プロローグ、その七
やっとプロローグが終わりました。
長い説明文の様になってしまうすいません。
これで。次話から本編に入れます。
「そして、ここに貴方様がいらっしゃいます。」
と、話しを締めらてしまった。
僕は何のことやら全く分からず、しかも「貴方様がいらっしゃいます」ときて、もぉポッカーンとするしかない
しかも、じいちゃんは一仕事を終えてたかの様な、遣りきった感丸出しの満足げな顔をしている。
そんな顔わされても・・・と困っていると守麗ねいさんがその事に気付いたらしくじいちゃんの脇をつつきながら
「龍鬼様は、戸惑っておられるようですよ、もう少しきちんと説明をお願いいたします、お役目でしょう」
といつもとは違った厳しい物言いでじいちゃんに告げられ、じいちゃんはアタフタしだす。
目線を移すと、じいちゃんの隣では何がそんなに嬉しいのか満面笑みをたたえキラキラしたクリっとした瞳で僕を凝視する裂嘉ねいちゃんがいる。
僕から見ても、顔立ちの整った小柄な裂嘉ねいちゃんは近所でも可愛いと評判なのだ、その美少女とは言え肉親に見つめられると・・・困ってしまう。
そうこうしていると、じいちゃんが顔を少々赤くしてゴホンと咳ばらいをして
「申し訳ありませぬ、先ほどの組み手の技量の高さに興奮してしまいまして、改めてご説明申し上げます」
と、再び話しを始めた。
「先ほどお話しした事は、事実でございます。」
「証人は私しと両隣りに控える守麗・裂嘉であり、私たちが実際に体験した事なのでございます。」
「私しは、月嘉様と出自を同じくする龍族が戦人『源』でございます。」
「本来私ども龍族は、その個体の突出した「力」でよほどの事が無い限り人間どものから害を受ける事は有りません、むしろ時には神の如くに崇められる存在でございます。」
「されど、こたびの人間どもの他種族に対する理不尽極まる行為に月嘉様はお嘆きになり、助力を申し出られたのでございます。」
「須佐様、鬼族も強靭・怪力無双故に人間どもに畏怖される存在、幼子や娘ならば人間に害される事もありますが、人間どもも後難を恐れて手出しは控えておりました。」
「しかし、須佐様も他種族が受けるあまりな仕打ちに義憤にかられ戦の矢面に立たれた由にございます。」
「その様なお二人が人間族・他種族双方に多大な被害を出さぬ様に力を抑えながえらの長く難しい戦いの中お互いを助け合い励ましあう内に惹かれ合う事は自然の慣れ行き」
「戦が終わりし頃には、後々、二人で静かに過ごし二世の約束もされておられました、そのお二人の御子が龍鬼様貴方様なのでございます。」
「仲むつまじい御二人のご様子に、私も戦が終わりし折には後静かにお暮らしいただくつもりでございました。」
「が、人間との停戦協議の中、戦が始まる以前に捕えられ人間の奴隷となった他種族の者達の解放を達成する事が出来ず、そのまま戦を集結しようとした須佐様・月嘉様は家族を奴隷として奪われた者にとって見れば、自分達を裏切らぎったと思われてしまい、その中の一名がお二人を殺害してしまったのです。」
「私しが陣屋の異常に気付き駆けつけた時には既に下手人の姿は無く、辛うじて息のある月嘉様に駆け寄ると、月嘉様はー『下手人は捜してはならぬ、彼の者にしてみれば希望が一転絶望に変わったのだから仕方がない』と仰り、息も絶え絶えになりながらも最後の力を振り絞り、私しに『この子を頼む』とまだ形も定まらぬ御子の魂をお預けになったのです。」
「そして、ご自分の愛刀・裂嘉と須佐様の鎧兜・守麗に命を吹き込み、私と共に御子を守れと託されたのでございます。」
「御二人が息を引き取ると、鬼族の長となるべき方と龍の姫巫女お二人の大きな「力」を持つ魂がその世界を離れる影響で次元の裂け、かの世界から此方の世界・人間界へと飛ばされてしまったのです。」
と言い、改めて僕に
「龍鬼様、貴方様は鬼族・龍族の強い「力」を引き継ぐ者・御子なのでございます」
と、宣告した。
今まで、記憶にも無く、語られる事の無かった父・母について話され、それが人間ではなく、しかも今住むこの世界の住人でも無いと言われても、いきなり過ぎて何が何やら、ただただ途方に暮れるばかりの僕だった。
茫然としている僕を見て、守麗ねいさんが
「戸惑われる事も多いかと思います、ここらで少し休憩と致しましょう。お茶をご用意いたしますのでしばしお待ち下さい」
と言ってお茶を用意してくれた。
少々オーバーヒート気味の脳みそにお茶菓子で栄養補給と水分補給をし一息つき、じいちゃんの言った話し反芻してみるが、分からない事だらけだ。
だいたい守麗ねいさんが「鎧兜」(たぶん隣に鎮座している物)で裂嘉ねいちゃんが「刀」と言われても信じられる訳がない。
かと言って、じいちゃんがボケて話してるなら、ねいさん達二人が何とか言うだろう(裂嘉ねいちゃんは確実にじいちゃんの頭を叩いている)、それが、当然の事の様に平然としている。
普段からものの化・妖しを見慣れていて不可思議な事には慣れっこの僕でも、目の前にいる人間が鎧だ刀だと言われても流石に信じられない・・・
と、葛藤を続けていると、その様子を見越してか守麗ねいさんが
「お茶が終わりましたら、「源様」の仰っている事を証明して御覧にいれます、ですから今は考え込まぬ様にお休み下さい」
と、お茶のお替りを湯呑にさしてくれた。
お茶を飲み終わり、湯呑や菓しの器を片付けると守麗ねいさんが
「それでは、先ほどの話しの証しをご覧に入れましょう、私たち二人がそれぞれ、刀であり鎧である事が分かっていただければ理解していただけると存じます。
ではまず、裂嘉ぁ」
と言うと裂嘉ねいちゃんはチョッと拗ねたように僕を睨み右手に持つ刀を鞘から抜いた、それをなんの躊躇も無くいきなり胸に突き刺す。
余りの展開に僕は飛び上がりあわてて刀を抜こうと駆け寄るより先に、裂嘉ねいちゃんは何事も無かった様に刀を抜き鞘に納刀した。
すかさず、守麗ねいさんが
「あの刀は裂嘉自身、自らの体で貫こうとしても自分自身であれば出来ないのは道理、何でしたら龍鬼様ご自身でお試しになられますか?」
と笑っている。
「では、次は私の番ですね、裂嘉、私の隣に安置してある鎧兜を斬って下さい、鎧兜と同じ様に私も斬られるの
でそれが証しになるでしょう」
などと言いだすから僕は大慌てで、床に頭をこすりつける様にして謝った。
普段は大人しいのに、今日に限ってとんでもない事をしようとする守麗ねいさんに、これからは気を付けようと心に誓う僕だった。
「さて、理解していただいた様で何よりです。本来であればこの事は隠し通し、此方の世界で寿命を全うしていただければ良かったのですが、そう言う訳には行かなくなりそうですので、本日明らかにさせていただきました」
とじいちゃんが再び話し始めた。
「本日、龍鬼様は夢を見てお目覚めになられました。今まで無かった事と思いますが、これまで龍鬼様の夢は私どもで封印させていただいておりました。
「魂だけの存在だったとは言え、須佐様・月嘉様の御子さまであられた龍鬼様はご両親の最後を記憶しておいででした。」
「その不の記憶は、新たに肉体を持つに邪魔になっており数百年もの間、魂だけの状態で過ごされておられたのです。」
「その不の記憶が浄化する事により新たな肉体を得る事が出来たのですが、月嘉様の持っておられた「予知」の力も弱いながら覚醒されてしまわれました。」
「その力は、ごく普通に生活して行く上では邪魔になるものと考え封印していたのでございます。」
「されど、本日は私どもの封印を破る程の予知の力が働いた、と言う事はより確実な未来を見てしまわれた事になるのでございます。」
その言葉で、僕は今日見た僕の大好きな仲間・家族が殺され犯され野ざらしにされて行く地獄絵図を思い出し震えが止まらなくなってしまった。
その様子に、慌てて
「しかしながら、今ならばまだその夢の出来事を回避する事が可能でございます。」
と続けた
「本日の夢が、今の暮らしを続け何もなさなければ起こりうる未来の姿です、その未来には龍鬼様は関わっておられません、いや何もしないという形で関わった結果と申し上げた方が正確でしょう。」
「ですから、龍鬼様が未来を変えたいと望めば人間界より離れ御生れになられた世界にて何かを成せば未来は変えられると思われまする」
「されど、その場合は此方の世界には二度と戻る事は出来ませぬ。」
「龍鬼様程の「力」を持たれた方が次元を渡る事はあまたある世界に多大な影響を与えてしまう恐れがあり、力持つ者として簡単許される事ではないのです。」
「今回は、あくまで本来有るべき世界への帰還として許されるもので、他の世界に渡ろうとしても世界が拒絶する事となるでしょう、ですので良く御考えいただき、ご判断ください。」
と告げられた。
僕はチョッと考え
「僕が産まれる筈だった世界に渡ると決めた時、じいちゃん達はどうなるの?」
と聞いた。
じいちゃんは
「私は此方の世界での後始末がありますので少し遅れてになりますが、守麗・裂嘉が龍鬼様の御傍を片時も離れる事はありませぬ。何処までも龍鬼様についてまいります。」
と言い、その言葉に合わせて守麗ねいさんは柔らかい包み込む様な笑みを、裂嘉ねいちゃんはさも当たり前の様にとても楽しそうに満面の笑みを浮かべて頷いてくれた。
その笑顔に、僕は逡巡する事無く
「それでは、行きましょう。大好きな仲間の為、僕がなすべき事を成すために」
と、この世界との決別を宣言した。




