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ルミナス魔法学園物語 ~『私はお姉さまとゆるゆる学園生活したいだけです!』~  作者: 月羽


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第58話 祭りの前-2

 

「…あの子も代表だったんだ……」

 

 その姿を見やりながら、私は口の中で呟いた

 自己紹介する二人のうち一方の顔に見覚えがある。

 ううん、忘れ様が無い。だって今日会ったばかりだから。

 それにあんな瞳で睨まれたら、否が応でも記憶に刻み付けられてしまう。

 ほら、今もチラチラと私の方を見ています。

 でも思う、自己紹介の時は個人よりも皆を見ましょうと。

 …

 ……

 ………

「うう、緊張する……」

 私は指定された席に着くと口の中で小さく呟いた。

 ここは他の教室とは空気が違う、緊張感の様な物が満ちています。

 それも当然、ここはルミナス魔法学園生徒会の会議室。

 生徒会役員と各クラスの委員長達が集い、学園の運営等について話し合う場所。

 ここで学園の将来が決まり、学園でどう過ごすかが決められる。

 そこまで厳しくは無いけれど、禁止事項等が定められる事もあるし……

 やはりこの場所には他とは違う空気が満ちている気がする。

 

 空気だけではありません、部屋の作りも日頃学ぶ教室とは異なっています。

 まず教室の様に段差になった机配置ではありません。

 至極一般的な平面の床、そこに多数の机と椅子が円形状に並んでいる

 これだけならどこにでもある集会場。

 

「それでは諸君!生徒会役員会議を始めようではないか!」

 

 生徒会長であるフィールさんの座る席が円の中央へと動き

 彼女の姿を四方から魔法の灯が強く照らし出す。

 なんだか舞台劇の照明の様です。

 ほら、フィールさん派手に立ち上がって両手まで広げていますよ?

 拍手だけで無く歓声まで飛んでました。

 ここ、生徒会の会議室だったはずですよね?

 先程までの緊張感は何処へ?

 

 派手な演出ではあるけど、これがこの学園の会議室の特徴。

 語る者、意見のある者の席が自動で動き皆の前へ出る

 こうする事で発言者に注目が集まるし、皆も聞く体勢になる。

 セルティス先生の魔道式踏み台の様に動く家具は目にするけど

 こんな風に大々的に使っているのは初めて見ました。

 

 さてこんな場所になぜ私が居るか?言うまでもありませんが婚礼祭です。

 婚礼祭もいよいよ三日後。

 当日の予定と打ち合わせのため、一年生各クラスの代表が集められました

 だから、この場には私だけで無くもう一人の代表の姿も……

 

「…わたくしも将来、生徒会長を目指そうかしら?」

「え?」

 そのもう一人であるライラが小声で何か呟きました。

 驚きながら横目で見れば、ライラはフィールさんを陶酔の目で見つめ溜め息をしています。

 一瞬恋する乙女の様にも見えたけれど、多分違う。

 これは自己陶酔する乙女の瞳です。

 フィールさんの姿に、生徒会長になった自分の姿を重ねているのでしょう。

 ライラは人前に立つ事を好む気質。入学式でも生徒代表の挨拶をしていました。

 

「やはり誇り高きライオネル家の子女として、学生のうちに上に立つ経験はしたいものですわ……」

 やはりそうみたいですね、熱い瞳で静かに呟いています。

 それが羨ましくもあったり。

 自分自身の中に将来の姿や展望があるのは素敵な事だから。

 だから私はライラに言う。

 

「んー…ライラが生徒会長に…?、いいんじゃない、その時は応援するよ…?」

「…へ?」

 ぽかんとされました、この反応はなんでしょうか?

 素直に言ったつもりだったのに、妙な顔をされてしまいました。

 少なくとも応援すると言う言葉は本気だし。

 

「いいえ、貴女からそんな言葉が出るなんて…ううん、貴女はそう言う人でしたわね……」

 今度は私がぽかんとする番。肯定的に評価されている事はわかるけど

 含まれる感情を読み切れないのは、私とライラの関係がまだまだと言う事。

 仕方が無いです、やっと彼女と距離を詰め始めたばかりだし。

 

「…なら私も狙おうかな…?」

 

「ルキア…?」

 私の後ろから鋭い声がしました、ルキアの声です。

 彼女は私達のクラスの委員長、この場にいるのは当然の事。

 今の私達の話を聞いていた様ですね、でも彼女にしては珍しい声。

 

「まぁ?ならわたくしとルキアさんはライバル同士と言う事になりますわね?」

「そうなるわね?でも、その方が楽しいと思いませんか?」

「ふふっ、貴女…ただ真面目なだけの方と思っていましたわ、素敵」

 お互い振り向かず言葉だけで会話が進む。

 二人の間に近い位置に私の上を二人の言葉が行き来する。

 この緊張感なでしょうか?これが静かな戦いと言う物ですか?

 そこへもう一つ声が加わる。 

 

「んールキア楽しそうだねー」

「え?そうなの?」

 いたってのんびりな自分調子で進む声、クロワの声です。

 彼女はルキアの相方にして、私達の教室の副委員長。

 だから彼女がここに居るのも当然の事。

 

「うん、ルキアって自分に厳しいからねー、対抗する相手が居るのは嬉しいのさー」

「そうなんだ……」

「それにさー…シルファが…もごっ」

 もごっ?急にクロワの声が止まりました、私が何なのでしょう?

 首を斜めに傾げ振り向けば、クロワの口はルキアの手によって塞がれていました。

 仲良いなぁ…と言う事にしておきます。

 気になるけれど、これ以上話を続けるのは無理な状況になってしまったから。

 

「ふふ、少女達の囀り声を聞き続けるのは素晴らしく楽しいが……

 そろそろ会議を始めようと思う。どうかな?」

 フィールさんの声です。

 顔を上げればフィールさんの笑顔と溜め息するコロネさんの諦め顔。

 はい、ここは生徒会の会議室です、雑談をしている場合ではありませんでした。

 

 ともあれ……

 そんな訳で、婚礼祭の打ち合わせ会議は始まるのであります。

 

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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