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神の愛した桃源郷  作者: 魚精神
第三章 異界見聞旅編 第一節 リブラ王国編
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第46話 乗り込め闘技場!

 地図を頼りに闘技場へと向かってい行く。

 さっきの場所からそこまでは離れていない。

 徒歩15分といったところか。走ればさらに早くできるだろう。


 闘技場周辺にまで来ると先ほどの繁華街の通りとは雰囲気がまた違っている。

 街の雰囲気は暗めで、いたるところに奴隷の販売所がある。

 さらには武器を売っている店なんかもあり、治安は悪そうだ。


 「確かこの辺に……あれだ」


 目的の闘技場へとたどり着いた。

 中へ入る前に、イリスに服のフードを被せる。

 この子が亜人だとばれたら危険が及ぶからな。

 会場の受付の方へ向かう。


 「観客3人、剣闘士1人だ」


 「剣闘士は誰がやるんで?」


 「俺だ」


 「ほお………あんたよりも後ろ二人の方が強そうだがな。まぁいい、それで期間は?」


 「今日限りだ」


 「勝ってもあんまり儲からねえぜ」


 「構わない」


 「ククク……そうかい。あんたが生き残れるとも思わねえが、一応言っとくぜ。健闘を祈る」


 受付を済ませ、中へと入る。

 途中でイリスをアリエルとベルゼブブに預け、剣闘士専用ゲートの方へ向かう。

 ゲートをくぐると同じ境遇の人間がいっぱいいた。


 「あんた、ここは初めてか?」


 一人で立っていると、屈強な男に話しかけられた。


 「そうだが、あんたは?」


 「俺は長いさ。もう4年になる」


 「どうしてこんなところへ?」


 「俺は借金に追われててな、一獲千金を夢見てここに来たら思いのほかやれて、俺にだけ賭けてくれる専属の金持ちも付いてな。借金なんて当の昔に消えたが抜け出せずだらだらとやっているってわけだ」


 「そうだったのか」


 「そういうあんたは何のためにここへ?」


 「……ちょっと目的があってな。あんたには悪いが話せない」


 「ってことは今日限りか……ヒヒ、賢いな」


 「?」


 「だってよぉ、生物や人を殺すって快楽に目覚める前にここをされるんだろぉ。賢いよなぁほんと。ヒヒヒ……俺はもうとっくにその快楽に取りつかれちまってるもんなぁ!!」


 男はそこまで話すと、ずっと不気味な笑い声をあげ始めたのでそっと離れた。

 どうやらここにまともな奴は少ないらしい。


 それはそうと、目的の亜人を探すが人間の剣闘士とは別で分けられているのかこの場にはいなかった。


 「そろそろ試合が始まる。全員整列」


 運営の人間が剣闘士全員に整列を促す。

 それに従い、全員綺麗に整列する。


 試合の時間になると、門が開き全員入場する。

 観客席には仮面をつけた金持ちたちがたくさんいる。

 アリエル達もしっかり座っていた。


 俺たち全員が入り終わると、対面のゲートが開いて中から亜人と獣人の剣闘士が入ってくる。

 そうしてこの場に200人規模の剣闘士が集まった。

 この人数で一体何をする気だ?


 「それでは!今日のゲームのルールを説明するぞ!」


 「ルールは簡単、この場に50人残るまで好きなだけ殺しあえ!!」


 「ルール説明は以上!それでは始め!!」


 ルール説明が終わると、一斉に戦い始める。

 いきなりすぎる!少し出遅れてしまった。

 とにかく、あっち側に父親か母親がいるのに期待するしかない。

 どちらかがいたら、50人になるまで守りながら戦う。


 「おらああ!!よそ見してんじゃねぇ!」


 そんなことを考えていると、一人が斬りかかってきた。

 太刀筋は読みやすかったのでスッと避けて天龍で斬る。

 

 「ぐああ」


 バタリと血を流して倒れた。

 できれば殺したくないが、50人まで減らさないと俺の命が危ない。

 やるしかない。


 人をかき分けながら探っていく。

 すると、イリスから聞いた特徴と一致する亜人を見つけた。

 あれは母親の方か。

 

 会話をしようと近づいてみるが、いきなり剣を振ってきた。

 仕方がない。やらなければ自分がやられるのだから。

 その点で見れば彼女の行動はいたって普通だ。


 「やめてください!こっちにこないで」


 「待ってくれ、あんたと話がしたい。あんた、イリスの母親だろ?」


 イリスの名前を出すと動きがピタリと止まった。

 よし、一先ず話し合いができる状態にできたな。


 「どうして、娘の名前を………?」


 「あっちを見てみろ」


 俺はアリエル達のいる方を指さす。

 指さす方を見ると、イリスと目が合ったのかとても驚いている様子だった。


 「そんな………!どうしてここに!?」


 「あの子は人攫いにさらわれそうなところを俺達が保護したんだ。そして、父親と母親がここにいるって聞いて助けに来たんだ」


 「ああ…………よかった…………よかった…………本当に無事で…………!」


 母親は人目もはばからずその場で泣き崩れた。

 娘の無事を確認できたんだ。無理もない。

 だけど、今じゃない。


 「泣くのは今じゃない、とりあえず立つんだ」


 「そうですね………泣くのは娘と会った時に」


 「俺のそばを離れるな。絶対に守り通す!」


 次々と俺たちを殺しに来る剣闘士を一人、また一人と殺していく。

 彼女には指一本も触れさせない。

 その覚悟通り、俺は彼女に一人も近づけることなく守り抜いたのだ。


 「そこまで!今残ってるやつが次のゲームに進むぞ!」


 「待て!いったん終わって戻るのではないのか!」


 「ちがうぞぉ!ゲームは続けて2試合行うことになっている。1試合目が今終わったから次終わったら戻れるぞ!死ぬ気で戦え!!」


 クソ!そんなこと聞いてないし、説明すらされてないぞ!後出しで色々出しやがって!

 

 「さぁ次のゲームは残った50人でこいつと戦ってもらう!!」


 先ほど空いたゲートとは別のゲートが開き、中から異形の怪物が出てくる。

 体長は10メートル以上はあるのではと思われる大きさに、三つ首のライオンの頭がついている。

 そして何より、身体の側面や足などのいたるところに亜人や獣人の顔が埋まっている。


 「こいつは当闘技場で作り出した、最強のキメラだ!!攫ってきた亜人や獣人40人の怨念や魂がこもった怪物だぁ!!」


 「今宵の剣闘士たちはこの怪物を倒すことができるのか!!」


 クソ!こんな怪物どうやって倒す!

 使うしかないか、四神の宝剣。 

 神の力を!





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