすれば、ボンッってなるかな……。


 近くでボンッってなったら怖いから、自分から五メートルくらい離れたところに、三十センチほどの範囲に密集した粉塵に引火するイメージをしてみる。


 すると、ドンッと大きな爆音とともに、一メートルくらいの範囲が爆発したような感じになる。

 その音に驚いた動物たちは、叫び声とともに足音や羽ばたき音を響かせ、辺りは一気に騒然となる。


「あっ……やっちゃった」


 思わず声を上げるわたしを、それはもう飛び出んばかりに目を見開いたかえでちゃんが、震え声で問いかけてくる。


「メグっち……何しちゃってんのよ……」

「いやー、ちょっとだけ化学っぽいイメージを取り入れてみたらね。ドンッってなっちゃった。あはっ」


 おちゃらけて誤魔化そうとしてみたら、すごい顔で睨まれちゃった。

 ゴメンて。

 こんなにイメージ通りうまくいくと思わなかったんだよ。

 次からはちょっと気を付けようと、わたしは心の中で猛省した。


 そんなとき、わたしたちの後ろから、がさごそっと何やら人の気配がする。


「あら? こんなところに可愛らしい娘が二人もいる。どうしたの、迷子?」

「「うひゃい」」


 まさか、突然後ろから女性に声をかけられるとは思わなかったわたしたちは、驚いて抱き合いながら変な声を上げてしまう。


「あははは、ごめんごめん。脅かしちゃったわね。でも、こんな森の奥に子供がいたら、心配で声を掛けちゃうわよ。しかも、なんか大きな音が聞こえてくるし」


 声の方に振り返ると、そこには二十歳代前半くらいの、綺麗なお姉さんが立っていた。


 ロングテイルスカートに黒のホットパンツ、深い赤系のジャケット、ヘソ出しインナーという格好。

 エロさと格好良さがミックスされた、素敵なコーディネートだ。

 しかもジャケットは何か動物の皮を加工したものっぽく、表面が少しゴツゴツしていて、ワイルドさも併せ持っている。


 腰には、日本の太刀に似た物が一本、そして脇差しが一本下げられていて、目を引く。

 これがお姉さんのメイン武器になるのかな。

 異世界で日本の脇差を普通に佩いているのを見て、ここは日本じゃないってことを実感する。


 普通に太刀を佩いているのを見て、ここは日本じゃないってことを実感する。


 ただ、かえでちゃんの印象はわたしとは違って、腰の太刀に目を輝かせている。

 何やらうずうずしているし。

 そうか!

 かえでちゃんのおじいちゃんは居合の師範だっけ。

 かえでちゃん自身も道場に通っているし、刀剣マニアだもんね……。


 そういえば、なんで言葉が分かるんだろう。

 ここ、異世界だよね?

 今更ながら疑問……。


 そんな疑問を察してか、お姉さんから歩み寄ってくれる。


「あー、わたしの名前はトリビア。いったい、こんな山奥で何してた?」

「えーっと……魔法の練習?」


 まあ、嘘じゃない。


「へえ、こんなところで。もしかして、さっきの大きな音もそうなのかしら。でも、この辺は魔物が結構いるから危ないわよ」


 そう言いながらお姉さんに見つめられると、より強い魔力が身体を通った感覚がほんの一瞬だけして、ブルッと身震いする。


「なるほど、なるほど……」


 顎に手を当てながら、少し考え込むお姉さん。


「じゃあ、あなたたちの魔法、少し見てあげましょう」

「「えっ」」


 ちょっとびっくり。

 突然知らない人が魔法を教えてくれるって、ちょっと怖いんだけど。

 警戒レベルが二段階くらい上がる。


「警戒することはいいことだけど、今は不要よ。こう見えて私はAランク冒険者。若い子の育成は義務みたいなものなんだから」


 冒険者……そうか、冒険者か。


「まあ、ランクが低い冒険者の中には、ヤバいのもいるけどね。ところで、あなたたち名前は?」

「わ、わたしはメグミです」

「わたし、かえでっす!」

「めぐみちゃんとかえでちゃんね。じゃあ、わたしの指先と向こうの木を見ててね。まずは知ってるとは思うけど、初歩的な魔法ねーーファイアボール!」


 お姉さんが近くの木に手を向けるように唱えると、その手の先から炎の塊が打ち出され、数十メートル先にある狙った木に命中して爆裂する。


「おお!」

「すげー!」


 わたしとかえでちゃんは興奮して声を上げる。


「じゃあ、次はあなたたちね。魔法はイメージよ。炎の塊を作って、向こうの木に打ち出す想像をしてみて」


 あ、おばあちゃんと同じことを言ってる。

 魔法はイメージって。

 なんか不思議。

 思い出にふけっていると、かえでちゃんがやる気になり、一歩前に出る。


「じゃあ、わたし試してみる!」

「おっけー。じゃあ、やってみて」


「うむむむーん」


 って唸って指先にイメージしているみたい。

 かえでちゃんの指先に、数秒で小さいけど炎が灯った。


「ファイア・ボーーール!」


 叫ぶと同時に炎の塊が、お姉さんのそれとは若干遅いというか、少しふらふらっとした感じで、数十メートル先の木に向かって無事発射された。

 お姉さんよりも威力は低そうだけど、大成功だ。


「わー、やたっ!」

「やったね、かえでちゃん」

「えへへへっ」

「じゃあ、今度はわたしがやってみるね」


 指先に炎のイメージをすると、赤い炎が指先に灯る。

 もっと熱くすることもできるのかなと思い、さらに高熱をイメージしていくと、炎が青色へと変わり、お姉さんの顔が「えっ?」って感じの驚き顔になる。

 そういえば、密室で小麦粉とか撒き散らされたところに、火の気があると大変なことになるんだっけ。

 そうそう、粉塵爆発だ。

 あの木の周辺に、粉が撒き散らされているイメージってできるかな……。


 よしっ!


「ファイア・ボール!」


 呪文を唱えると、青い炎が木へ向かって射出される。

 そして木に到着する瞬間、広範囲に広がった粉に着火したらしく、ファイア・ボールが着弾した「ボン!」という音とともに、「ドドドドンッッ」と爆発が起こり、轟音が鳴り響く。


「な、な、な……何したの!」


 お姉さんがびっくりして声を上げるので、「いやー、えへへ……」と照れながらイメージした内容を説明すると、複雑そうな顔をしながらも納得してくれた。


「あんたたち、中々やるじゃない。せっかくだから魔物討伐もやってみようか。さっきの衝撃で、少し魔物が集まってきてるみたいだしね」


 なんか物騒なこと言ってるけど、わたしたちの才能を認めてくれて、動く的への攻撃をする練習もすることになった。


「あれはマッドボア。来るわよ!」


 お姉さんが叫ぶと同時に気配を感じる。

 すごく直線的だ。

 ドコドコとした足音を響かせながら、左右に広がったキバが二本と、上下で長さの違う 角が二本生えた、体長一メートルくらいのイノシシみたいな魔物が突進してくる。

 あれ?

 何かに似ているな……。

 あっ、分かった。

 キバと角の配列が、まんまコーカサスカブトムシ!

 すごい勢いで直進してくる。


「攻撃が難しそうなら、左右どちらかによけてみて!」


 なるほど。

 動きはまんま猪か。

 猪は急に曲がれない。

 ぶつかりそうになる直前、わたしとかえでちゃんは左右に回避。


 ほっほほー、うまくいった。

 しばらく直進した後、ようやく停止してこちらに向かって回頭。

 その間に、わたしとかえでちゃんは魔法の準備。

 再びこちらに向かって走り出すコーカサス猪……じゃなくてマッドボア。


「「ファイア・ボール!!」」


 二人同時に魔法を発動。


 無事マッドボアに命中して、マッドボア討伐に成功した。


「これ食べれるんかな」


 さすがかえでちゃん。

 肉屋さんの娘。

 猪っぽいから食べられるのか気になるっぽい。


「あー、こいつは当然食べられるぞ。中々美味だ。街に持ち込めば、それなりの金額で買い取ってもらえる」


 おー、なるほど。

 魔物を倒せば、こちらで暮らす資金源になりそう。

 でも、こんな大きいのは持って歩けないなぁと悩んでいると、お姉さんが何かに気づく。


「ああ、そうか。亜空間収納魔法は知らないか」


 何それ。

 便利。

 大きな倉庫を作るイメージなのかな。

 しかも収納中は時間が停止して保存できるといいな。

 ちょっと試してみよう。


「お姉さん。なんかイメージできたので試してみます。むむむ……収納っ」


 マッドボアをしまうイメージをすると、目の前のマッドボアが消えて、自分の所持品として収納されたことが分かる。


 持ってるバッグの中身が、全部認識できてる感じ?


 その後、魔法の練習と収納の練習を続け、魔物をそこそこ討伐して、亜空間収納にしまった。


 わたし   :マッドボア×1 レイジディア×2 魔キジ×2

 かえでちゃん:マッドボア×3 レイジディア×2


 これ全部食べられるのか。

 食べ応えありそう。

 解体がまだだから、血抜きと解体ができる場所を探さなきゃ。


「おまえたち、中々優秀だな。本当に魔法を初めて使ったのか」

「「ええ、もちろん」」

「これからどうするんだ。もし街に行くなら連れて行くよ」


 かえでちゃんとわたしはアイコンタクトをとり、お互いにうなずく。


「「お願いします!」」

「お、いい返事だな」


 ということで、ダンジョン都市テトラへと向かうことになったけど、ほんとに向かっちゃっていいのかな。



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