SSその3 はろうぃん?
Happy Halloween!!
今日はアスフィアの国々でお祭り騒ぎである。
それもそのはず。なぜなら今日は200年前勃発した"最凶の種族"の内乱『龍血の狂乱』が終戦した日なのだ。
200年前に勃発したこの内乱はそれまでいた龍を約半数まで減らす程苛烈なものだった。そしてそれに巻き込まれた生物も多く、この内乱が収まるまでの10年で絶滅した生物は数しれない。今では世界中何処にでもいる『人間』もかなり数を減らした。
しかし、それももう200年も前の話。今では終戦記念日として数々の人々が一日中お祭り騒ぎするよき日となっている。
そして、それは"あそこ"でも変わらない。
毎年の如く、今日もお祭りが始まるようだ――――
◇◇◇
「「きゃー、かわいいー!!」」
いつにも増して声を荒らげる御二方。
今日はかつて我らが大いに楽しんだ"アレ"が終わった日。
200年前に勃発した"アレ"はそれはそれは楽しいものだった。肉の焦げる匂いに舞い踊る鮮血。同胞の咆哮と凄まじい断末魔。そして、我らが創造主の戦う御姿。あれ程甘美な時間は無かった。
しかし、今では"アレ"が終わった事を祝福する祭日とされているらしい。やはり、人間の感性というものは些か理解が出来ぬものだ。
しかし、今。我はその人間の感性が理解出来た気がする。
何故なら目の前には主様が我の格好をしているのだから!
『憤怒』様曰く『こすぷれ』と言うらしい。
『こすぷれ』。実に良いものだ。
目の前の主様は頭から二本の小さな角を生やしており、背からは立派な翼。腰部からは尾が生えておる。正しく今の我のような姿。
この格好は『憤怒』様が我をモチーフに用意してくださったらしい。不敬なれど何と嬉しいことか!!!
一方姫様は我が愚妹の格好をしておられる様だ。
あんなひ弱な蛇の姿なれど姫様が為さると何と気品溢れるものか。さながら天女のようだ。
「恥ずい…」
「おにいさま!とってもお似合いですよぉ〜♡」
どうやら主様はこの御姿が御恥ずかしい用で終始顔を赤らめている。
ふむ。これ程までに気品漂う御姿。恥ずかしがる事などないだろうと思うのだが。
『主様。とってもお似合いですよ』
「ク、クロガネまでそんな事をいうなよぉ〜」
ふむ。どうやらかける言葉を間違えたようだ。純粋に御褒めの言葉をかけただけなのに。やはり、言葉を交わすことは難しい。
「あ!そうだ!」
『む?どうされたのですか、主様』
急に声を上げる主様。何かあったのだろうか。我の索敵には何も反応は無い。そもそも何かあれば我以外の御仁ならば誰でも反応可能なのだ。
我の周りには実に強き御方が居られる。まぁ、我も下等生物に負けるはずが無いが。何せ偉大なる『七つの首』の御二方の眷属なのだから。
おっと、いかん。話がそれてしまった。兎にも角にも一体何があったのだというのか。
「実はお前にわたしたいものがあったんだよ」
『我に、ですか?』
「あぁ。毎年この日には家族に一つずつプレゼントを渡すのが恒例なんだよ。んで、今年は家族が三人も増えただろ?だから渡すのをすっかり忘れちゃってたんだ」
なんと。そのような決まりが存在していたのか。
待てよ、我は今何も持っていないのでは?
『主様!申し訳ございません…。我は"ぷれぜんと"なる物を有しておりません…』
「あぁ。それは別にいいよ。俺があげたいだけだから」
『しかし!!』
「シロガネならもう、ルーナから貰っているぞ」
『なんと?』
「はい、シーちゃん。プレゼントだよ〜」
『有難うございます、主様』
あの愚妹め。我々は御方に仕える従者だろうに!
そのような身分のものが与えられるのみなど不敬にも程があるだろう!!
『おい!愚妹!』
「こらこら、別にシロガネを怒る必要は無いだろ。ルーナもあげたくてあげているのだから。それに俺も後でシロガネにあげるし」
『ぐぬぅ…。主様がそう仰るのなら…』
しかし、従者としての心構えというものが奴は何も理解していない。
後でしっかりと教えてやらねば…。
「じゃあ、はい。これ」
主様から銀色に輝く輪を頂いた。
光沢を浴びたそれはきらりと光を反射し輝いている。実に美しい。
『これは?』
「これは腕飾りだよ。まぁ、お前は腕が短いけど。最近クリス姉に錬金術を習っていてさ。それで作ったんだ」
『なんと!主様自らお作りになられたものですと!そんな頂けませぬ!』
「いや、お前の為に作ったんだから貰ってくれ」
なんと…。我の為に作って頂いたものだとは…。
従者として主からの対価を得るなど不敬だが我の為に作って頂いた物なら頂戴してもいいだろうか。
いや、我はこの"腕飾り"とやらが欲しい!
『で、では…。有難く頂きます…』
「おう。あ、じゃあ俺が嵌めてあげるよ」
そう言って主様は我の腕を取るとカチリと腕飾りを嵌める。
我の黒く輝く鱗に銀の輪がとても栄える。なんと美しいか。
「これ、実は"クロガネ"って彫ってあるんだ。要するにお前の身分証明みたいなものにもなってるという訳」
『おぉ、それは素晴らしい』
これで傍から見ても我が主様の従者であると理解が出来る。
『大切にさせて頂きます』
「おう、大切にしてくれ」
主様はとても笑顔でそう仰った。
「今年のハロウィンは大成功ね」
「"はろうぃん"ってのが何なのか私知らないけど?」
「なんか異国の地では今日の事をこう呼ぶらしいわ」
「ふーん。まぁ、可愛い可愛い甥と姪からの素敵なプレゼントも貰えたし、中々いいものねハロウィンって」
今日の事は生涯忘れる事は無いだろう。
ハロウィン記念にSSを書いてみました。若干世界観が違うのは許してください…。
頑張って合わせてみましたが無理でした…。収穫祭なんて設定作れなかった…。




