アリサの小屋
森の奥の小屋。ここにアリサがいる。
小屋と言っても、飼育員用の休憩スペースも兼ねているので、
わりと結構大きな小屋だ。
大きな小屋ってなんか矛盾しているよな……。
矛盾なんか気にしていても仕方がない。
今はアリサに会うことが大事だ。
アリサは今どんな感じで小屋にいるのだろう?
ケガはしていないか?
精神は大丈夫なのだろうか?
竜を従えてしまったことで、
人格が変わって女帝みたいになってしまっているとか、
そういうことになっていたらどうしよう。
だがアリサがどんな状態であれ、
話を聞き、身柄の保護をしないといけない。
竜が自由に動き回るこの島は、危険だ。
アリサがいくら竜に愛情をもって接していても、
それは自分の飼育竜だけに限った話だ。
いずれ狂暴化した竜に会ったら、捕食され、命を失うだろう。
だから、アリサの身柄の保護は重要なことなのだ。
そのうえで、武装集団を倒すための、竜の使用許可も得たい。
「ねーねー。お父さん。
この小屋のドアを開けるんだよね。
開けていい? ねー」
エルマは、小屋のドアのまでぴょんぴょん跳ねてる。
エルマは、森の中の小屋が珍しがり、早く入りたがっていた。
俺とシオン先輩、アヤノさんは緊張しているのだが、
エルマはそのそぶりをまったく見せない。
元気いっぱいだ。
「あ、ああ。
開けていいけど、ゆっくり開けるんだぞ」
「うん!」
エルマは「えい!」とヒョウのような勢いでドアに飛び込んでいった。
「ゆっくり」と言っただろ!聞こえてないのか!
とうとうドアが開く。エルマが一番乗りだ。
俺と残りの人たち(シオン先輩、アヤノさん、カノン)が続く。
「わぁー。大きい!」
エルマは、はるか上にある吹き抜けの天井を見て、
感嘆の笑みを浮かべた。
「二階まであるよ!」
「こら、待ちなさい」
エルマはそのまま駆け出して、階段を上っていく。
小屋に入るときの挙動といい、
小屋にあがったときのバタバタぶりといい。
エルマには躾が必要だと感じた。
「きゃー! お父さん!」
エルマの悲鳴が二階から聞こえた。
「どうした!?」
エルマが何者かに襲われたのだろうか。
竜? 不審者?
どっちにせよ、ただごとではない。
俺たちは、急いで二階へと上がっていく。
そしてそこで見た光景は……
つづく




