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『普通になれなかった僕は、社会の中で静かに壊れていった』  作者: こうた
第一章 「みんなと同じ世界なのに、少しだけ違った」幼少期編

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第49話 「積み上がる“違和感の正体”がわからない」

直人は、 最近になって一つの感覚を持つようになっていた。



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「何かがずっとズレている」



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でもそれが何なのかは分からない。



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ある日の教室。



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授業は普通に進んでいる。



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会話もある。


笑いもある。


注意もない。



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表面上は何も問題がない。



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でも直人の中では、 ずっと小さな違和感が続いている。



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“ここで笑うのが遅い” “ここで黙るのが変かもしれない” “さっきの返事は合ってたのか”



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一つ一つは小さい。



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でも消えない。



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昼休み。



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友達の会話に入ろうとする。



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でも、 タイミングが分からない。



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入れないまま、 話題が変わる。



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また外側に戻る。



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放課後。



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誰かが言う。



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「最近ちょっと元気ない?」



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直人は止まる。



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自分では普通にしているつもりだった。



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でも“普通”の基準が分からない。



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家へ帰る。



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母が言う。



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「なんか考えすぎじゃない?」



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直人は黙る。



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その通りかもしれない。



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でも、 止め方が分からない。



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夜。



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布団の中。



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今日一日を振り返る。



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何が正しくて、 何が間違っていたのか分からない。



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ただ、 ずっと違和感だけが残っている。



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まだこの頃の直人は知らない。


この「正体の分からない違和感」が、 実は複数の小さなズレの集合体であることを。



---


一つ一つは些細でも、 積み重なると“世界そのものの違和感”として感じられることを。



---


ただこの夜は、


説明できない違和感だけを抱えながら、 静かに眠れない時間が続いていた。

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