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ルミナス魔法学園物語 ~『私はお姉さまとゆるゆる学園生活したいだけです!』~  作者: 月羽


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第59話 祭りの前-その3

 

 生徒会役員会議は厳かに滞り無く進んで行きます。

 婚礼祭に向けた各教室の進捗状況や問題点

 それらが各教室の委員長達から報告され

 内容に応じ、生徒会長であるフィールさんから指示が出される。

 

 普段の姿からは想像できないけれど、指示を出すフィールさんの姿を見ていると

 本当に生徒会長なんだと見直す事になりました。

 でもだからと、私の方をしたり顔で見るのは困りますが……

 

 それと知らなかったけど、メインとなる『巡礼の儀』以外にも

 二年生や三年生は屋台をしたり、舞台劇や芸を披露したりするそうです。

 当日は街の人々も学園の敷地内へ入り、祭りを楽しめるらしいので

 本当に賑やかな祭りとなりそうです。

 《《私達》》にそんな余裕あるのか怪しいけど……

 

 そうそう!

 先程二年生三年生と言ったけれど、この学園には四年生以上の学年もあります

 でも、四年生以上は研究生や教師扱いとなるので

 婚礼祭へは観覧のみの参加となるそうです。その分、気楽には楽しめそうですが。

 やはり祭りには参加してこそ…なんて思ったり。

 

 …後で聞きましたが、独自に何かする四年生や教師陣もいるそうです。

 ………

 ……

 …

「うむ、進捗に関しては昨年度と同じに問題無い様だな素晴らしい!」

 一通りの報告が終わると同時に、フィールさんは笑みと共に手を叩きました。

 そして一同を見渡すと言葉を続ける。

「祝福の魔法符《スペルカード》作成に関してだが……、遅れはほぼ例年通りだ

 これは二年生三年生諸君に手伝ってもらう事にしよう、良いかな?」

「異議なし」「異議なし」「異議なし」

 仕事が増えた事で不満の声が出るのでは?と思うも好意的な声ばかり。

 なぜ?と思うも、その理由はすぐにわかりました。

  

「よろしい。代わりに一年生諸君は来年以降の後輩達を手伝う事、良いね?」

「はーい」

 一年生の委員長達が頷き返事をする。

 なるほど、作業の遅れも予定に織り込み済みと言う事なのですね。

 一年生の遅れ分を上級生が受ける事で、上級生と一年生との繋がりが生まれる。

 それを毎年の行事の中で繰り返して来たのでしょう。

 

 

「さて……」

 不意にフィールさんの声の調子が変わりました。

 それは皆を静寂へと導き、視線を彼女へと集中させる効果を生む。

「今日は一年生代表の子達も交え婚礼祭について詰めて行く事になるが……

 一年生代表諸君!準備はいいかな?皆も君達の事が気になって仕方がないようだ」

 

 フィールさんの言葉を合図に上級生達の視線が君達、つまり私達へと集まる。

 君達とは私とライラを含めた一年生各教室の婚礼祭代表生徒達の事。

 一年生は四教室あり、各教室の代表は二名。つまり八人。

 

 しかし、準備はいいかな?と問われても、返って緊張してしまいます。

 いつもならここで深呼吸するところだけど、そんな余裕は無いみたいです。

 

「では代表の諸君!起立をお願いするよ?皆、拍手を!そして喝采しよう」

 促す様にフィールさんが立ち上がり、掌を上にしながら右手を大きく上げました。

 相変わらず派手な動きです。フィールさんにとって生徒会の会議室は演劇の舞台と同じなのかも?

 でも、拍手はともかく喝采はどうかと思います。恥ずかしいし……

 

「ふふっ、素晴らしい気分ですわ!さぁ、シルファさんも!」

「え?はい……」

 真っ先に立ち上がったのはライラでした。そして、私の手を引き立ち上がらせる。

 そうでした、ライラがこんな状況を見逃せるはずが無かった。

 一番手と言うだけで目立つのに、手を引くなんてパフォーマンスまでするから

 部屋の壁が揺れる程の拍手と喝采が沸き起こりました。

 思わずライラの手を強く握ってしまったけど、ライラは気にせず手を振っています

 ああ、もうこの度胸見習いたい。

 

 

「凄いねロワナ、私達も」

「凄いねアミ、そうだね」

 私達に続き立ち上がったのは鏡合わせの様にそっくりなペア。

 双子かな?手を繋ぎ寄り添った姿が愛らしい。

 背丈は二人ともほぼ一緒、多分メリッサより少し大きいくらいかな?

 ライラより少し薄い金の髪をそれぞれ頭の右と左で短い尻尾の様に束ねている。

 笑う時も一緒の顔で見ていると不思議な気分になってくる。

 あ、こっちを見ました?

 とりあえずと手を振り返したら、鏡合わせのポーズで振り返されましたよ?

 

「知り合いですの?」

「ううん、初めて会った…と思う」

 ライラの問いに曖昧なのは、少なくとも私の中に彼女達との記憶は無いから。

 とは言っても、私が知らずとも相手が知ってる可能性はあるかも?

 

「ふふ、カヌレ様わたくし達も……」

「サクヤ?んーそだねー」

 続けて立ったのは、これまた風変りなペアです。

 一人は長い黒髪に黒い瞳。整えた前髪は何かお姫様の様な気品を感じます。

 セレーネお姉さまと同じ黒い髪、お姉さまの黒髪が夜の黒だとするなら

 彼女のは朝露を纏う黒鳥の黒。この地域ではあまり見ない髪質。

 顔立ちもこの地域の物とは異なるし、もしかしたら東国の出身なのかもしれない

 機会があれば話をしてみたい。

 そしてもう一人は少し眠そうな目をした森妖精の子。多分だけど。

 コロネやクロワと同じように、耳が葦の葉の様に長く尖っています。

 森妖精は住む地域によって髪の先端の色が異なるらしいけど……

 彼女のは赤味が混じっている。初めて見る髪色です。これが多分とした理由。

 妖精族の髪にはその土地の魔法力の影響が出ると聞く。

 

「出遅れたにゃ!サリナ達も立つのにゃ!」

「別に競争じゃないよー?」

「アイツには負けたくないのにゃ!」

 にゃ?の声と共に新たなペアが立ち上がった。

 赤毛の狐耳の子と…一人?一人しかない?それにあの子は……

「あ?」

 私の「あ」の声に、いくつかの声が小さく重なった。

 他にも同じ事を思った子がいたから。一人だと思ったら、そうでは無かったから。

 見覚えのある顔に驚き気付かなかったが、もう一人もちゃんと居ました。

 狐耳の間にちょこんっと座った姿。

 女児の遊ぶ着せ替え人形の様に小さな姿は、小妖精《ピクシー》!

 ふわっとした緑の髪に背には白い蝶の羽。間違いない小妖精《ピクシー》です。

 

「んふふ、ルルルはちゃんとここにいるよー?」

 小妖精《ピクシー》の子が狐耳の間から立ち上がり両手を振る。

 るるる?変わった名前です。

 

 

「…シルファさんってつくづく縁の多い方ですわね…?」

 不意にライラが小声で言う。何?と横目で見れば、視線で私を促す。

「!?」

 睨まれています。赤毛の狐耳の子に睨まれています!?

 彼女の言う「アイツ」とはどうやら私の事だった様です。

 でもなぜ、私は彼女に睨まれているのでしょうか?

 ………

 ……

 …

 見ています、まだこっちを見ています。

 一先ず、一年生代表達による自己紹介は終わったけど。

 赤毛の狐耳の子…サリナと名乗った子はずっと私を見ています。

 なぜ私は彼女に見られているのでしょう?

 

 私が首を傾げていると、今度はフィールさんが私を見て肩を竦めました。

 そして、サリナさんの元へ寄ると彼女の頭をぽふりと撫で言います。 

「サリナ、今から重要な話をするからこっちを見ようね?」

「うにゃ?はーいフィール様♪」

 フィールさんの声でサリナさんはころんと表情を変える。

 

 微笑ましい光景です。先程まで私を睨んでいた彼女がまるで子猫の様に……

 もしかして。私を睨んでいた理由ってフィールさん絡み?

 だとするのなら、大きな誤解が生まれています!

 今は無理としても、なんとか誤解を解かないと後々大変な事になるかもしれない。

 

 

「こほん。さて、私が口にした『重要』とは勿論、一年生諸君に大きく関わる事だ。 マロン君、投影の準備を……」

「は~い」 

 フィールさんの言葉を合図に部屋の灯が一段暗くなり、マロンさんが魔法珠《マジックオーブ》を掲げました。

 宙に投影される不可思議な構造物、これはもしかして……

 投影された虚像の意味、それを理解した瞬間。

 

「…え、えー!?」

 

 室内に驚きの声が響きました。驚いたのは全員一年生。

 当然私の声もライラの声も混じっています。

 

 私達の反応に上級生のお姉様方はにやにやにこにこ楽しそうです。

 明らかに、この反応が出る事がわかっていたと言う顔をしていますよ。 

 

 どうやら婚礼祭とは

 私達が思う以上に苛酷(?)な物だった様です……

 

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

次回から婚礼祭の始まりです。

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