第50話 「それでも朝は来る」
直人は、 どれだけ眠れなくても朝は来ることを知っていた。
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考えが止まらない夜でも、 時間だけは進んでいく。
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布団の中で、 頭の中を何度も整理しても答えは出ないまま朝になる。
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目覚ましが鳴る。
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重い体を起こす。
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また一日が始まる。
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昨日と同じように、 少しだけ不安な気持ちを持ったまま。
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教室へ向かう廊下。
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足音が響く。
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周りの声が聞こえる。
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昨日と同じ世界のはずなのに、 少しだけ遠く感じる。
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席に座る。
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「おはよう」
誰かが言う。
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直人も返す。
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「おはよう」
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それだけで一日が始まる。
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何も解決していない。
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何も変わっていない。
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でも、 生活は続いていく。
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授業。
昼休み。
放課後。
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同じような“うまくいかなさ”を抱えたまま、 時間だけが積み重なる。
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それでも周りは進んでいく。
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笑いながら。
話しながら。
迷いなく。
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直人はその中で、 少しずつ自分の位置を探し続けている。
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まだこの頃の直人は知らない。
この「違和感の連続」が、 やがて“自分の輪郭”を形作っていくことを。
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壊れていくように見えた日々が、 実は“気づきの積み重ね”でもあったことを。
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ただこの朝は、
理由の分からないまま始まった世界の中で、 静かに一歩を踏み出していた。




