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四章 十七話 ココの為の話し合い

ココちゃんを別室に移動したあと、

私たちはリビングに集まり

ココちゃんの今後を話すことになった。


「ココちゃんがこうなった時の前後の状況を教えてもらえますか?」

私はその時の状況が知りたかった。

子供がこうなるのには絶対何か理由がある。

私はそう思っているからだ…


カカ「ココが季節の変わり目に風邪をひいてしまいました。

風邪自体はトルヴェール商会が、

ルミナリアから呼んでくれた治癒術師によって治りました。

でもその直後から元気がなくなり、

必要最低限の言葉しか話さなくなりました。

食事はとってくれます。

話しかければ反応もするし返事も返してきます。

でもそれだけです。

いつもなら鉄を叩く準備を始める時期だったのに、

毎年頑張っていた準備を全くしなくなり、

元気がなくなったんです……」


トト「ココは若いながら鉄を打つ腕は、

ワシの弟子らに匹敵するほどじゃ。

すでに鍛冶スキルも持っとるようじゃった。

ココはワシらには何故か黙っておる様じゃがのう。」


スキルを親に隠す……

私はその言葉に違和感があった。

子供は自分が優れた力を授かったら、

普通なら親に自慢したりするんじゃないのか…


「ココちゃんはスキルがある事を、カカさんは聞いていますか?」


カカ「私にも話した事は無いですね…」


「ココちゃんにお友達は?」


カカ「もちろんいますよ。

工房のドワーフの子供に商会の人の子の友達がいます。」


「手伝いのない日は遊んだりしていましたか?」


トト「ワシらは冬は工房にこもり武具を叩く。

それ以外は家を修繕したり、農具を直したり、

数が足りない時は叩いたりはする。

冬しか鍛冶をしないと言っても、

完全に止めるわけじゃないぞ?

生活に必要な最低限のことはするわい。

人は知らんがのう……」


(それはそうだ。いくらしきたりとはいえ、生活が出来なければ意味がない)


カカ「その合間の休みの日に遊んでいましたよ。

人の子らと何やら空を飛ぶもので遊んでいました。」


「なるほど…

ココちゃんは休みの日の事を何か言っていましたか?」


カカ「とくには…

楽しかったとは言ってましたけど…」


ルカ「!?何をして遊んで楽しかったとか、

言わないの?」


サウロ「ルカ?」


ルカ「ごめんね。でもボクなら楽しかったことは

何をしたーとか何がたのしかったとか言うんだけど…」


ソエル「うん。私もいう。

だって楽しい事は言わないとつまんないよ?」


ルカとソエルの純粋な言葉に、

トトさんとカカさんが黙って聞いている。


「トトさん、カカさん。

ココちゃんが自分からそういう事を説明したことは、

一度もないのですか?」


トト「一度聞いたかもしれん。

しかしココには素質がある……

それを伸ばすために時に我慢も必要じゃろ。」


カカ「私も最初は聞いていました。

ですが仕事が忙しくあまり詳しくは…」


(最悪だ…最悪な状況でのすれ違いだ…

子供が親に話しかけても、親が相手にしない。

これは子供がその日にあった楽しい事を、

話さなくなってしまう原因になりかねない。)


「ココちゃんが凄腕の鍛冶職人なのは、

トトさんの言い方で良く分かりました。

ではココちゃんの気持ちは?

ココちゃんが自分で鍛冶をしたいと言った事はありますか?

子供が楽しかったことを話すのは大事な事だと私は思います。

でも話したくても、話を聞いてくれない事が続くと、

聞いてくれないと諦めてしまうのではないでしょうか。

話をしなくなったのは、いつ頃ですか?」


ミノリは落ち着きを失い、口調が少しきつくなっていた。


トト「ココが自分から……

聞いたことなかったかもしれん……」


カカ「病気になる前だったと思います。」


私は予想通りの言葉を聞いて少し気持ちがぶれた。

(マジで最悪だ。トトさんはココちゃんを、

本気で大事にしているし、心配をしていた。

カカさんも一緒に国を離れるほど大事に思っている。

トトさんの仕事に対しての期待と、

カカさんの忙しい現実的な生活の為に、

大事なコミュニケーションが不足している。

この世界では当然のように起こりうる、すれ違いだ…

日本の様にいつでも携帯で話をしたり出来ないし、

紙すら貴重な世界…

言葉でしか分かり合えない世界では当たり前なすれ違い…

携帯があって紙もいつでも手に入る日本ですらすれ違いが起きるんだ。

この世界では、なおさらだ……)


私はその事を聞いて、しばらく黙って思案していた……

すると、ソエルとルカが話しだした。


ソエル「ココちゃん、かわいそう……

楽しい事が話せないのはつまんないよ…」


ルカ「うん…ボクも同じだったら嫌かも…」


子供二人の純粋な言葉を聞き、トトとカカは黙り込んでしまった。


「そうだね…

私も子供の頃は良くそういう目にあっていたから

気持ちはわかるよ。

でもトトさんもカカさんも仕方がないんだ。

仕事をしなければ生きていけないし、

ココちゃんが大事だからこそ、仕事を頑張っている。

この世界は楽に暮らせるほどやさしい世界でもないんだ。

魔物も居るし、それを倒すための武具も大事なんだ。

ドワーフの作る武具はきっと品質が良くて

需要が高いんだろうね。

だから冬しか叩けないドワーフは忙しい上に、

常に周りからの期待があって大変なんだよ。

武具が叩けない春や夏や秋でも、

冬に作る為の相談をしたり、農具の修理や、

家の修理でもドワーフの知恵を借りようとする人は、

いくらでもいるだろうし……

そこは分かってあげてね。」


私はトトさん達ドワーフ族の重要性を、ルカとソエルに分かるように説明した。


ルカ「うん…」ソエル「わかった…」


「事情は分かりました。

お話しして頂き、ありがとうございます。

ココさんは私たちが責任をもって預かります。

一緒にカカさんも来てくれたのはありがたかったです。

これから宜しくお願いします。」

そう言って頭を下げた。


トト「よしてくれ。

助けてもらうのはワシらじゃ。

ココをよろしく頼む……」


カカ「私の方こそ、宜しくお願いします。」

トトとカカも頭を下げた。


「最後にお願いがあります。

トトさんはココちゃんに会いに来るのは大歓迎ですが

ココちゃんの前で鍛冶の話はしないようにお願いします。

カカさんは出来るだけココちゃんが話そうとしていたら、

聞いてあげるようにして下さい。

今すぐは無理でしょうけど、

ココちゃんが話しかけてきたら、

しっかりと聞いてあげて下さい。

私の予想ですけど、その方が早く回復する可能性が高いので。」


トト「しかしじゃな…

いや…分かった。言うとおりにしよう。」


カカ「わかりました。」


こうして私たちの、ココちゃんの話し合いは終わった。

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