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妖《あやかし》しの守人  作者: 月夜乃 遊策
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プロローグ、その四

 ここまで行くとプロローグという括りが可笑しいのかも知れませんが・・・

まだ異世界に行けてません。

すいません。

 じいちゃんのいつもと違う高圧的な声に驚きつつ僕は道場に入り、少し離れた位置に座った。


 それを見てすかさずじいちゃんが


 「これより皇流兵法の免状審査を行う」


と宣言した。


 僕は突然の事に茫然となりかけたが、返事を返した。

 要するに、今までの稽古の鍛錬具合を見るって事なんだろうと、丁度二十歳になったって事もあるのかな?

となんとなく納得した。


 「それでは審査を始める、審査はまず格闘術、刀術を行い最後に槍術及杖術を行う、その過程で体術も審査する」

と告げられ、僕は急いで道着に着替えた。


着替えが済み、準備運動をし道場中央に立つと僕の前に守麗ねいさんが進み出た。


 「格闘術、守麗-竜輝、始め」


という掛け声がかけられてしまった。


 守麗は稽古中ほとんど見るだけであまり稽古をしている姿を見た事はないが、僕の前で構えた姿には

長年稽古を積んで来たであろう気迫が漲っていた。


 その姿に戸惑っていると、床を滑る様にすばやく僕の間合いに入り、突きを放って来た。

紙一重で交わしたかに思った直後、引き際の拳が素早く僕の道着の襟を掴み、投げ技に変化した。

 僕は道着を引き千切って投げ技をかわし間合いを取りながら守麗の「技」に驚いていた。

僕はものの化や妖しに稽古をつき合ってもらっても最近では自分の間合いにすんなり入られる事は少なく

僕の間合いに入ってこれるのは今やじいちゃんだけになっていた。

それだけに、体術には自信があったが、いとも簡単に入って来た守麗の技量に敬服し、そして歓喜を覚えた。

 

 久しぶり全力を出せる相手に喜びを感じた。

 

 しかも、守麗は胴丸を着けている、打撃系の技ではそれ相当のものでないと通用しないだろう

投げ技も、あの流れる様な動きの前には誘い込まないと難しい。

 それでも、手をこまねいているのは余りにも勿体ない、とりあえず小手調べにと僕も流れる様な足運びで「浸透撃掌」(掌ていによる神速の二連撃により衝撃を表面より内部に伝える伎)を繰り出すが守麗ねいさんは二撃目の前に腕を打ち払い、防がれてしまった。


しかし、一撃目の衝撃は防ぎきれなかった様で軽く顔を歪め深い呼吸を一つはいた。


 守麗には二撃目は防がれるのを確認し、「突通穿」(拳を突拳にし捻りながら打ち込む事で物体への貫通力を上げ一撃で穿つ伎」を胴丸に放つ、胴丸に穴が空き内部まで衝撃が襲ったのを確認する事無く今度は腕を取り、一本背負いの要領で投げ上げ、床に叩きつける前に空中で胴丸の穴の部分に肘を突き入れた。


 床に倒れてもまだ、起き上がろうとするものの上半身を起こすのがやっとの守麗を確認したじいちゃんは

 「それまで」

と止めた。


 あわてて駆け寄る僕を守麗ねいさんは顔を歪めながらも嬉しそうに安堵した表情で迎えてくれた。


 守麗ねいさんを道場の脇に運ぶとすぐ


 「次、刀術・裂嘉-竜輝」


と二戦目の掛け声がかかった。


 裂嘉は、二本の木刀持ち前に出てくると一本を僕の方に放り投げると、じいちゃんの合図を待たず一足飛びに襲いかかって来た。

 

 皇流の刀術は受け流す事はあっても、受け止める事が無い風や流水の様な動きが特徴だが、きちんと木刀を握る事無く裂嘉の太刀筋を受けてしまった僕は、その刀圧によって道場の壁に叩きつけられてしまった。


 僕の胸にまで届かない様な小柄な体の何処にこんな力があったのか?と驚いている間もなく必殺の太刀が襲いかかって来た。


 これを、床を転がる様にしてかわし距離を取ってやっと構えなおした。

裂嘉ねいちゃんの剣は剛剣!後手に回っては刀圧に圧倒されると感じ、全てを最初の一刀に賭けるべく腰に木刀を納め、抜刀伎に全てを託した。


 その構えのまま、ゆっくり呼吸を整え時を待つ。

 

 裂嘉もゆっくりと上段に構えジリジリと間合いを詰める・・・


 刀の間合いに入った瞬間、裂嘉の剛剣が僕の頭を打ち砕くが如く襲いかかって来た。

僕はこの瞬間を待っていた。


 腰溜めに構えていた木刀を一気に抜き放ち、裂嘉の太刀筋を掠め軌道をずらし木刀の峯から太刀行きの早さのみで裂嘉の木刀を叩き切った。


 「皇流抜刀術・落葉」本来は抜刀の神速を持って相手の太刀筋をそらして身を守りながらそのまま相手を切り伏せる伎。

例え木刀であっても、相手を切り伏せてしまう一撃必殺の太刀。

 その技を一連の動きを停める事無く急激に曲げ、木刀を峯から断ち切った事に切られた裂嘉もじいちゃんも守麗ねいさんも唖然としていた。


 余りの事に茫然となっている裂嘉ねいちゃんの手から木刀が滑り落ち、床を打つ音に我に返ったじいちゃんは


 「それまで」


と慌てて言う事になった。

 



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