表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖《あやかし》しの守人  作者: 月夜乃 遊策
10/24

人間界から異世界へ、その参

 朝食は、流石に米と味噌汁の和食とは行かず、昨日取ったイノシシの肉を細かく刻み野生のセリやニラに似た野草を練り込み、塩で味付けし丸めた物を湯通しして火を通し野生の白菜かキャベツの様なもので巻いき、肉を湯通ししたお湯のアクをきれいに掬い取って肉から出た旨みと野生の香草の香るスープですませた。


 朝から肉は正直、胃もたれを起こすかな?と思ったけれど、一緒に野菜を多く取ったのが良かったのかその心配も無く力が漲って来る。

 やはり、朝食は欠かせない!


 朝食後、さっそく力のコントロールを試す事にする。

と言っても、食事の時は普通に器を持ち食べる事が出来るのだからその要領を思い出して一つ一つの動作を確認して行く。

 お昼頃には、なんとかはしの代わりに使える様な細い枝を使って物が挟み持てる事が出来るようになった。

これで、手づかみでの食事からは脱却できそうだ。

 力を抑えるコントロールは出来る目途が立つと今度は逆の事が知りたくなってくる。


 実際にはどの位、力が出せるのだろうか?


 だた、これはやたらに周りにある大木を倒したり岩を砕いたりしていたら只の自然破壊だ。

それに、実際岩なんて殴ったら自分の手が壊れてしまう。

と、二人に相談してみると別に岩を砕いた程度では僕の手が傷つく事はないのだが、岩を砕く程度では力を試す意味が無いと言われてしまった。


 いったい僕の体はどんなに頑丈になってしまっているんだろうか?


 自然破壊をせずに力を試すには・・・と考えてとりあえずジャンプをしたら少しは体感できるかな?と

 思いっきり飛び上がってみた、その瞬間何故か慌てる二人の顔が見えたがそれを確かめる事無く天空へと上昇してしまった。

 

 地上から重力が無いかのように見る見る離れて行く、周りの木々の頭を即座に越し、眼下に居るはずの二人の姿は見る間に小さくなり、あっという間に雲を突き抜け雲海を眼下に見ると流石に危機感を感じ腕をバタバタ動かして勢いをころした。


 やっと上昇が止まるがそこは自然の摂理、空中で止まれば後は落ちるだけ。


 あっという間に地上に落下し、なんとか足から落ちる事が出来たものの、落ちる勢いで地面に深く沈み埋まってしまった。


 なんとかその穴から這い出るものの、土の中ではい上がろうともがき続ける僕を、落ちて明いた地面の穴の上から二人は


 「何でいきなり飛び上がったんだ、もっと慎重に考えてから行動しろ!」


 「こうなると分かっているから力の制御の鍛錬をしているのに、バカだ!」


 「汚れた服は自分でちゃんと洗え!」


だの散々に罵倒されてしまった。


 が、実際には服を洗う事は無く、飛び上がった風圧と落果した時の土との摩擦でボロボロの布切れと化し異世界に渡って二日で二着の服をダメにしてしまった。


 泥だらけの衣類がボロボロになった姿を見て、二人は盛大に溜息をつき


 「近くの川で体を洗ってきなさい、変えの衣装は用意しておくから」


と言われ、体を洗いに川に走った。

 昨夜は、バタバタしていたから結局、風呂や水浴びなどで体を洗う事が出来なかったから、体を洗い川の水に浸かるだけでも気持ちが良い。

 陽気が良いのも手伝って、川の水の冷たさが心地よかった。


 体を洗い、二人のもとに戻ると守麗が荷物の中から、鎧箱をが出して来て昨日、道場で守麗の隣に鎮座していた鎧兜を出してきた。


 「このままでは、衣服が幾らあっても足りません、仕方ないですがこの鎧を来て下さい」


と告げられた。

 

 流石に鎧を身に付けるのは抵抗感があり、渋っていると


 「さっさとしなさい!!」


と一喝。

 何の反論も許されず、鎧を身に付ける事となってしまった。


 守麗の鎧兜は、漆黒の飾りと言えば兜に付いている金と銀の月と太陽を模った様な前立まえたてだけの物で、鉄板で体を包み込むようか形作られ、下腹部を守る様に九枚の草摺くさずり広がりその下に太ももを守る佩楯はいだてが下がる。

肩から腕には鎖と鉄板で作られた籠手こてで覆い、ひざからすねにかけてこれまた脹脛ふくらはぎまで覆う様に成形された鉄製の脛当すねあてて、喉元も首回りを守るたれ(涎かけ)で覆われた実質本位の戦鎧だった。


 鎧を着ている間は、僕には少し大きい様に感じていたのだが、兜の紐を締めると不思議と体にピタっとはまり、まるで僕の体に合わせた様な鎧兜だった。

 

 あつらえた様な鎧に興奮しながらも、チョッと恥ずかしくて顔を赤くしながら


 「可笑しくない、着け方合ってるかなぁ?}


と守麗を見ると惚けた様に僕の鎧姿をガン見する姿があった。


 僕の視線に気付き、あわてて何でもないふりをするんだけれど、いつもの凛とした立ち振る舞いとはかけ離れた余りにもぎこちない仕草に、なんだかとてもカワ・・・やめとこう。


 身を整えて、僕に近づいた守麗はもう一度鎧姿の僕を180度見まわし


 「ピッタリどこも可笑しい所は無いですね」


 「ちょっとジッとしていて下さい」


と背中に回り込み背骨の上に触れると


 「我が御名・守麗の名において誓う!今日この時より、いかなる時も主の身を守り、主の行く道を共に歩まん!」


と言った途端、背中から体内より練り上げた気を鎧に行き渡らせ鎧が鼓動を打つ。

 何が起きたのか分からない僕は、動くに動けず困っていると


 「もう大丈夫ですよ」


と言うので、何をしたんだ?と言うもののニコニコ笑うだけで何も答えてくれなかった。


 しかし、鎧姿のままでと言う訳にはいかないから、脱ごうとすると


 「脱がなくても、どんな服装でいたいのか想い描きながら、声に出して」


と言うから人間界で良く着ていた、ジーンズにラガーシャツを想いながらつぶやくと、鎧がまた鼓動したかと思ったらみるみるうちにジーンズにラガーシャツ姿に変わってしまった。

 手触りもそのままで、あの硬い鎧が柔らかい布に変わったのか問い詰めようとすると、守麗は


 「今着ていただいた鎧兜は、龍輝のお父様・須佐様ご愛用の鎧、鎧と言っても普段は衣服となりその身に危険がせまった時に鎧の姿に戻る心ある鎧・私の本体です。これからはどんな時も龍輝の身をを守ります。」


「水浴びやお風呂などの時に、裸になりたいと念じ告げれば見えない粒子となり服を着たいと言えば元の服に戻りますからね」


だそうで、なんだか守麗にいつも包まれている様で便利で有りがたいのだが、恥ずかしくなってしまう。


 今はまだこの世界の服装がよく分からないから、さっきまでの小袖と旅袴が無難かとジーンズから変えると


 今度は裂嘉が、


 「それなら私も!」 


と、黒い鞘の鍔の小さいあの太刀を懐から抜き出して(どうやって入れていたんだか?)僕の方に突き出してきた。


 じいちゃんとの刀術の稽古の時に、たまに真剣を持った事はあるけれど、平和だった人間界の生活では刃物を携帯する事は無かった(危険が迫った時には、脱兎の如く逃げるか体術・格闘術で十分)ため、この流れでは行くと何時も帯刀してろと言われそうで躊躇していると、裂嘉その大きな瞳に涙を溜めて僕を上目使いで眺めて来て・・・今回僕には選択の自由は無いと諦め黒刀を受け取り旅袴に差す。

裂嘉は真面目な顔で黒刀の柄頭つかがしらに触れながら


 「我が御名・裂嘉の名において誓う!今日この時より、いかなる時も主に仇なす全てのモノをを斬り裂き、主の行く道を切り開かん!」


と言うと柄頭へ体内からの気を注ぎ込むと黒刀が大きく鼓動を打った。

 二人とも同じ様な事をしニコニコしているのを見ると、何故だか背中に冷たい汗が流る。


 腰に差した黒刀をどうしたものかと悩んでいると、今度は何も言わないでみるみる小さくなり動くのに差し障りにならない小ささの脇差わきざしになってしまった。

 それに驚き裂嘉に視線を移すと、


 「その刀は龍輝が必要な時に必要と思った大きさになるから大丈夫、だから片時も肌身離さないでね!」


と嬉しそうに約束させられてしまった。


 昼食後は再び力の制御の鍛錬を続け、思ったよりも早く自分の力の制御が出来るようになった。

 守麗・裂嘉との組み手も試し、問題無い事を確認して、明日から妖狐の里に向いことにしようと決め、明日からの旅に備えその日は早めに休むことにした。


 夕食は川で魚を取り串焼きや燻製を作り、残った魚は塩をすり込んで一夜干しにし、月が頭の上に射しかかる頃には、焚火の前で昨夜あまり寝れなかった事も手伝い三人そろってうつらうつらし出していた。


 が、突然、静かな夜の帳を斬り裂く様に女性の叫び声が僕の耳に飛び込んできた。





 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ