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『普通になれなかった僕は、社会の中で静かに壊れていった』  作者: こうた
第二章「高校生活:ズレが形になる」

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第7話 「“普通にやってるのに怒られる”違和感」

直人は、 指示通りにやっているつもりだった。



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でも結果として、 よく注意される。



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ある日の授業。



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プリント課題が出る。



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「ここからここまでやっておいて」


先生の説明は短い。



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周りはすぐに始める。



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直人も同じように始める。



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丁寧に。


順番通りに。


抜けがないように。



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時間をかけて進める。



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やっと終わる。



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提出する。



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「遅い」


先生に言われる。



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直人は止まる。



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“間違えていないはずなのに”



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正確にやったつもりだった。



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でも評価は違う。



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放課後。



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グループ活動の準備。



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役割が曖昧なまま始まる。



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直人は、 できることを探して動く。



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細かい作業を担当する。



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気づいたら、 全体の流れから少し外れている。



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「そこじゃない」


誰かの声。



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直人は手を止める。



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悪気はない。



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でも、 自分の判断はいつもズレる。



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家へ帰る。



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母が言う。



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「ちゃんと周り見てやりなさい」



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直人はうなずく。



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でも、 “周りを見る”という感覚が曖昧だった。



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どこまで見ればいいのか。


何を基準にすればいいのか。



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夜。



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布団の中。



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今日の出来事を思い返す。



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言われた通りにやっているはずなのに、 評価が合わない。



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その理由が分からない。



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まだこの頃の直人は知らない。


「正確にやること」と「求められる速度」は、 必ずしも一致しない場面があることを。



---


そして、 暗黙の優先順位が理解されないと、 “遅い”という評価だけが残ることを。



---


ただこの夜は、


自分のやり方が間違っているのかどうか分からないまま、 静かに眠りへ落ちていった。

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