鬼虎の災厄、粉砕
書き方を試行錯誤中、読みにくいでしょうか?
前回・今回と同時系列で事が起こっていたのでこの様な書き方をしてみました。
なかなか難しいですね。
久しぶりに戦闘させてみましたが、お気に召すでしょう?
複線無しの事もありますがそれはいずれ追々と・・・。
昨夜から、山の麓から人間の匂いが濃くなり多くの者が麓に集まっているのが分かる、その中には千早の足跡の消えた場所に残っていた同じ匂いが僅かにして来る。
また、山に入り狼藉を働くのか?
今の段階では分からない、息子の旋嵐は若いだけに今までの人間に所業に憤りを感じているらしく今にも麓へ駆け下りたそうに、毛を逆立ているが偶々山の近くまで来た商隊ならばそれを襲う事は、人間と何ら変わらない愚劣な所業になってしまう。
これ以上山域に入って来るようなら、追い返すが今少し自重すべき所だ。その気になれば一息で麓まで駆け下りれるのだから・・・。
それに、昨夜会った龍輝という若者は何やら考える素振りをしていた。
それが今朝突如あの青年の気が急激に高まったと思ったら突如消え去ってしまった。
気の消失と共に匂いまで分からなくなってしまい若者の気配がこの一帯から消え失せてしまった、この様な現象は二百年生きる私(武早)にとっても初めての体験だった。
微かに、昨夜龍輝の傍らに居た二人の妖しの気が感じ取れる。
特に焦ったり悲しんだりしている様な気配ではないからあの青年の気が消えたのは何かしらの術を使った為だろうと思うのだが、自らの気・気配から匂いなどの存在を残す痕跡一切を消し去る術など聞いた事が無く、あの者の力の大きさを改めて感じ身震いがするほどで、あのような大いなる存在と争いになる事だけは避けねばと一族を束ねる者として気を引き締めねばならないだろう。
そう考えながら、麓に集まる人間の気配を探りつつ夜を明かすと、朝再び人間の気配が動きだし麓の森を抜け山麓に一纏まりに終結する。
「これ以上御山で人間の好き勝手を許す訳には行かぬ!」
と、業を煮やした旋嵐が私の制止を振り切り一騎駆けに人間達の集まる元へと駆けて行った。
仕方なく、私も旋嵐を追う。
眼下に人間達を捕えると、中心に鬼族の里の娘達を取り囲む様に武装した人間の集団が集まる、私達はその後方から一直線に向い「縛りの咆哮」を人間達に叩き付けた。
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朝、家族に見送られながら導師に連れられ里を離れる。
今日からは里の為に山の長である白虎の許しを得る為に虐殺された獣達の菩提を弔い、安心してそれぞれの神の元に赴き転生出来る様に残された子等の養育をせねばならない、それが例え数か月いや数年かかろうとも過不足無くやり遂げなければならない。
山の安定は里の安定にもつながる、里の者が必要な分だけの狩りをし必要な分だけ山菜や薬草の採取が出来なければこの場所での営みは難しくなりこの地を離れ、苦難の道の果て新たな土地に里を作らなければ生きていけない。
里には子供や老人もいる、その様体力的に弱い者に過酷な移住をさせるなど酷と言うもの、なんとか山の長の許しを得てこれまで通り里の存続を図らなければならない。
私達、里を主導して行く立場にある者達はその為に里の皆に敬われ、尊重されているのだ。その重責が分かったからこそ、里の「律」を破ってまでも龍輝殿の御恩に報いず、龍輝殿のご厚意に甘えたのだ。
そう思えばこそ、導師の従者の厭らしい眼差しにも耐えついて来たのに。
今、目の前には厭らしい笑みを浮かべた人間の男達が私達を囲んでいる。
あの導師の言葉は偽りだったのか?
何故、白虎の下ではなく人間の男達の元へ私達を連れて来たのか?
そう誰何する間もなく導師は人間達の元へと走りその後ろに傅いている。
その姿に、私達はこの者達に騙されていたのだと気付くが・・・こうなったら鬼族の・鬼乃部一族の矜持を見せ
一矢を報わねばと睨みつけていると、男達の後方から魂を震わせるような咆哮が聞こえて来た。
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愚かにも、里の者達は私の言葉にまんまと誑かされ里の有力者の娘達を差し出して来た。
今後も同じ様に何回か白虎が娘を求めていると言って攫ってしまえば、難なく奴隷が手に入る。
しかも、同じ事が何度も続けば鬼共も白虎も双方疑心暗鬼になり、上手くすれば互いに潰し合う。
そうして鬼共の力が弱まった所で一気に襲えば、鬼の奴隷が取りたい放題。
そうすれば、私(智影)の待遇、しいては我が同胞・猫人族の待遇も改善するかもしれない。
もしかしたら奴隷から解放されるかも。
そして、私はやり遂げた!
娘達を間違いなく人間の元へ連れて来た、これで私はこの生き地獄から解放される。
そう思っていると後ろから恐ろしい咆哮があがり目の前が真っ暗になった・・・。
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咆哮をあげ駆けてくるのは、一昨夜里の外で会った飛雲虎の武早と同じ飛雲虎の若虎だった。
武早達は男達の手前まで来ると風を呼び雲を掴み上空へと駆け上がり、男達を飛び越して弥生ちゃん達の元へ彼女達を庇うように降り立った。
虚を突かれた男達も、即座に各々の武器を構え飛雲虎を囲み殺そうとするが、飛雲虎の威圧感に氣壓されてなかなか近づけない、それでも男達の中に居たフード付きローブを身にまとった男達が手に持った杖を天高く掲げ「セーフティーフィールド」と唱えると武器を構えた男達の瞳から怯えは消えた。
フードの男達は魔術師で心の安定と戦闘に際しての心理的な不の要素を取り除く呪文を使った、続けて「ファイヤーブリット」と炎の弾丸を飛雲虎に浴びせる。
背後に弥生達を庇う武早達飛雲虎は避ける事も出来ず、炎の弾丸を浴びてしまう。
それを見て「好機」とばかりに男達が武器を振りかざしてくるが、その毛皮で跳ね返し、前腕を一閃し男達を薙ぎ払おうとするも、再び炎の弾丸や氷・土の弾丸が降り注ぎ飛雲虎の行動を阻害した。
じりじりと追い詰められていく飛雲虎と鬼乃部の娘達。
その様子に、僕の怒りが膨らみ穏業術では膨らむ気を抑え込めなくなり周辺一帯に爆発的に気が広がっていく。
気の爆発を受けて男達の半数近くが気を失い、フードの男達も膝を屈している。(導師と呼ばれた猫人族の女は飛雲虎の咆哮で既に倒れていた)
その隙に守麗・裂嘉は弥生の元へ飛び込み、武早達飛雲虎も含め庇うように男達の前に立ちはだかる。
僕はゆっくりと、弥生達の背後を囲む男達の中に乱入し、強化された膂力にモノを言わせて周りの木々へと投げ飛ばしながら歩み寄って行った。
フードの男達は、再び炎や氷の弾丸を放ったが、守麗が両手を前にかざし「妖気壁」と呟くとまるで空中に壁が在るかのように手前で全て止まった。
それを見て、さらに「サンダ―ハーケン」と叫ぶと雷の砲弾の様な物が降ってくるも同じ様に空中で防がれた。
そこに、裂嘉が「気層斬」と叫びながら右の手刀を空を斬り裂く様に振ると空中に断層が出来た様に空間が切れて空間と共にフード男達を一刀両断にし僕が二人の元に付く頃には武器を手に持つ者以外居なくなっていた。
その中のひと際体格の大きな男が、
「貴様ら何のつもりだ、せっかくの計画を台無しにしやがって!」
「何のつもり?面白い事を言うなぁ、見て分からないか?お前らの悪辣な所業を踏みつぶしてるんだよ」
「てめぇこの計画にいったいどれだけの労力を費やしたと思ってるんだ、余計な事をしやがって。死にやがれ!」
と言うが早いか残りの男達と一斉に武器を振り上げ襲って来た、大人数で一度に襲えば何とかなると思ったのかもしれないが、余程の鍛錬をしない限り多方向からの同時攻撃など出来る訳が無い、僅かではあるが時間差がある寧ろ無い方が仲間を自らの刃で傷つける可能性の方が高い=自分が傷つくかもしれないと本能的に時間差を作ってしまう。
僕はのその時間差を利用し、無手で懐に飛び込み笑底で顎を打ち抜きながら徑骨を螺旋折り、鳩尾に肘を捻じ込み内臓を破裂させ、鉤爪の様にした指で喉を抉り、顔面スレスレに蹴りを放ち起こした風で目を斬り裂きながら次々と戦闘不能・屍を築いていく。
先に大声をあげた大男は、両手持ちの斧を振り回し近づいてくる、その際付近に居た自分の仲間も巻き添えにしながら突進、その味方を巻き添えにする行為に一瞬驚いた間に僕も一撃を受けて後方へ飛ばされた。
それを見て、僕の名を呼ぶ弥生。その声に気を良くしたのか満面の笑みで近づく大男とその手下達。
何事も無かったかのようにゆっくり立ちあがるも、この機を逃してはならないと剣や槍が一斉に突き出され僕を串刺しにして行く・・・。
事は無く、僕の服は鎧へと変わり剣や槍を一切通さずその衝撃を跳ね返すように衝撃波を放ち武器を突き立てようとした男達を吹き飛ばした。
鎧姿の僕を見て、正確には鎧を見て弥生は目を見開き口元に手を寄せ驚いていた。
「そんな鎧などこの一撃で粉砕してやる!」と打ち降ろす斧に腰の脇差を気を注ぎ込みながら抜くと太刀に変わる、気の流れを現すかのように刀身の刃文は揺らめき、逆に斧をまるで豆腐を斬るかのように両断してしまった。
その光景に驚く大男がこの企ての頭目もしくは主犯格だと確信し、峯を返し太刀を叩きこみ昏倒させた。
大男が倒れるのを見た男達は、手に持った武器を放り出しその場から蜘蛛の子を散らす様に散りじりになって逃げ出した。




