四章 十六話 ココ
「トトさんのお子さんが到着しました。」
その言葉を聞き私とルカとソエルとメリイは集会所へと向かう事にした。
初対面の子供の所にこの人数で行くのは駄目だろうという事になって、
サウロさんとマローネさんは先に家に戻り、
部屋の準備などをするそうだ。
集会所には一台の馬車が止まっていた。
そして冒険者が二人。
以前見た人たちの内の二人だ。
私は冒険者へ頭を下げ、集会所の中に入った。
中に入るとヨハンさん、トトさん、村長、アニスさん、
そして知らない二人の女の子がいた。
私たちに気が付いたヨハンさんが、
私たちのもとへ歩み寄ってきた。
ヨハン「御足労頂き、ありがとうございます。」
そう言って頭を下げた。
「いえ、お気になさらずに。
私たちの方こそお待ちしていました。」
私も頭を下げると、ルカとソエルも同じように頭を下げていた。
その様子を見たヨハンさんはルカとソエルにも
声をかけてくれた。
ヨハン「ルカさん、ソエルさんも、ありがとうございます。
後ほどお二人にはお渡しするものもありますので、
少々お待ちください。」
と笑顔で二人を見つめながら丁寧に話しかけた。
その様子を見た二人は満面の笑顔で「「はい」」と、
元気に答えていた。
ヨハン「それでは先にご紹介したいと思います。
トトさん、お願いします。」
そう言うと、トトさんと手を繋いだ女の子二人が、
こちらに歩み寄ってきた。
一人はうつむいている。
(この子がココちゃん…)
私は一目見て確信を持てた。
明らかに様子がおかしかったからだ。
でも何か違和感がある……
私はその事はひとまず置いておくことにして
目の前のトトさんたちの会話に集中する事にした。
トト「ミノリすまんな。この子がココじゃ。」
と小さい子を紹介してくれた。
ココちゃんは無言だった…
トト「そしてこっちが妻のカカじゃ。」
紹介を受けたカカさんがココと手をつないだまま、
話しかける。
カカ「初めましてミノリさん。
私はトトの妻でカカ。
ココが心配で一緒に来てしまいました。」
と丁寧に話をしてくれた。
「初めまして、私はミノリといいます。
横にいる男の子がルカ。
女の子がソエル。
そして後ろにいる女性がメリイです。」
「ルカです。」
「ソエルだよ。」
「メリイ…です。」
カカ「初めまして、皆さん。
宜しくお願いします。」
と丁寧に話しかけてくれた。
トト「それでのう…
ワシの予定ではココだけのはずだったんじゃが、
カカまで来てしもうてな……」
と歯切れが悪いように言っている。
カカ「ココを一人で旅に出すわけにいかないじゃないの。
あんたのそういう所は相変わらずね…」
トト「しかしじゃな…」
カカ「私もこの村に居ればココに何かあっても、
すぐにココに会えるでしょう?
それに私はまだその人たちの事を何も知らないのよ?」
トト「そうなんじゃが、ワシが信じとる。
それじゃダメなんか?」
カカ「貴方はどこか抜けているのよ。
すぐに人を信用して、ココに何かあったらどうするの?」
その言葉に何かを言いかけたトトさんが話し出す前に
私は声をかけた。
「それは、その通りです。
私とは初対面ですからね。
カカさんのお気持ちも分かるんですけど、
部屋の広さは問題ないのですが、
寝具の準備が一人分しかなくて…」
カカ「それなら問題ないわよ?
私が持ってきているわ。ココの分もね。」
と、さも当然といった様子で言ってきた。
私はその言葉を聞いて、メリイに小声で
「メリイ、すまないがサウロさん達に聞いてきてくれ。」
メリイは「わかった…」
そう言うと、外へ向かった。
「家の者に確認させます。
恐らく問題ないと思いますが、
少しお待ちください。」
カカ「わかりました。
ありがとうございます。」
「いえ、お気持ちは分かりますし、
お子さんの事を思えばそれが一番いいと思いますので。
トトさんもこれ以上は…」
私がそう言うと、少し気まずそうにしながらも、
頷いてくれた。
ソエルは村長さんと、
ルカはセリアさんとアニスさんと、
それぞれ会話をしながらメリイを待っていた。
私はトトさんとカカさんと会話をしながら
ココちゃんを意識して見るようにしていた。
(やっぱり、何か違和感がある…何だろうこの感じ)
そう考えているとメリイが数分で戻ってきた。
メリイ「すまない待たせた。
子供たちが道を歩いていたのでな。
驚かさないように普通に歩いていたら遅くなった。」
「いや気にしないよ。
むしろ子供を見て走らないのは
メリイらしくて良いじゃないか。」
メリイは無言でうなずいて、話を続ける。
「サウロさん達はカカさんも含めて
一緒に暮らすのを了承したぞ。」
と端的に教えてくれた。
「ありがとう、メリイ。
という事です。
それではトトさん家族を家へ案内しますね。
ヨハンさん、ありがとうございました。」
ヨハン「ではお戻りの前に外の馬車へ一度行きましょう。
そう言って先に外に出た。
私達も外に出ると
ヨハン「ではお帰りの前にこれを」
そう言うと、ルカとソエルに、
ルカのような耳の付いた麦わら帽子を渡してくれた。
それを嬉しそうな顔で受け取った二人。
ヨハン「では冬が明けたら使用して頂いて、
その使い心地を教えてください。
宜しくお願いします。」
その言葉を聞いて笑顔で「「はい」」と
元気に答えていた。
・・・・・
トトさんとカカさんとココちゃんを連れて、家へと帰宅した。
ルカとソエルが先に扉を開けて中に入っていった。
私は「こちらです。どうぞ入って下さい。」
そういって先にトトさん達を中へ案内した。
中に入るとサウロさんとマローネさんが椅子から立ち上がり
「ようこそ」と笑顔で迎え入れていた。
二人の横でルカも笑顔を浮かべている。
ただソエルだけは心配そうな不安そうな顔をしていた。
トト「受け入れてくれて、感謝する。
こちらがワシの妻のカカと子のココじゃ。」
カカ「お邪魔します。トトの妻でココの母でカカと言います。
この度は急な申し入れを受けて下さり、ありがとうございます。」
サウロ「初めまして。サウロと言います。」
マローネ「初めましてサウロの妻でマローネです。」
両親同士の紹介が終わり、全員椅子に腰を掛けた。
こうしてサウロ家とトトさん家族の話し合いが 、
始まろうとしていた。




