覚醒
忙しく更新が遅くなりました。
すいません。
「定刻になっても鬼娘どもを連れて来ないから如何したのかと思って見に来てみれば・・・情けない」
突如闇から響く様な声に辺りを窺うも、匂いはおろか気配もつかめない、何時もなら周りを風精霊達が飛び交い常に周りの状況を知られてくれるのに・・・。いや、風精霊の気配さえも分からない・・・。
「情けない者共だが、此方にとっては大切な手駒なのでね、お返しいただくよ」
「あぁそれから、可愛い妹御は丁重にお預かりしている、妹御が大切なら滅多な事は考えない方が良いだろう・・・」
という言葉を最後に、闇に覆われたかの様にあらゆる感覚が奪われ唐突に意識を失ってしまった。
温かい日に光に目が覚め、気がついた時には親父殿に言いつかり見張っていた人間の姿は何処にもなく、普段と変わらず周りには風精霊がヒゲや尻尾に戯れるかのように飛び交っていた・・・。
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差し込む日に光に、目を覚ます。
辺りは屋内なのは良く分かるが、部屋中に空色の生き物や緑色・茶色の生き物がち飛び交い走り回っている。
ある者は僕の髪の毛の中に潜り込んだり体の上を走りまわったり・・・。
と、横を見ると両側に守麗・裂嘉が両腕を胸元によせていたり、体全体で抱え込んだりして寝ている。
しかも、その寝顔は今までで一番安堵している様な、今まで見た事もない気持ち良さそうな寝顔で・・・。
その寝顔を見ていると、起こすに起こせずかと言ってこのままでは身動きもとれず、しかも周りにはちっちゃいのがいっぱい・・・。
何が起こったのか訳が分からず、昨日の出来事を思い返す―――確か昨日は弥生達を助けて里まで戻り、事情を話しその内猫人族の女の話しを聞いている内に不の感情が高まり、捕えた男の言葉に憤慨して・・・あれ?その後どううなったんだ・・・?
その後がいくら考えても思いだせない・・・。
しかも、朝起きたら守麗達に抱きつかれて寝てるし、周りにはなんだか人の形の様な蟲のみたいなちっちゃいモノがウヨウヨしてるし、と言って気持ち悪くもなく寧ろ心地いいんだけど・・・。
と考えていると、起きて呼吸のリズムが変わったのを感じたのか守麗がまだ寝たりない様な顔で
「龍輝、おはよう」と起き上がると今まで僕等の上にかかっていた布(布団かな)で分からなかった裸姿・・・、今まで気にもしていなかったが、思った以上に綺麗な形のふくよかな胸が目に飛び込んでくる。
見ていたい欲求を抑えつけ必死の思いで横を向くと、隣の裂嘉も起きていていきなり額に接吻をされ「おはよう」とニッコリと笑顔を向けられるが、こちらも裸・・・守麗程ではないが丁度手のひらにピッタリ収まりそうな二つの美しいふくらみが・・・。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~!!!!」
と叫ぶ僕の声に、部屋の外からもの凄い勢いで駆けてくる足跡と共に剛弥が部屋に顔を出すものの、「失礼しましたぁぁぁ!!!」と言ったきり入って来ようとはしない。
剛弥の出現に、ムスッとした顔つきになりながらも二人は僕から離れ、一瞬で服を出し着付けて普段の格好になる。
僕も起きようと布をめくると・・・裸だった・・・。
慌てて布を巻き付け守麗達を睨んでいると、やれやれと言った顔付きで
「忘れたの、貴方は常に私の鎧を身に付けているでしょ、思い描くだけで服が現れるって言っておいたはずよ」
と、説教されてしまった。
服を発現させ、着付けると部屋を出て僕等が寝ていた部屋の壁に張り付いている剛弥に
「おはようございます剛弥殿、また泊めていただいた様で、ありがとうございました。ところで、昨夜一体何があったのでしょうか?すいません、どうも途中から気を失ってしまったのか覚えていなくて、それと、この周りに居る者達は一体・・・」
と尋ねると、ちょっと怪訝な顔をしながらも
「込み入った話は後にしまずは朝食にいたしましょう、少々お待ち下さい用意をしますので」
と唯与さんや弥生ちゃんのいる部屋へと戻って行ってしまった。
部屋に戻って二人の顔を見るのもなんだか恥ずかしくて、「ちょっと外の空気吸って来るねぇ」と言い残し外へ出る、朝日が燦々と降り注ぎその朝日の光の中には白い様な透明の様な生き物が飛び交っている、それだけでなく先程部屋で見た生き物の数も一層多くなっていた。
その光景に見とれていると、邸宅の陰から「龍輝殿、お目覚めになられましたか、今朝はまた一段と清々しい朝でございますなぁ」と声がした。
声の方を見ると、そこに居たのは武早で本来白いはずの縞模様が空色に染まるかの様に空色の生き物たちを纏っていた。
「おはようございます、武早殿。つかぬ事をお聞きしますが・・・そのぉ・・体の周りを覆っている生き物達は大丈夫ですか?」
「おぉ!龍輝殿やはりお見えになられますか!この者達は風の精霊。飛雲虎たる我々は風の精霊を常に纏い、風の精霊と共に空を舞い、雲を駆けるのです。昨日も風を纏う事が出来るとお話ししましたが、それは風の精霊の力を借る精霊術によるもの。ちょっと悪戯好きではありますが気の良い者達です龍輝殿も仲良くしてやって下さりませ」
と言うと、武早の鼻先にいた風の精霊が一人僕の方に飛んできて、一礼し頬に接吻をして嬉しそうに僕の頭の上に乗っかる。
突然の事にビックリしながらも、なるほど悪戯好きかぁと納得してしまった。
その様子に武早は「風の精霊も龍輝殿が好きなようですなぁ」と体全体で喜びを表し満足げな様子だ。
空色が風の精霊と言う事は、他の色も精霊なのか?と聞こうとかとすると邸宅の中から朝食の用意が出来たと声がかかり
「それでは龍輝殿また後ほど」と武早は踵を返し里の中央へと去って行った。
邸宅に戻ると、広間の上座に僕等の為だろう御膳が用意され、その隣には給仕をするかのごとく唯与さんが控え、僕等の正面に剛弥殿と弥生が座っていた。
「剛弥殿達は食べないのですか?」
「私共は後ほど、食べさせて頂きます。どうぞお召し上がりください」
「そんな事は言わずに御一緒にどうぞ、僕等はお世話になっている身なのに先にいただくなんて出来ませんよ」
「言えそういう訳には・・・」
などと押し問答の末、先日と同じ様に座を囲み食べる事になった、それでもなんだか気を使っている様な感じがして、一体昨日僕が気を失ってから何が起こったのか?
朝食を食べながらの雑談に話そうと思っていたのだが、あまりにも静かな咀嚼する音しかしない食事に気後れしてしまって話せない。
余りにも神妙な面持ちに?になりながら、三人を見ていると三人の肩や頭の上に茶色や緑の人の様な蟲の様なモノが遊んでいるのが見えた、これも精霊?
辺りを見回せば、ありとあらゆる場所に精霊らしき色とりどりのモノが存在した。
食事後改めて、広間に集まり剛弥殿家族と対面に座るとおもむろに深々と頭を下げられ
「この度は、私共鬼乃部の里を御救いいただき、誠にありがとうございました。龍乃一族に連なるお方とは気付きもせず、失礼いたしました。平にご容赦ください」
と平伏されてしまった。
その様子に、驚き慌ててあたふた、
「父上、龍輝 様が慌てておいでです」と弥生の言葉に剛弥殿は頭を上げてくれた。
「すいません、昨夜から一体何が起きたのでしょう?それに龍乃一族って?」
「昨夜、族の男の悪意によって里の者の心に悪いの気=瘴気が産まれ里を飲みこもうとしました。瘴気が男を庇う様に立った弥生の到達する直前、突然龍輝様が輝いたかと思われた瞬間、龍輝様から何か大きな力が溢れだし瘴気に触れたかと思ったら一瞬で昇華し、里の者の心に産まれた瘴気さえも全て吹き飛ばしてしまわれたのです。
噴き出た力の奔流が収まり、目を開くと守麗殿・裂嘉殿の姿は消え漆黒の戦鎧に身を包み腰に鉄色の太刀を佩き龍眼を顕わにした貴方様が立っておられたのです。」
「龍眼は龍乃一族に連なる者にしかあらわす事が出来ないもの、言わば龍の証し。
先の大戦では数々の武功を上げ戦が鎮まると何処ともなく姿を消してしまった龍乃一族にこの地に住む者は敬い感謝を忘れた事は御座いません、その龍乃一族の方に再びお会い出来るなど望外の喜び。さらに、お会いするだけでなく里の危機を救って下さるとは・・・」
とまた平伏してしまった。
その様子に、困った様に弥生をみると一息溜息をつき
「その後、猫人族の女はずっと涙にくれてて如何にもならないし、族の男は呆けたようになってしまって取りつく島もない。仕方なく、里の番所小屋に留め置いて、力を使い果たしたかのように倒れてしまった貴方をお二人と一緒に我が家に運び、休ませたと言う訳です」
「それから、龍の一族は置いといて貴方の着た戦鎧は大戦の際に鬼族の武者が着けた物、しかも漆黒の鎧は須佐皇が愛用していたとして、他の者は着ける事を禁じられてきました。
今はもう着る機会を失ったとは言え、須佐皇の鎧と同じ漆黒の戦鎧を一体何処で手に入れたのです?!」
「それにその太刀!族の大斧を受け止めるならまだしも、斬り裂くなんて一体何なんです?」
と眉間にしわを寄せて、迫ってくる。
その剣幕に、三人で困っていると戸口の方から
「まだ、分からぬのか?鬼皇の鎧を身に付け、龍妃の太刀を佩く者など御一人しか居られぬではないか」
と声が飛んだ。
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