表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『普通になれなかった僕は、社会の中で静かに壊れていった』  作者: こうた
第二章「高校生活:ズレが形になる」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
68/100

第18話 「会議で消える声」

文化祭実行委員になって二週間。



---


直人は毎日のように放課後の会議へ参加していた。



---


最初の頃よりは流れが分かってきた。



---


誰が中心人物なのか。


誰が意見をまとめるのか。


誰が場を盛り上げるのか。



---


少しずつ見えてくる。



---


だが、 見えるようになったからといって、 参加できるようになったわけではなかった。



---


会議室。



---


長机が並ぶ。



---


十数人の実行委員。



---


議題は文化祭当日の企画だった。



---


「射的やろうぜ」



---


「いや予算足りない」



---


「じゃあ別の案」



---


意見が飛び交う。



---


直人にも考えがあった。



---


前日に調べた案。



---


予算も計算した。



---


必要な材料もまとめた。



---


ちゃんと準備してきた。



---


発言しようとする。



---


だが。



---


誰かが話し始める。



---


直人は止まる。



---


話が終わくのを待つ。



---


別の誰かが話し始める。



---


また止まる。



---


気づけば十分経っている。



---


手元のメモだけが残る。



---


そして会議終盤。



---


司会役が言う。



---


「他に意見ある?」



---


静かになる。



---


今だ。



---


直人は口を開く。



---


「あの――」



---


その瞬間。



---


別の男子が言った。



---


「あ、俺ある」



---


会議の視線が一斉にそちらへ向く。



---


直人の声は消える。



---


誰も悪くない。



---


割り込まれたわけでもない。



---


ただ、 少しだけ遅かった。



---


会議終了。



---


メモは使われなかった。



---


直人はノートを閉じる。



---


帰り道。



---


足取りが重い。



---


準備した意味があったのだろうか。



---


考えた意味があったのだろうか。



---


家へ帰る。



---


部屋に入る。



---


机の上には、 昨日遅くまで作った資料がある。



---


予算表。


必要備品。


実施案。



---


全部そのまま残っている。



---


誰にも見せていない。



---


夜。



---


布団の中。



---


直人は思う。



---


自分の考えは間違っていたのか。



---


いや。



---


言う前に終わった。



---


それが苦しい。



---


失敗したなら納得できる。



---


否定されたなら諦められる。



---


でも今回は違う。



---


存在しなかったことになった。



---


それが一番つらかった。



---


まだこの頃の直人は知らない。


声の大きさや発言速度が評価されやすい環境では、


「考えている人」より、


「先に言える人」が有利になることを。



---


そして、


その現実に直面した時、 自分の価値そのものを否定されたように感じてしまうことを。



---


ただこの夜は、


誰にも届かなかったメモを握りしめながら、


静かに天井を見つめ続けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ