第一章 4
「ところで、その怪我。よく立ってられますね?」
いきなりシーランさんに話しかけられた。
「怪我…?」
数多の酒瓶を抱えながら僕は少し考えてしまった。
あっ。
そうだ、僕頭割られてたんだった…。
「忘れてたんですか。とんだど阿呆ですね。」
「いや、あんまりにも自然に受け入れられたんで、そっちの方が驚きだったんです。」
大体、言われるまで気づかなかったもんな…。
とんだど阿呆だ。
「ま、船長なりに気を使ったんすよ、きっと。
ダイ君落ち込んでたから、元気づけてあげようとしたんじゃないすか?
自然に溶け込めるように」
酒瓶があらかた片づいたところで、いつの間にやら骨付き肉を持ってきていたトッドさんが言った。
「だとしても順番が逆です。普通は手当てからしますよ。」
「っすよね~」
またもいきなりシーランさんがこっちを向いた。いちいち動作が急な人だ。
「脱いでください。」
言うことまで急だった。
「手当てをします。」
「は……はい…」
あーっ、すんげービックリした!!!
「やっぱり、頭だけではなかったですね。」
淡々とひんやり冷たい軟膏を擦り込みながらシーランさんは呟いた。
軟膏からは、薬的な匂いよりも唐辛子的な匂いがしていてさっきから凄く不安なのはここだけの話…。
「よく骨の一本も折れなかったものです。本当に、いきなり突っ込んで行くなんて愚の骨頂ですね。」
「はい…」
「間違ったヒーロー願望ですよね。」
「はい…」
「勘違いも甚だしい。」
「は…い…」
「その後の。何?
樽の中に入れば連れてってもらえる?
馬鹿なんですか?」
「……」
「そうですね。分かり切っていました。」
「もう塗り終わってるじゃないですか!!」
もうやめて!たまらず僕は叫んだ。
ってか何だ最後の!!
口調変わってきてたよ!!
シーランさんといえば相変わらずの無表情で薬を片付けながら、
「面白いですね。」
とちっとも面白くなさそうにおっしゃった。
「まあまあまあまあ、ダイ君これでもいかがすか?」
そんな僕らを見かねたのか、トッドさんはさっき持ってきていた骨付き肉を差し出した。
「そんだけ血、流しちゃったら補充しないとまずいっすよ?」
「ありがとうございます…」
心の底からじーんときた。
そして受け取った途端にお腹がすいていた事に気が付き、(そりゃそうだ。朝ご飯しかたべてないもん、今日)
かじりついた。
「肉。」
途端に気配を感じた。
やっぱりカスカだった。
天井に張り付いていた。いつのまに…。
「いーなー、肉。」
「カスカー、こっちにもあるっすよー」
「やたっ!」
目にもとまらぬ速さで身を翻すと、空中で一回転して椅子の背もたれに着地。
カスカは、サーカス団員なら食うに事欠かないだろう。
そのままカスカはワイルドに…つまりは随分と野性的にがっつきだした。
僕もカスカにならって無我夢中で肉を頬張った。
信じられないくらいうまい。
ふと、父さんと母さんと妹たちの顔が浮かんだ。
勝手に出てきちゃって悪かったな…。心配してるだろうな…。
絶対誘拐された事になってるぞ、きっと…。
そんなことを考えている内に、急に気の抜けたせいもあると思うけど、僕はそのまま夢の中へと落ちていった。
こうして、あまりに濃すぎた1日は幕を閉じたし、
それは同時にこれからの濃すぎる旅の幕開けでもあった。しかもこの1日は当然まだまだこれからの凄まじき日々にしたら序章みたいなもんだったんだから、たまったもんじゃない!!
なんてね。
第一章もなんとか完結致しましたーっ!!
やたっ!
そんなこんなで調子にのってキャラクター紹介をばしていきたいと思います。
ダイ・カカント
12歳。
定食屋の息子で、お父さんとお母さんと2人の妹との五人家族です。
特技は声真似。
年の割にシニカルな面もあるけど、真面目で一途ないわゆる思春期な少年です。
セシルの事が好きなんだけど、認めるのが悔しいみたいなそういうお年頃です。
お兄ちゃん気質な所があってしっかり者なだけに突っ込んでばかりですが、それはこれからも変わりません。←
変われるわけがありません。←
これからどんな風に成長して行くのかが楽しみですね!
しまった!
オチが決まってないのがバレてしまった!
と、言うわけで誤字脱字についてや一言感想、逆に夏休みの宿題みたいなやつでもお気軽にお寄せください。
待ってまーす!!
これからも是非よろしくお願いします!!




