第50話 第一結界の戦い 1
王賁、呂布の二人が結界内に入ると中はひどい有様であった。
崩壊した建物の数々、それのがれきが至る所にある。
地面も何か強い衝撃が加わったのか所々抉れている。
しかし、肝心の六将鬼の姿が見えない。
「しかし、鬼はどこにいるのでしょう?この辺りには見当たりませんが…………」
「さぁな…………」
「探し回るのも悪くな――!!」
何か起こったのか呂布が突然馬を降りて戦闘態勢をとっている。
「どうしたんですか?何か―――」
それを言いかけたところで、何かがものすごいスピードで呂布の方へと突っ込んできた。
事前に構えを取り、受けたが威力は凄まじく、後方へと吹っ飛ばされてしまった。
「呂布殿!!」
呂布はすぐに立ち上がり、こちらの方へとゆっくり向かってきている。
「これが破滅への終末闘争の力…………!クハハハ!力があふれ出てくる!!」
呂布をふっ飛ばしたのは豪だった。
彼は金棒を携えて、そこに立っている。
彼の様子はいつもと違い、破滅への終末闘争によって得た力に心酔している様子だった。
「破滅への終末闘争で俺だけでなく、お前らも強くなってるんだ。すぐに壊れるなよ!!」
「金剛砕き!!」
大きく振りかぶった金棒を思いっきり振り下ろす。
咄嗟に王賁は半身になって矛で受け止めるが、威力は凄まじく片側で重い荷物を幾つも持ったような重さが加わり、体勢を大きく崩され、そのまま地面に倒されてしまった。
もちろん受け止めた矛は折れて、金棒の下敷きになった部分は粉々になっている。
「直で受け止めなかったのはさすがだな。だが、すぐには逃げれまい。もう一撃でお終いだ!」
金棒を再び、王賁へと向かって振り下ろす。
か、呂布の振るった方天画戟がその一撃を食い止める。
「やっぱり破滅への終末闘争での強化は凄まじいな。俺のあの一撃を食らって衝撃を受けときながら軽症で済んでるんだからな」
「気づいてるか?破滅への終末闘争での強化の恩恵を受けているのは眷属の俺達だけじゃない。この結界に入った人間はその強化の恩恵を受けられる」
破滅への終末闘争は身体や能力の強化の恩恵を受けられる者を選ばない。
これは破滅への終末闘争を活発にするために設けられているものである。
しかし、強化の恩恵の強さは一定ではない。
強いものはより強く、弱いものは微々たる恩恵しか受けられない。
王賁や呂布は人外の域に到達しているが、六将鬼たちはその上を行く。
さらに時間がたてば闘争の激化により倍々に強くなっていく。
―――つまりこの戦いは短期で決めるほか十二星将に勝ち目はない。
「…………確かに貴様の言う通り、ここに入った時から肉体の強度が上がるのを感じていた」
「だが、所詮人外の域に到達した程度。元から人外の俺には届かねえよ」
確かにそのとおりである。
それに加え、状況もかなり悪い。
今まともに戦えるのは呂布だけ。
王賁は矛の代わりの武器を探さなければならない。
「私は武器を探さねば……!」
王賁はあたりを見渡す。
すると、近くのがれきの下に兵士の死体と槍が落ちているのが見えた。
「!あれさえとることができれば戦える!」
「取りに行かせるとでも思ってんのか!!」
槍を取りに走る王賁。
しかし、豪がそれを逃すはずなく追いかけようとする。
「フン!!」
呂布は方天画戟を横なぎに振り、豪の足止めを行う。
豪も咄嗟に金棒でその一撃を防いだ。
「…………貴様は勘違いをしている。俺はとっくに”人外”の域に到達していた!」
呂布はさらに力を込めると一気に方天画戟を振りぬいた。
豪は衝撃を押えているもののズズズと地面を擦りながら後退させられる。
「ハハハ……お前も”こっち側”だったか……!!」
「面白い……もっと魅せてくれよ!」
豪は再び金棒を大きく振りかぶる構えをとる。
「お前とその武器は耐えられるかな!」
豪は金棒を大きく振りかぶろうとする。
グサリ
と振りかぶることによって隙だらけになった脇腹を王賁の槍が貫いた。
「遅くなりました!呂布殿!」
「なっ……てめぇ!!」
豪は怒りで顔をゆがませている。
「てめぇから始末してやるよ……邪魔しやがっ―――はっ!!」
王賁が作った隙を呂布が逃すわけがなかった。
彼はお返しといわんばかりに大きく振りかぶった方天画戟を豪の脳天へと叩きつける。
「がはああっ…………!!!」
まさにクリティカルヒット。
完璧な一撃が決まって、豪はふらついている。
「この隙に二人で一斉に攻撃しますよ!」
王賁の提案で、息の合った攻撃を食らわせようとする。
「だぁああ!!くそがあああ!!」
豪はふらつきながらも、息の合った二人の攻撃を防御する。
しかし完璧な防御ではなかったため、かすってしまった。
「これで吹き飛べやああ!!!」
「豪筋・凪払い!!!」
豪はふらつきながらも金棒を構え、横なぎに振るう。
二人は防御の体制をとりながら避けたので、当たらなかったが、その風圧は武器を持つ握力より強く、二人は武器を落としてしまう。
「しまっ―――」
そう思った時にはもう遅かった。
王賁の眼前には金棒を構えた豪が立っている。
「岩融」
振り下ろされた金棒は王賁の背面に直撃し、地面にそのまま叩きつけられる。
「ごふっ…………!」
それはあまりに重い一撃だった。
王賁は立つことができず、血を吐いてその場に倒れている。
「くっ!」
武器を拾いなおした呂布は方天画戟で豪に襲い掛かるが、いともたやすく防がれてしまう。
「そういえば俺の能力を教えていなかったな。俺は自身の筋肉を自在に動かすことができる。増大させたり一点に集中させたりなんかができる」
「だから、こんなことまでできる」
豪は自身の筋肉を限界まで増大させてから、一気にそれを圧縮し始めた。
みるみるうちに元と同じ体系に戻っていくが、身体は悲鳴を上げている。
「筋隆躍動・獄」
「身体の負担はでかいが、限界まで増大させた後に無理やり圧縮した筋肉の爆発力は計り知れない」
「人外同士、決着を付けようや」




