表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『普通になれなかった僕は、社会の中で静かに壊れていった』  作者: こうた
第一章 「みんなと同じ世界なのに、少しだけ違った」幼少期編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
43/100

第43話 「“本当の自分”を出すのが怖い」

直人は、 少しずつ“自分を出さない方法”を覚えていた。



---


本当に好きなこと。


本当に気になったこと。


本当に言いたいこと。



---


それをそのまま出すと、 ズレることが増える。



---


だから隠す。



---


ある日の昼休み。



---


男子たちがゲームの話をしている。



---


直人は本当は、 昨日読んだ図鑑の話をしたかった。



---


新しく知った知識。


細かい構造。


不思議だと思ったこと。



---


頭の中にはたくさんある。



---


でも、 前に話しすぎて空気が止まった記憶が残っている。



---


だから言わない。



---


代わりに、 みんなの話へ合わせる。



---


「へえ、すごいな」



---


自分の言葉ではない感じがする。



---


でも、 その方が安全だった。



---


授業中。



---


先生が質問する。



---


直人には別の考えが浮かんでいる。



---


でも、 “変な答えかもしれない” と思って口を閉じる。



---


周りと同じ答えを探す。



---


放課後。



---


友達が言う。



---


「直人って、あんまり自分の話しないよな」



---


直人は笑う。



---


でも本当は違う。



---


話したいことはある。



---


ただ、 そのまま出すのが怖い。



---


変に思われるかもしれない。


引かれるかもしれない。



---


その不安が先に来る。



---


家へ帰る。



---


部屋に入る。



---


机の上には、 好きな本やノートが並んでいる。



---


ここでは自由に考えられる。



---


細かく調べられる。


好きなことへ集中できる。



---


でも学校では違う。



---


“普通”へ合わせる方が優先される。



---


夜。



---


布団の中。



---


今日も、 本当に言いたかったことを言えなかった。



---


本当の反応を隠した。



---


それを繰り返しているうちに、 少しずつ分からなくなる。



---


“自分って、どんな人だったっけ”



---


まだこの頃の直人は知らない。


この「自己抑制」が、 長く続くと“自分の感覚の喪失”へ繋がることを。



---


周囲へ適応するほど、 本音と建前の境界が曖昧になることを。



---


ただこの夜は、


誰にも見せていない自分だけを抱えながら、 静かに目を閉じていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ