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四章 十四話 スキルの成長

村長への報告が終わり、

場所と大きさも相談をして、

いつでもため池作りが始められるようになった翌日。


家族みんなで朝食を取り、

ため池予定地へと来ていた。

大人組、私とサウロさんは台車を二台を引き、

メリイとマローネさんは長めの棒を持ち、

ルカとソエルはいつの間にか一台増えた、

それぞれの専用の台車を引いていた。


サウロ「思ったより倉庫から離れたんだな。」


「そうですね。

倉庫は子供も出入りするらしいので、

安全の為に離す事にしました。」


マローネ「それがいいわね。

近くに水があったら、

子供の誰かが遊ぶために入る可能性もあるし、

少し心配だもの。」


サウロ「そうだな。

少なくとも村の中でも無ければ

安心して入れとは言えんしな…」


(村の中に水場か…

それも考えてみようかな)

サウロさんの言葉でヒントを得た私は

今後のやりたい事として覚えておこうと思った。


サウロ「それじゃあ始めるか!

皆で予定の範囲を棒で印をつけていくか。

ミノリだけは済まんが早速スキルを使ってみてくれ。

試してみないと分からないんだろう?」


「そうですね。

ではお願いします。」

私はサウロさんの言葉にうなずき

早速スキルを使ってみる。


適当な地面に手をつけ[クリエイト]と呟いた、

すると地面に直径五十センチほどの穴が開いた。

その数メートル横に掘られた土が無造作に積みあがる。


サウロ「ほーそんな感じになるのか。

面白いなスキルというのは。」


「私もあまり使わないので、

良く分かっていないんですけどね。」


ルカ「おにいちゃんはどうしてスキルを使わないの?」

と素朴ながらも純粋な疑問を投げかけてきた。


「……そうだね。

体を動かすのが好きだから…かな?」

と自分でもよく分かっていないけど

思った言葉を声に出していた。


ルカは「そっかー」と少し疑問が残った感じで、

答えていたけど、

ソエルが「体動かすの楽しいもんね!」

と言うとルカも納得したのか頷いていた。


(ソエルは良く走っているのを見たけど、

本当に好きなんだろうな。)

少し意外に思いつつ作業をしながら

家族の会話を楽しんでいた。


サウロさん達は、

線を引き終わった後は私が掘り返した土を

台車に乗せ離れた場所へと山にしていく。

直径十メートルか十五メートルほどの円を引いた後

サウロさんとマローネさんとメリイは、

木製のスコップを使って、

土を拾って台車に乗せる作業をしていた。


ルカとソエルも私が作った手袋をして、

小さい手で一生懸命に土を集めていた。

小さいスコップを使わず手袋を使っているのは

私のあげた手袋を気に入ってくれてるんだろうなと思う。

渡したものを喜んで使ってくれている様子は、

私の疲れを癒してくれる気がしていた。


縁の外周を掘り進めていた私は一周ほど終わった頃、

スキルを使う感じに少し違和感を感じた。

そして少し考えているとマローネさんが声をかけてきた。


マローネ「ミノリさん。どうしたの?

疲れたなら座って休んで良いのよ?」


サウロ「ミノリ、無理はするなよ?

倒れたら意味がないぞ。」


と心配してくれていた。

その言葉を聞いたルカとソエルも心配そうに、

私のもとに来て顔を覗き込んで、

「おにいちゃん、大丈夫?」

「ミノリにい、大丈夫?」

と声をかけてくれる。


「大丈夫だよ。

スキルを使っていたら何か変な感じがしたんだ」

と正直に笑顔で話した。


それを聞いたメリイが

「それはスキルの階位が上がったんじゃないか?」

とメリイが言った。


私が「カイイ?」と聞くと

メリイは丁寧に教えてくれた。


メリイ「階位とは人がスキルを使うと、

突然位が上がって攻撃系なら威力が上がったり、

物を作るスキルなら、

より細かく綺麗に作れるようになったり、

複雑な形も作れるようになるんだ。

土魔術なら地面を掘る大きさが広がったり、

掘った土をある程度離れた場所へ移動したり、

出来るようになる。

今のお前の使い方は土魔術師に似ている。

階位が上がると土を固めて飛ばしたり、

七階位を超える熟練者になると

空に土の塊を作って落とすこともできるそうだ。」


「そらに土の塊を…(規模の小さいメテオじゃないか…)」


メリイ「まあ、七階位も越えるほどの人は

英雄時代でしか聞いたことがないけどな。


「英雄時代?」


サウロ「そうか、ミノリは知らないんだな。

今度ガラムさんにお願いして、

英雄譚の本でも手に入れるか?

値は張るがミノリが欲しいなら

お前の報酬で交換出来ると思うぞ。

村の為だけじゃなく、

お前自身の為に物を選ぶのも良いんじゃないか?」


「それも良いですね。

絵本とかあるんだろうか…」


ルカ、ソエル「絵本!?」

と子供二人の食いつきがすごかった。


ルカ「おにいちゃん、絵本を貰うの?」

ソエル「ミノリにい、絵本貰えるの?」

と同時に聞いてきた。


(そうか、絵本というのもあったな…)

「そうだね、ガラムさんに話を聞いてみて、

もしあるようなら今度お願いしてみようか。」


ルカ、ソエル「「やった!!!」」

と二人は手をつないで飛び跳ねて喜んでいる。


その様子を見た私は、

ガラムさんに忘れずに聞いておこうと思った。


マローネ「本が絵本にね。

ほんと分かりやすいわねミノリさんは。」

そうサウロに小声で話すマローネに、

サウロは「そうだな。まあ、そこがあいつの良い所だ。」

とミノリに届かない声で話をしていた。


「ごめん、メリイ話がそれた。

それで階位が上がったら、どうやって分かるんだ?」


メリイ「目に見えて判断は出来ない。

ただ私の剣士スキルの時は

急に頭にスキルの名前が思い浮かんだ。

スキルを思い浮かべたら何か分かるはずだ。

ミノリもスキルの事を頭に浮かべてみたらどうだ?

ひょっとしたら何か分かるかもしれないぞ?」


言われたように[クリエイト]を想像してみた。

掘れる範囲と掘ったものを移動出来る距離が何となく頭に浮かぶ。

私は試しに[クリエイト]を使って土を掘る。

ただ違うのは掘り起こす大きさが二十センチほど伸び、

深さも同じくらい深くなっていた。

掘り起こした土を数メートル離れた台車に、

乗せるイメージをしてみた。

すると台車に届かなかったものの、

以前より遠くに土が移動していた。

掘る深さが増えて範囲も広がった。

土が移動する場所も伸びている。


「メリイの言う様に階位が上がったみたいだ。」


メリイ「良かったな。

これで作業が早くなるぞ。」


「そうだね、ありがとう。」


そう伝えて今度は深さを、

最初の深さをイメージしてスキルを使ってみる。

幅と深さは階位が上がる前に

近い範囲になった。

(掘る範囲はイメージで変わるんだ。

面白いなスキルも。)

そう思って今まで上げなかったことを、

少し残念に思いながら作業を続けた。


階位が上がって二時間くらいだろうか、

会話を楽しみながら作業をしていると、

外周を一周掘り終わったころ、

急に体の力が抜けたような感じがして地面に座り込んだ。


サウロ「おい大丈夫か!?」

マローネ「ミノリさん!」


ルカ「おにいちゃん!」

ソエル「ミノリにい!」


家族が慌てて私に駆け寄ってきた。


「すみません。

少し疲れてしまいました。」


その言葉でサウロさんとマローネさんは、

落ち着いてくれたけど、

ルカとソエルは少し心配そうに

傍にきて顔を覗き込んでいた。

(これは反省だな……)


メリイ「スキルを使い慣れていないから、

魔力を限界近くまで使用したんだろうな。

すまんミノリ。

先に注意しておくべきだった。」


「なに謝ってるんだよ。

気が付かなかった私が悪い。

すみません皆さん。

私は少し疲れただけなので、

暫く休ませてください。

ルカ、ソエル。

少し疲れただけだから大丈夫だよ。」

と笑顔を見せると安心してくれた様子だった。


サウロ「お前こそなに謝ってるんだ。

とりあえず、そのまま休んでいろ。

ルカ、ソエル。

ミノリが無理をしないように、

しっかり見ててくれ。」


ルカ、ソエル「「はーい」」

安心したのか落ち着きを取り戻したルカとソエルは

私の側でずっと私を見ていた。


サウロさんとマローネさんとメリイが、

土を一か所に集め終えた頃には

私も回復して立てるようになっていた。

でも今回は初めての事という事もあり、

大事を取って今日はここまでという事になった……


家に帰る間もルカとソエルが自分の台車を引きながら、

私を心配して、傍にいてくれたのが嬉しかった。


本作をお読みいただき、ありがとうございます。


作中で分かりにくかったスキル[クリエイト]

現時点で分かっている範囲を

活動報告にて補足します。


補足内容は読まなくても本文の日常に関係ないので、

ご安心下さい。


設定などに興味のある方は読んでみてください。

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