表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『普通になれなかった僕は、社会の中で静かに壊れていった』  作者: こうた
第二章「高校生活:ズレが形になる」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
54/100

第4話 「笑いの中に入れない理由」

高校の教室では、 笑いがよく起きていた。



---


何気ない一言。


誰かの失敗。


ちょっとした冗談。



---


そのたびに、 空気が一気に明るくなる。



---


でも直人は、 その“明るくなる瞬間”に少し遅れる。



---


ある日の授業前。



---


誰かが小さな失敗をした。



---


教科書を落とす。



---


それだけのこと。



---


周りが笑う。



---


「やばいそれw」


「今日調子悪いな」



---


笑いが広がる。



---


直人は状況を理解する。



---


“今は笑う場面”



---


そう判断する。



---


でもその判断が一拍遅い。



---


気づいた時には、 笑いのピークは少し過ぎている。



---


それでも笑う。



---


小さく。



---


すると、 自分だけズレている気がする。



---


昼休み。



---


グループの中で誰かが冗談を言う。



---


周りはすぐ笑う。



---


直人は一瞬止まる。



---


意味を理解する。



---


その後に笑う。



---


でもその時には、 話題は少し進んでいる。



---


笑いの“輪の中心”にはいない。



---


ただ“後から反応している人”になる。



---


放課後。



---


友達が言う。



---


「直人って反応ちょっと遅いよな」



---


冗談のように言われる。



---


直人は笑う。



---


でも内側では少し引っかかる。



---


“遅いのは分かっている”



---


でも、 どう速くすればいいのか分からない。



---


家へ帰る。



---


母が言う。



---


「なんか楽しそうじゃないね」



---


直人は黙る。



---


楽しそうに“見えていない”のは分かる。



---


でも、 どう見せればいいのか分からない。



---


夜。



---


布団の中。



---


今日の笑いの場面を思い出す。



---


自分が入れなかったわけではない。



---


でも、 完全には入っていない。



---


その中間。



---


一番曖昧な場所。



---


まだこの頃の直人は知らない。


笑いの場面では、 内容理解よりも“タイミング同期”が重要になることを。



---


そのズレが繰り返されると、 参加しているのに“外側扱い”されやすくなることを。



---


ただこの夜は、


教室の笑い声を思い返しながら、 静かに胸の奥が重くなっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ