第7話 「“普通にやってるのに怒られる”違和感」
直人は、 指示通りにやっているつもりだった。
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でも結果として、 よく注意される。
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ある日の授業。
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プリント課題が出る。
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「ここからここまでやっておいて」
先生の説明は短い。
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周りはすぐに始める。
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直人も同じように始める。
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丁寧に。
順番通りに。
抜けがないように。
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時間をかけて進める。
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やっと終わる。
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提出する。
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「遅い」
先生に言われる。
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直人は止まる。
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“間違えていないはずなのに”
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正確にやったつもりだった。
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でも評価は違う。
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放課後。
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グループ活動の準備。
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役割が曖昧なまま始まる。
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直人は、 できることを探して動く。
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細かい作業を担当する。
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気づいたら、 全体の流れから少し外れている。
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「そこじゃない」
誰かの声。
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直人は手を止める。
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悪気はない。
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でも、 自分の判断はいつもズレる。
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家へ帰る。
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母が言う。
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「ちゃんと周り見てやりなさい」
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直人はうなずく。
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でも、 “周りを見る”という感覚が曖昧だった。
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どこまで見ればいいのか。
何を基準にすればいいのか。
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夜。
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布団の中。
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今日の出来事を思い返す。
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言われた通りにやっているはずなのに、 評価が合わない。
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その理由が分からない。
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まだこの頃の直人は知らない。
「正確にやること」と「求められる速度」は、 必ずしも一致しない場面があることを。
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そして、 暗黙の優先順位が理解されないと、 “遅い”という評価だけが残ることを。
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ただこの夜は、
自分のやり方が間違っているのかどうか分からないまま、 静かに眠りへ落ちていった。




