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妖《あやかし》しの守人  作者: 月夜乃 遊策
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怪しき災い、白虎の言

 「異変は少し前から始まりました、私共が住まう「山」で獣の大量虐殺が起こる様になりました。

以前より近くの里の者がその食の為に必要な分の獣の殺害は、同じく他の生命からその生を食う事で生を得る者としていたしかたのない事と認めておりました。


 ですが、こたびはただ殺しだけで、その生を次の生につなげる事無く殺された者が余りにも不憫。

殺害者は明らかに、「人」によるものと分かる刃物の跡やワナによるものであったので、警告の意味を込め里の者の山への侵入を一時期妨害いたしました。


 と言っても、ほんの一時期、里の者が飢えて死ぬ様な事が起きない様に気を使い、三十夜の後には妨害を止め様としたのです。


 ところが、三十夜目のその夜最後の見周りに出かけた我が娘「千早」が姿を消してしまったのです。

千早は今年の春に産まれたばかりの経験不足の者ですが、親の私から見ても「力」は我ら飛雲虎の中でもなかなかにあると自他共に認める将来が楽しみな娘、大抵の者には後れは取らないと思っていたのですが、その夜の見周りの道中で何者かに拉致されたらしく「人」の物と思われる多数の足跡がある場所から千早の足跡は消えておりました。


 私共は、その足跡の主が千早を攫った者だとその跡を追って来たのですが、里の近くで忽然と消えてしまったのです。


 その後も、四方八方手を尽くす限り探したのですが現在に至るまで発見は出来ず、仕方なく時々里の近くに寄って呼んでいるのですが・・・」


と、うな垂れてしまった。


 里で聞いた話しと一部同じなのだが肝心な、導師が白虎と話したくだりは全く無かった事に不信を覚えその件を問いただすと

 

 「里に近づき、千早を呼んぶ何度目かの折に里から、確かに猫人族の者が進み出てきましたので、山での獣の大量虐殺の事・千早の事を話したのですが、残念ながらその者は我らの言葉を理解する事がで出来なかった様でございました。


 仕方なく、今夜も千早を連れ去ったと想われる者たちの跡が消えた場所で一縷の望みを託し千早を呼んでいたのでございます」


と言う返事だった。


 本来導師の言葉が本当ならば、導師の従者が湖で弥生ちゃんを襲うなどと言う事は無いのにその行為に及び尚且つその後、弥生ちゃん売る事まで考えていた事を鑑みると、この一件は導師一味による悪巧みなのではと想像できた。


 だが、この件は僕達が飛雲虎と話せると言う事が証明されなければ、いや例え証明できたとしても僕達の言葉だけでは導師一味の悪事を白日の下にする証拠には成りえない・・・。


 僕が思案に耽るのを見て、飛雲虎の武早は


 「申し訳ございません龍輝様、夜分遅くに長く御引き留めいたしました。

千早は誰かに捕えられたのではなく、その旺盛な好奇心を満たす為に、もしかしたら、好奇心の赴くままに湖の先にまで出ているのかもしれませぬ。今日はどうか、宿にお帰りになりお休み下さい。」


と、山へ去って行ったがその後ろ姿は寂しさに包まれていた・・・。


 里への道すがら、武早の後姿が瞼に焼き付いていた。


 守麗・裂嘉にその事を訪ねても、龍輝はどう考えるの?と逆に訊ねられてしまい、僕は思案の海へと沈んでいくしかなかった。


 里に帰ると、剛弥殿が心配して門の所で待っていてくれたが、思案の海に沈む僕を他所に守麗が、里の外に出てみたが暗く、白虎の姿を見つける事は出来ず。

闇夜に紛れて襲われても行けないと帰って来たのだと答えたらしい。


 その受け答えをする間中、導師とその郎党が僕らの方を窺っていたと裂嘉が後で教えてくれた。

僕らはそのまま剛弥殿の邸宅に帰った。





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