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妖《あやかし》しの守人  作者: 月夜乃 遊策
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プロローグ、その弐

 二十歳になる朝、僕は最悪な目覚めを迎えた。

誕生日、それもこれからは大人としてタバコ(あまり興味はないが)やアルコールがおおっぴらに飲める

大人としての責任も持たされるものの、自分の責任で犯罪以外ならなんでも出来る、その朝なのに。


 今日は久しぶりに夢見た、僕はあまり夢を見ない、たぶん見てるんだろうけど覚えていない。

日頃は学生生活と道場での稽古で、くたくたになり泥の様に寝てしまうからなのかもしれないが

そんな僕が久しぶりに夢を見た。


 …それは悪夢だった…


 目の前に広がる光景は阿鼻叫喚の地獄絵図。


 いつも僕の周りいて楽しげにしている、ものの化・妖したちが殺されその死体が地面を埋め尽くしていた。


 ある者は、首を切られて。

 ある者は、腹を裂かれてそれでも息のある内は切り口から飛び出す内臓を押し留め様としていたのだろうか、両の腕で抱えるようにし。

 ある母親は、子供を庇うようにして背中から無数の刺し傷、切り傷を受け。

 ある少女は、慮辱に血の涙を流しながら天を睨みながら死んでいた。


角や獣の耳、尻尾を持っていたり、羽を背に生やしていたり、獣の姿そのものだったり。

日本に住む「人間」とは容姿は違っていたとしても、僕の知っている知恵を持つ生きもの達の屍が広がっていた。


 その中に、僕は守麗ねいさん・裂嘉ねいちゃんの姿を見つけて…

きっと慟哭とはこの事なんだろうと思う、涙を流しながらとても人が発するものとは思えない叫び声を天あげた。


 と、同時に布団から飛び起きていた。

僕は夢の中と一緒に叫び声をあげていた様で、じいちゃん・守麗ねいさん、裂嘉ねいちゃんが大慌てで部屋に飛び込んで来た。


 実際には裂嘉ねいちゃんに体を揺すられ、頬を叩かれるまで気付かなかったんだけど。

気がつくと頬が濡れて、少し熱く腫れていた。


 「いったいどういしたって言うの、こんな朝っぱらから」


と僕の布団の上に仁王立ちになり睨みつける裂嘉ねいちゃんに怯えつつ、僕の見た夢の話しをした。


 話しながら 「そんな事で叫び声なんかあげるな!このバカ龍輝!」

と裂嘉ねいちゃんの平手が再び飛んで来るのを覚悟していたんだけど

僕の話しを聞いている三人の表情がどんどんと強張り血の気を失い青くなっていったのを見て

僕はあわてて 「夢の話しだから」 と言ったんだけど、三人は黙り込んだままで…


 しばらく経って、守麗ねいさんが

 「早く大学に行く準備をしなさい」

とだけ言って三人は部屋を出て行ってしまった。


 結局その日の朝の稽古は自主トレ(毎日の日課として20キロのダッシュと一本指での腕立てを30回ずつ10セット、鴨居に足の甲を引っかけ逆さ吊りになっての腹筋を200回、素振り用10キロの木刀で素振りを200回)をするだけで終わりにし、二十歳の誕生日だと言うのに暗い雰囲気で朝食をとって出掛ける事になった。


 さすがに、玄関を出る時にはじいちゃんに

 「今日は早く帰ってこいよ」

と言ってくれたから、誕生日のお祝いをしてくれるのかなぁ?と期待しつつ今朝の悪夢を振り払うつもりで


 「はいよぉ、いってきまぁす」


と言って出かけた。





  

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