表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『普通になれなかった僕は、社会の中で静かに壊れていった』  作者: こうた
第一章 「みんなと同じ世界なのに、少しだけ違った」幼少期編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
26/100

第26話 「“気にしすぎ”で終わる苦しさ」

直人は、色んなことを気にしていた。



---


相手の声のトーン。


ちょっとした表情。


言葉の間。



---


周りは気づかないような小さな変化が、 直人にはずっと引っかかる。



---


ある日の授業中。



---


先生がプリントを配っている。



---


直人のところへ来た時だけ、 少し無言だった気がした。



---


“怒ってる?”



---


その考えが頭に浮かぶ。



---


でも次の瞬間には、 先生は普通に別の子へ話しかけている。



---


“気のせいかもしれない”



---


そう思う。



---


でも、 一度気になったものは頭から離れない。



---


その後の授業も、 先生の表情ばかり気になってしまう。



---


ノートを書く手が止まる。



---


また置いていかれる。



---


昼休み。



---


男子たちが笑っている。



---


その中で一人が、 ちらっとこちらを見た気がした。



---


“今、自分のこと言った?”



---


急に不安になる。



---


でも実際は、 全然違う話かもしれない。



---


分からない。



---


分からないまま、 頭の中だけが苦しくなる。



---


帰り道。



---


直人は今日のことを何度も思い返していた。



---


先生の顔。


男子の視線。


自分の返事。



---


“変じゃなかったかな”



---


考えれば考えるほど不安になる。



---


家へ帰る。



---


母が聞く。


「なんか元気ないね」



---


直人は少し迷ってから言う。



---


「……先生、怒ってたかもしれない」



---


母は少し不思議そうな顔をする。



---


「考えすぎじゃない?」



---


その言葉に、 直人は黙る。



---


たぶん、母は悪気なく言った。


安心させようとしたのだと思う。



---


でも直人には、 少し苦しかった。



---


“気にしすぎ”



---


自分でもそう思っている。



---


でも、 気になるものは気になる。



---


止められない。



---


頭の中で勝手に考え続けてしまう。



---


夜。



---


布団へ入る。



---


昼間のことをまた思い出す。



---


“気にしすぎ”



---


もし本当にそうなら、 どうして自分は止められないんだろう。



---


周りはもっと簡単に忘れている。



---


でも自分だけ、 ずっと引きずってしまう。



---


先生の表情。


声の強さ。


相手の沈黙。



---


小さな違和感が、 頭の中でどんどん大きくなる。



---


まだこの頃の直人は知らない。


この「過剰に気づいてしまう感覚」が、 神経の敏感さや不安特性と結びついていたことを。



---


周囲の刺激を、 必要以上に受け取ってしまっていたことを。



---


ただこの夜は、


“もっと気にしない人になりたい”


そう願いながら、 静かに目を閉じていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ