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ルミナス魔法学園物語 ~『私はお姉さまとゆるゆる学園生活したいだけです!』~  作者: 月羽


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第69話 竜(ドラゴン)

 

 見上げる先にあるのは扉……

 扉の向こうにはまた扉がありました!

 しかもです!先程の扉よりも、もっともっと巨大な扉ですよ?

 先程の扉が竜《ドラゴン》が出てきそうとするなら

 そうですね、この扉はもっと大きな竜《ドラゴン》が……

 …いいえ、いったん竜《ドラゴン》の例から離れましょうか。

 それに、もっと驚くべきところがあるのですから。

 

 それは、白亜の石が高く高く積み上がった建造物。

 しかも!ただ積み上げただけではありません。

 直線と曲線が規則正しく組み上げられ

 それでいて優雅さと神々しさを放っています。

 

 建造物の所々には紋様と彫像が彫り込まれているのが見える。

 並び立つ竜と人、そして創世の女神の姿……

 竜の下に刻まれた文字は古代文字…魔法文字。『kckcmnk』でしょうか…?

 女神と竜に対峙するように彫り込まれているのは異形の存在。

 多数の手足に角や牙、燃え盛る様な目。獣の様な魚の様な……

 悪魔?怪物?いずれも、私の今の知識には無い姿。

 

 でも『あれ』が世界に災厄を振り撒く存在である事は直感でわかります。

 彫り込まれているのは多分、太古の歴史…創世神話の時代。

 そんな古き歴史を刻んだ建造物。

 私達の前に佇む様に在るのは巨大な『神殿』です。

 

 私が驚いた巨大な扉はこの神殿へ入るための物。

 この神殿が私達が儀式を行う場所なのでしょうか?

 とするなら……

 あの『構造物の虚像』は神殿の内部を映し出した物?

 それに空が暗いのも気になります、日が落ちるにはまだ早すぎる時間。

 もしかして、ここは外では無くて広大な空間の中のなのでしょうか…?

 なんだか緊張と同時に心が躍り始めました。

 

 生徒会長フィールさんの言葉は聞いた時には。

 危険と試練が背中合わせの、死と危険が待つ迷宮の様な物を想像していました

 でも、実際に見るそれは神秘的で

 この中に何があるのか?どんな事が待っているのか?

 そんな好奇心を刺激する場所でした。

 

「ライラ…この先にあるのかな?」

 見上げたまま振り向かず言葉を告げ、隣で私と同じ先に視線を向けているであろう彼女に声をかける。

 振り向かずともわかるから、手から空気から彼女が伝わって来るから。

 だから、少し間を開け彼女の言葉が返ってくる。

「ええ!多分、いよいよですわ…覚悟を決めましょう」

 ライラの弾んだ声が私の左耳を叩く

 声だけでは無い、握ったままの手から手へ興奮と緊張が伝わって来る。

 

 それは他の代表達も同じなのか、驚きと興奮混じりの声が聞こえる。

「あれはなんにゃ?なんにゃ?のぼっていいのかにゃ?」

「多分ダメだとおもうな~」

 …何か、別の方向に興奮してる子もいますね……

 

 パンッ!

 

 そこへ手を叩く音が響きました。

 音は空間に木霊し広がり、叩いた主に視線を引き寄せる。

 手を叩いたのは、私達をここまで先導してきた二年生の先輩お姉様。

 

「一年生達!私に注目!ちゅーもく!」

 大き目の声で言うと、二年生お姉様はもう二度手を叩きました。

 手を叩く度、藍色の髪がふわふわと上下に揺れるのが可愛い。

 だから、つい笑みが零れそうになるけどここは我慢。

 私達の視線が集まるのを確認すると、先輩お姉様は咳払いを一つしてから言葉を続けます

 

「あのね?皆、驚いている様だけど、今日はこの扉の向こうへは行かないの

 もっとも…私達上級生もこの扉の向こうへ行った事は無いのだけどね?」

「え?」

 八つの声が重なり、暫し沈黙。

 

「あはは、ここに初めて着た子達はみんなそんな反応するのよね……

 一年生の時の私達もそうだったし……」

 言って先輩お姉様は肩を竦め、くるりと両掌を見せる。

「扉を潜っていきなり目に入るものね、しょうがないしょうがない

 さ、今日はこっちよ」

 そう言うと、先輩お姉様は視線を私達に対し右へと向ける。

 

 先輩お姉様の視線を追うと、神殿の囲う石柱に添う様に石畳の道が続いている。

 その先は…見えない。薄暗く、先の方がどうなっているのか、ここからでは見通す事が出来ません。

「みんな、この先が気になる?気になるわよね、じゃあ行きましょう

 サクサクッと儀式を終えて、後夜祭を楽しみましょう」

 そう言うと、先輩お姉様は手招きする様に手を振りながら、私達を先導し歩き始めました。

 

「はぁ、まだ先がある様ですわね」

「そうみたいだね、先に行こう」

 ライラと共に肩を竦め苦笑すると、私達は向きを変え再び歩き始める。

 神殿の事も気になるけど、今は儀式が優先。

 また、いつかの機会までごきげんよう。

 

 ma…

 

「ん…?」

 神殿前から去ろうとした直後。声が聞こえた、私を呼ぶ声。

『私を』と言ったけど、私の事を呼んだのかはわからない。

 でも、聞こえたのは本当。儚げな…寂しげな…そんな声です。

 だけど、どこから聞こえたのかわからない。

 わからないけど、この場において私を呼ぶ可能性が高いのは彼女しかいない。 

 

「…ライラ、何か言った?」

「は?何も言ってませんわよ…?」

「…空耳かな?」

 首を左右に回し、他に声の主と思われる姿はありません。

 さらに視線を小さく後へと向けてみるけど、私へ視線を向けてる子はいません。

 サリナと呼ばれていた、赤毛の狐耳少女も今は私を見ていない様です……

 

「にゃ?きしゃー!」

「…あ……」

 目が合いました。歯を剥き出しにし尻尾を立て威嚇されました。

 うん、やはり少なくとも私を呼んだのは彼女では無いみたいうですね。

 

「…何をやっていますの…?」

「な、なんでもないよ…あはは」

 とりあえず苦笑してごまかすけど

 ライラは「おかしな方」と首を傾げていました。

 

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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