間話 季節の交わる時
ある日の放課後、俺は春彦たちといつものゲームセンターで遊んでいた。
今は春彦と格ゲーで対戦をしている。
相変わらず俺のPSはお粗末なもので、全然ダメージを与えられてない。
「どうした?八雲、このままじゃ負けるぜ」
「なんの!…………あ」
必死の抵抗むなしく、液晶に映し出された”you lose”の二文字。
バックのBGMもどこか悲しげだ。
「へへっ、また俺の勝ちだな」
「やっぱり、春彦は強いな」
「そうかな。でも、八雲も前やった時より強かったぜ」
「そう言ってもらえるとうれしいな」
少しでも、うまくなっていたならまぁよしとするか。
「そういや、気になったんだけど……」
「ん?どうした?」
「春彦たちってどうやって出会ったのかなって」
「ああ、詳しい話を八雲にはまだしてなかったっけ」
「いいぜ、俺達の出会いの話をしよう」
そういって春彦は3人と出会った時の話を始めた。
――――――
俺はいつも退屈だった。
相伝の技を持つそこそこの家に生まれて、勉強もそこそこできて、友達もそこそこいる。
一見すると不自由なく過ごせていて、楽しそうな生活に見える。
だが実態は退屈そのもの。
相伝の技といっても派手さはないし、勉強もそこそこどまり、友達もいるが、趣味が合うわけではない。
俺がゲーセンに行こうと誘っても、あまりいい顔をしない。
だから退屈なんだ。
けど、そんな退屈な中で変化が訪れたんだ。
ある日俺のクラスに異世界からやってきた人間が来たんだ。
そいつは俺の隣の席になった。
話しかけてみるとそいつは俺の知らないことをたくさん知っていて、心底面白いやつだった。
帰り際に試しにゲーセンに誘ってみたら快く了承してくれて、たくさん遊んだ。
こんなに楽しい経験ができたのは生まれて初めてだった。
それからは俺は頻繁にそいつと遊ぶようになった。
そしてある日、俺に紹介したい奴らがいるっていって3人を連れてきた。
夏目、秋吉、冬瀬の3人。
3人ともゲーセンが好きで入り浸っていたところ声を掛けられ、俺の所に連れてこられたのだと。
俺はその3人ともすぐに打ち解けた。
俺たち全員得意なゲームとか何もかも違うはずなのになんか楽しいんだ。
この時俺は真の友達とは何かを知ったんだ。
それまでつるんでたやつとは疎遠になったが俺は気にしなかった。
だって、俺にはもうこいつらがついているんだから。
その頃からかな、俺の生活に色がでて退屈しなくなったのは。
で、そんなときにそいつが急に
「俺達の軍団を作ろう」
って言いだしたんだ。
最初こそ不思議に思ったが、すぐにみんな了承した。
そうしてできたのが春夏秋冬クインテットだった。
名前の由来は春彦、夏目、秋吉、冬瀬の名前にそれぞれ春、夏、秋、冬の春夏秋冬が入っていて、5人の軍団だからクインッテットなんだって言ってた。
別にこの名前にこだわる必要はなくて、メンバーが増えたら名前は変えるともいってたな。
ともあれ俺たちの仲はさらに深まったってわけだ。
けど、そんな日々も長くは続かなかった。
そいつは異世界の地球の日本というところからこの世界に迷い込んでしまった。
そしてたまたまそことの門がつながったから、そいつが元の世界に帰ることになってしまった。
それを知ってからは毎日のように遊んだ。
そいつが帰る当日までたっぷりと。
もちろん当日も見送りに行ったさ。
俺もそいつもみんな泣いていた。
別れ際にそいつはこういったんだ。
「俺達の絆は永久不滅だ。向こうに帰っても忘れない。それと、俺から一つお願いがある。もし、俺のような異世界人が来たら、そいつを迎え入れてやってほしい。この軍団がそいつの居場所になるようにして欲しい」
って言われたんだ。
もちろん断らなかった。
泣きながら手を握ってうなずいていた。
それだけ言い残すと、そいつは帰ってしまった。
――――――
「で、その後にお前がやって来たってわけ」
「そうだったのか…………」
「あ、あと言い忘れたけど秋吉と冬瀬は幼馴染だから2人で遊んでいる所にそいつが声かけたってわけだな」
「なるほどな。一つ聞きたいんだが、そいつ日本人って言ってたけど名前はなんていうんだ?」
「あーそういや言ってなかったっけ」
「名前は千石 穂高って言ってたな」
「千石穂高……知らない名前だな」
「けど、その制服ってやつ、お前と同じものだったぞ」
「そうなのか!?なら、単に知らないだけか下の学年とかなのかな」
「どうだろうな。ま、それよりあいつらの所で遊ぼうぜ!」
「そうだな!行くか!」
そうして俺たちは3人のいる所へと向かった。
俺はこの世界に来て春彦たちと出会えて本当に良かったと思っている。
そして、もし向こうに帰った時に千石にあったらこのことを話してやりたい。
春彦たちはお前との約束を守ってるぞって。
きっとそいつは喜ぶだろうし、誇らしく思うだろうな。
そんな光景を想像すると、なんか俺もとっても嬉しい気分になるな。
「八雲、つぎ俺と変われよ。秋吉にクレーンゲームうまくなったとこ見せてやれ!」
「おう!任せろ!」
みんなが笑いあっている。
いつかは俺が帰ることになったりして終わりが来るにしても、それまでこの幸せを嚙みしめていたい。




