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ルミナス魔法学園物語 ~『私はお姉さまとゆるゆる学園生活したいだけです!』~  作者: 月羽


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第61話 祭の時間ー1

 

「冷たい!?でも甘い!美味しい!ナニコレ!?」

 舌が『ソレ』に触れた瞬間、冷たさ甘さが同時に全身に広がっていく。

 生まれて初めて食べた『ソレ』の衝撃に、私の舌と頭が激しく驚愕しています

 器に入った『白い物体』、こんな素敵な食べ物がこの世にあったなんて……

 

「でしょでしょ!最近、商都の方で人気なんだって!」

 呆ける私に嬉々として語りかけるのは森妖精の少女ことコロネ。

 森妖精の特徴である葦の葉の様に尖った耳が、ピコピコと盛大に揺れています。

『ソレ』は本当に美味しい、だから彼女の反応も良くわかるし同意する。

 

「こっちでも売らないかしら?毎日でも食べたい!」

「だよねーだよねー!だよねーだよねー!『アイスィーツ』すごい!」

 さらにルキアの声が続き、メリッサの声が飛び出す。

 ルキアのテンションは妙に高いし、目は星のキラキラとしている。

 メリッサの方は暴走した音声再生魔法具の様にクルクルと回っています。

 彼女達だけではありません

 周囲には大勢の少女達が驚きの言葉を口にし、『ソレ』を無心に口へと運び続ける

 

『ソレ』とは冷たい菓子『アイスィーツ』の事。

 甘いクリーム菓子を氷結の魔法で冷やしながら練り固めて作る甘くて冷たいお菓子

 名前と噂だけは聞いた事があったけれど、すごい!

 こんな風に、舌の上で蕩ける様に溶けていく冷たいお菓子はなんて生まれて初めて

 冷たい菓子としては、果汁を凍らせた氷果は食べた事があるけど…… 

 それとこれは完全に別格別物!

 しかも!これが街中の菓子店ではなく学園で食べる事が出来るなんて……

 婚礼祭すごい!さっきからすごいしか言って無い気がするけれど

 感動で言葉を考える頭がどこかへ飛んでいるのだから仕方がないのです。 

 

 さて……

 学園でなぜこんな素敵な物を食べる事が出来たのかと言うと……

 屋台があるから!

 ここは婚礼祭を盛り上げるため上級生達が校庭に作った屋台村。 

 屋台『村』と言うだけあって『アイスィーツ』の屋台だけでは無く

 揚げパンの屋台やドーナッツの屋台、麺やスープを売る屋台もあります

 他にも食べ物だけでなく、射的や輪投げ等の遊戯の屋台も。

 

「はぁ…お祭り楽しい、お祭り最高……」

 呟きながら周囲を見渡せば輝きに満ちている。

 楽しいを集めて空高くバラまいた様な……

 そんな光景がここにはある。

 

「お祭り美味しい…うにゃ……」

 幸せを感じながらアイスィーツを口へと運んだ直後、肩に重みを感じました。

 この感触は顎ですね、そして私の頭を突く柔らかく尖った物。

 

「シルファ!シルファ!」

 そして続く耳間近で聞こえる聞き慣れれた声。

「はいはい、コロネなぁに?」

 このやりとりもはや慣れたもので。

 コロネに顎を乗せられる事を気にしなくなっている私がいて

 だからそのまま会話を続ける。

 

「うん、セレーネ先輩達も何か屋台をやってるのかな?って」

「あ…そう言えば、聞いてない……」

 言われて気付きましたよ?

 

 婚礼祭は一年生が主役の行事ではあるけど、この屋台村の様に二年三年の上級生達も何かしらの形で参加する。

 そうなると、二年生であるセレーネお姉さまもどこかで何をしているはず。

 でも、お姉さまからは何も聞いていない。

 

「んー……、お姉さま私を驚かせたくて隠しているのかな…?」

「探してみる?屋台巡りしつつさー」

「そうだねー……」

 残りの一口を口へと運び、しばし考える。

 

 婚礼祭の本番でもある『巡礼の儀』は午後から。

 着替え等の準備の時間を含めてもまだまだ余裕がある

 ならば、コロネの提案に乗ってみるのも良いかもしれません。

 それになにより、お姉さまがどこで何をしているのか興味深いし気になります!

 つまりこれは私の知らないお姉さまを知る絶好の機会なのです。

 これは逃さない手はありません。私の意思は固まりました。

 それに……、儀式前にしておきたい事もある。

 

「うん、その提案のっ……」 

 でも、考えている間も時間は動き、事態も動く。

 私が『のった』を言い終える前にそれは起こりました。

 

「シルファちゃん発見!」「シルファちゃん確保!」

「え…?」

 言い終えるよりも先、左右の耳に私の名を呼ぶ声が聞こえる。

 私の耳よりやや高い位置、多分どちらも女の子。

 声だけではありません、左右からがっしりと腕を絡め取られてしまいました。

 

「あの!あの貴女達は一体…?」

 身体を動かせないので、首を左右に回し私を確保?した二人を見る。

 そこにあったのは、やはり私よりも背の高い二人の生徒。

 一人は金の髪を肩ほどに整えた濃い色の瞳の生徒

 もう一人は小鳥色の髪を短く纏めたくるんとした瞳の生徒 

 どちらも胸元で揺れるタイの色は緑。つまり二年生のお姉様方です。

 でもなぜ、私は先輩方に捕獲されてしまったのでしょうか?

 

「うんうん!シルファちゃんは心配しなくてもいいの♪」

「お姉さん達といい所に行こうねー♪」

「良い所って…あの?あの?」

 問い掛けるも、ニコニコと微笑むばかりの先輩方。

 強引に振り払う訳にも行かず、私は半ば引き摺られる様にしながら連れ去られてしまった。

 そんな突然すぎる出来事に皆は茫然とするばかりで。

 最初の反応が出たのは、私が十歩ほど引っ張られた後。

 

「あ?あーーー!シルファが持っていかれたー!」

 混乱から覚めぬ私の背後でコロネの声が天高く響きました。

 持っていかれたって……

 でも、本当に私はどこに連れていかれるのでしょうか…?

 

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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