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剣豪聖女~異世界召喚された聖女は最強のおてんば女子でした~  作者: 釈 余白
第二章:聖女再び

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13.二度目の浄化と二度目の

 アプナド村公会堂での決起集会を兼ねた昼食会で盛大に持て囃され送り出された我らが聖女と聖騎士隊は、馬で二時間ほどの場所にある腐敗地域へと到着した。


 ノアゲ村の近所のように、だんだんと辺りが暗く怪しくなっていくところまで寸分たがわず同じである。


 ただ一つ違っていたのはそこに住まう魔物たちが桜香味ではなく、イノシシやクマだったことだ。前回よりも大型のため対処がなかなか大変そうで皆苦戦している。


 今回は余計なことをしないようにと考え、ある程度静観するつもりだったのだが、だんだん通され気味でそうも言っていられなくなってきた。


 やはりマルスの言うとおり騎士隊を増員したほうが良かったのではないだろうか。もしくはアタシが積極的に戦うかのどちらかである。


 そして今取れる方策は一つだけ。


「モモ! 背中は任せなさい! アタシがカバーするから!」


「ハルカ様!? 今回は見ているだけとおっしゃっていたのに!」


「でも苦戦しているところを見ながらのんびり浄化なんてしてられないわ。さっさと始末して落ち着いて浄化に取り掛かりたいのよ」


「かしこまりました。お手を煩わせてしまい申し訳ございません」


 こうしてアタシとモモは二人一組で魔物討伐に取り掛かった。アタシは木刀なので致命傷は与えられない。


 しかしモモは今回からサーベルなので使い勝手が増しているようで威力バツグンである。


 アタシが打撃を与えよろけた魔物にモモがとどめを刺していく。少し離れてしまってもほかの隊員がきちんと仕留めてくれるので心強かった。


 こうして一気に数を減らして行った魔物たち、妨害の手もおさまってきたのでさっそく浄化を進めていく。


 相変わらず具体的な浄化方法がわからないままに心の中で祈る、いや願うと言ったほうが正しいだろうか。


 とにかくこの穢れた場所をきれいにしたい、きれいになってほしいと誰かわからない相手に対し祈るように願うだけである。


 もしかしたら神様か何かなのかもしれないが、エターナル王国には神信仰はないように思える。加護を与えてくれているのは天だと言うくらいなので、天空信仰とでも言えばいいのだろうか。


 しばらく神経を集中していると、汚染されて黒々した沼地が白く浄化されていくのが見えた。


 それにあわせてまた魔物が飛び出してくるが、散発で現れるだけなので聖騎士隊の面々だけで十分に対処可能である。


 最終的には周囲も明るくなり、沼地は白く輝く泉へと戻った。これで浄化完了、一件落着だ。


「ハルカ様、お疲れ様でした。今回も結局お助けいただいてしまいましたね。だから増員を申し出たというのにまったく…… この次はナライドの街の先にある腐敗地域ですが、そこへはすでに騎士団が向かっていますので今回までよりは余裕があるでしょう」


「マルス隊長の見立てだと何名くらいが良かったと思うかしら。アタシは自分が戦闘へ参加すれば今の人数で十分だと考えているわ。はっきり言って魔物に脅威は感じないし、無理に増員してほかにしわ寄せが行くよりはいいんじゃないかしら」


「しかし聖女様が戦闘に参加するなど非常識な気がしてしまいます。もちろんハルカ様の強さは我々が束になってもかなわないほどだとは理解しておりますが……」


「隊長は難しく考えすぎっすよ。立ってるものは親でも使えって言葉もあるじゃないですか。ハルカ様が余裕だと言っているのですからお任せしては? まあ聖騎士隊としての面子が邪魔をして素直にお願いできない気持ちはわかりますけどね」


 さすがユーケス、軽い、軽すぎる。


「私も賛成ですね。隊長の考えは十分理解できますが、国土全域に広がる腐敗地域は一揆に片付く規模ではありません。ハルカ様が向かうまでは騎士団で対処するしかないわけですし、むやみに人数を削ると無理が生じるでしょう」


「私もユーケス、ニッシュと同意見です。ハルカ様にここまで強いところを見せつけられて悔しいのはわかります。ですが実際に強いのですからあきらめてお願いしてしまいましょう」


 タクリームもアタシの戦闘参加に賛成してくれた。これで意見を述べていないのはサンカーだけだが、先ほどからずっとうなずきながら聞いているのでわざわざ聞くほどのことは無いだろう。


「そうだな、私も個人的には賛成だ。しかし聖騎士隊としてどうなのかという面子的な部分で納得し難かった。だが皆が同意見であること、ハルカ様の剣技が我々を勝っていることを勘案すると戦闘への参加をお願いすることが妥当だろう」


 さすがに全員の意見が一致してしまったので、聖騎士隊としてのプライドは後回しにするしかないと言ったところか。


 だかもろ手を挙げて賛成と言うわけではない様子である。


「ですがハルカ様、その木刀では非効率極まりなく存じます。きちんとした武器をお使いくださいませんか?」


「ええっと―― これは別に好きで使っているわけではなく、アタシの国では殺傷力のある武器を個人で所有することが許されていないのよ。必要ないくらいに平和な世界なんだもの」


「なっ、なんと!? と言うことは木刀と言うのは個人が持てる武器としては限界に近いと?」


「そうね、これ以上と言うことになると包丁でも持ち出してくることになるわ。だったらこちらの世界で用意してもらったほうが合理的だと思う」


「ではとりあえず今回はモモと同じサーベルをお使いいただくことにいたしましょう。とはいっても次回はナライドの先で騎士団が一緒ですから、今までと異なり出番はございません…… ええ、そのはずです……」


「それならとりあえずは木刀のままでいいかな。でさ、モモが知り合いの鍛冶屋へ頼んでいる刀ができてきてから考えるということでいいんじゃない?」


「ハルカ様、刀は今回の旅が終わって帰ったころにはできている予定です。ぜひご覧いただいてご意見をお願いしますね」


「うんうん、楽しみにしてるんだよねー 異世界で再現する刀なんてなんだかロマンを感じるわあ」


 そんな会話をしながら浄化の終わった地域から引き揚げていき、暗くなるころには無事にアプナド村の陣へと帰り着いたのだった。



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