第48話 「“できているつもり”と“できていない現実”」
直人は、 自分ではできているつもりのことが多かった。
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でも結果だけを見ると、 できていないことになっている。
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そのズレが、 少しずつ積み重なっていく。
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ある日の授業。
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ノートはちゃんと取っている。
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先生の話も聞いている。
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理解もしているつもりだった。
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でも、 小テストで点が取れない。
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「ここ、なんで間違えたの?」
先生に聞かれる。
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直人は止まる。
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“分かっていたはずなのに”
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説明できない。
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頭の中ではつながっていたものが、 紙の上では抜け落ちている。
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昼休み。
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友達が言う。
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「直人って真面目なのにミス多いよな」
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笑いながらの言葉。
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悪気はない。
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でも直人の中には残る。
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“真面目なのにできない人”
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その評価だけが浮かぶ。
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放課後。
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提出物を確認する。
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やったはずのところが抜けている。
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またか、と思う。
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“ちゃんとやったつもり”
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その感覚が信用できなくなる。
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家へ帰る。
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母が言う。
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「ちゃんと見直した?」
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直人は少し迷う。
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「……した」
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でも本当は、 見直した“つもり”だった。
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夜。
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布団の中。
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今日の失敗を思い返す。
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できていたと思っていたことが、 できていなかった。
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そのたびに、 自分の感覚が少しずつ疑わしくなる。
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まだこの頃の直人は知らない。
「自己評価」と「外部評価」のズレが繰り返されることで、 自分の判断そのものに不信感が生まれていくことを。
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そしてその不信感が、 行動の迷いをさらに増やしていくことを。
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ただこの夜は、
“自分はちゃんとできているのか” という答えのない問いを抱えたまま、 静かに眠りへ落ちていった。




