四章 十五話 一人じゃない
家に戻った私は家族に迷惑をかけたことを謝罪した。
サウロ「お前な……」
少し怒ったような顔で何かを言おうとしたサウロさん
それを止めるようにマローネさんが声をかける。
マローネ「サウロ。
……ミノリさん。
今のあなたはもう一人じゃないのよ?
私たち家族も居るし、村の家族もいるの。
もっと自分を大事にしなさい。」
「すみません。
スキルを使って倒れるとは思っていなかったので…」
メリイ「それに関しては私の落ち度だ。
スキルを使い慣れていないミノリに、
先に説明するべきだった。」
「いや、メリイのせいでもないから。
それに初めての事なんだ。
最初はだれでもそうなんじゃないのか?」
メリイ「それはそうなんだが…」
「ならそれで。」
サウロ「お前は俺たちに心配をかけた事を、
少しは反省しろよ?」
「はい、申し訳ないです。
でも使いこなすには限界を知ることも大事なのでは…」
そう言う私の言葉を遮ってマローネさんが声をかけてきた。
マローネ「そうだとしても、
私達だけじゃない。
ルカとソエルちゃんも心配するのよ?
次はもう少し考えてね。」
その言葉でルカとソエルを見ると
少し心配そうに見ていた。
「そうですね。
ごめんね、ルカ、ソエル。」
ルカ「おにいちゃんはため池作りを続けるんだよね?」
「そうだね。」
ルカ「じゃあそのときは、
ボクとソエルとメリイおねえちゃんも一緒ね。
一人では駄目だよ。」
「えっと…」
ソエル「また倒れるかもしれないってメリイねえが。
だから私たちが見ているの。
倒れてもすぐ人を呼べるようにしようって。
ねー、ルカ。」
ルカ「そうだよ。」
サウロ「そりゃいいな。
ルカ、ソエル。しっかりこいつを見張っていろよ?」
「「はーい!!」」
「ありがとうございます。
ありがとう、ルカ、ソエル。」
自分の顔がつい笑顔になったのが分かった。
メリイ「次からは体が疲れたり、
精神的に違和感を感じたなら、
すぐに作業を休むようにすると良い。
どうしても慣れるまでは無茶をするものだ。
私も最初の頃は練習中によく動けなくなった。」
「わかった。ありがとう。」
サウロ「とりあえず今日は早めに飯を食って
早めに休むぞ。」
こうしてため池掘りの初日は少し反省をする日になった。
翌日私たちはまた、ため池作りに来ている。
今日は日が出ていて風も弱く、
外での作業をするには良い日だった。
サウロ「ミノリ。
お前は無理をし過ぎだ。
一度スキルで倒れそうになったら
その日の作業は終わるようにしろ。」
マローネ「そうよ。
貴方のスキルのおかげで早く終わりそうなんだし、
貴方が慌てることはないわ。
毎日少しづつ続けて、安全を第一にしなさい。」
「え?しばらく休めば回復するのでは?」
メリイ「確かにその通りなんだが、
お前…ルカとソエルがそばにいて
それが出来るのか?」
その言葉を聞いて理解した。
私はもう一人じゃない。
サウロさん達は理解してもルカとソエルは違うんだ…
「わかった。
ルカとソエルもそれでいいかな?」
二人は「「うん!!」」と可愛い笑顔で答えてくれた。
三時間ほどスキルを使っていると、
立ち眩みが起きた。
私は何とか踏ん張って耐えた。
そして一度ため池の穴から抜け出し地面に座り込む。
それを見ていた、ルカとソエルが水筒を持って、
傍まで走ってきて、私の心配をしていた。
私は水筒の水を一口飲み、
「大丈夫疲れただけだよ。」と答えて
ルカとソエルを安心させた。
そして約束通りに今日はここまでとなった。
その次の日にはシオンさんが手伝いに来てくれた。
その日も三時間の作業で私がめまいを起し
その日の作業もそこで終わりになった
こうして一日三時間くらいの作業を四日ほど続けていた。
そしてついに直径十五メートルほど、
深さ五十センチほどのため池の形が完成した。
私はそれをみて中心部はもう一段か二段深めにした方が良いのか、
サウロさんに相談してみた。
サウロ「その方が良いかもな。
お前のおかげで作業がこんなに早く終わったんだ。
俺はもうお前を信用している。
お前が思う様にやると良い。
村長とはすでに話は通してある。
ミノリの好きなように作って良いとな。
だから遠慮なくお前の思うとおりに作ると良い。
俺たちは手伝うだけだ。」
「わかりました。ありがとうございます。」
こうして中心部は少し深めに外側に行くほど浅くなるように
サウロさんと相談を重ね、
ため池は段階的に深くなる四段構造にすることにした。
一段目(外周): 幅1メートル、深さ50センチ。
(私のスキルで幅は二回分、深さは一回分だ)
二段目: 幅1メートル、深さ1メートル。
三段目: 幅1.5メートル、深さ1.5メートル。
四段目(中心部):深さ2メートル。
こうして外側から中心に向かって段々になる形をイメージしながら、
慎重に掘り進めていった。
ため池掘りを始めて十日たった頃、
中心部の部分がへこんだ段々のため池の形が出来上がった。
形が出来たため池の淵の壁を見て
安全を考えてため池の底だけじゃなく淵も圧縮して、
緩やかな傾斜にした方が良いんじゃないかと思った。
サウロさんも「その方が安全かもしれない」と言ったので、
縁の部分は圧縮を使って傾斜をつけて整えることにした。
ため池の作業はもう少し続きそうだな…
そう思っているとため池の場所に、セリアさんが来た。
マローネ「あら?セリアどうしたの?
手伝いにでも来た?」
セリア「こんにちは皆さん。
毎日お疲れ様です。
村長とトトさんがお呼びです。
トトさんのお子さんが到着しました。」




