↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
85/138

四章 十一話 ルカとソエルの小さな冒険

ソエル「ねーねー、トトじい。

これから水路?の道を見に行こうよ。

私たちもう作業終わって暇なんだ。」


「こらソエル。

急に誘ったら悪いだろう?」


ソエル「えー…

折角あったのにお話しだけは寂しい…」


トト「のうミノリ。

お前さんさえよければ

ワシが一度見た水路の経路を一緒に見てくれんかの?

お前さんなら何やら面白い事を考えてくれそうじゃし、

何よりワシがルカとソエルと一緒に歩きたいんじゃ。」


「私は構わないんですが、

ロクさんはよろしいのですか?」

木工場に残ったロクさんの事が気にかかり

そういうと声が聞こえた。


ロク「おおう。

こっちは問題ないぞ。

マキは十分準備している。

のんびりやっても足りらあ。」


急に声が聞こえて驚き声の方を見ると

ロクさんが表まで出てきていた。


「ロクさんまで。

びっくりしましたよ。」


ロク「なにな。

ルカは良く知っているが、

お嬢ちゃんは良く知らんからな。

一目見に来た。

初めましてお嬢ちゃん。

俺の名前はロクだ。

そして後ろのお姉さんも初めましてだ。」


メリイは無言でお辞儀をした。

ソエルは目を輝かせて話しかけた。


ソエル「背たかい!腕ふとい!おひげ!

ロクさん?ロクおじさん?」


ロク「おお可愛いじゃねえか。

俺の事は好きに呼んでくれていいぞ。」


ソエル「じゃあロクおじさん!

私はソエルだよ。宜しくお願いします。」

とお辞儀をして挨拶をしていた。


ロク「おお、宜しくお願いします。」

ロクさんは少し戸惑いつつ挨拶を交わしていた。


トト「良い所に来たのう。

ワシはこれから少し出かけてくる。

ソエルとルカと一緒に散歩じゃ。」


ロク「良いな。

良い息抜きになるだろう。

ソエルちゃん、ルカ。

トトさんを宜しく頼む。

後ろの凄腕のお嬢さんもよろしくな。」


「「はーい」」

ルカとソエルは嬉しそうに返事を返し、

メリイは無言でうなずいていた。


トト「では早速行こうかのう。」


ソエル「いこー!村のお外初めて、楽しみ。」

ルカ「はーい」

と元気に返した。


ソエルがどうなるか不安だったけど、

この調子なら本当に大丈夫そうだ。


私が安心しているとメリイが小声で声をかけてきた。

「これなら大丈夫そうだな。」

私も小声で「そうだね。外も平気で歩けるのなら

これ以上に嬉しい事は無いよ。」

その言葉にメリイも無言でうなずいていた。


南西の入り口から外に出ると冷えた風が吹いていた。

ソエルが驚いて「つめたーい」と声を上げていた。


メリイ「ソエル、大丈夫か?

無理しなくても良いんだぞ?」

と優しく声をかけるとソエルは笑顔で、

「平気だよ。村の中だとこんな風感じなかった。

驚いたけど嬉しい。」と帽子をいじりながら笑顔でメリイに伝える。

メリイも「そうか…」と安心したような顔で答えていた。


トト「今日は少し風が強いのう。

ソエルとルカは平気かの?」


ルカ「へいきーボクは慣れてるよ。」

ソエル「私も大丈夫。もう慣れた!」

二人は元気に返事をした。


トト「では少し歩くぞ?」

そういって先を歩き出した。


しばらく歩くとところどころに木が生えていて

風の勢いが弱くなった気がした。


そのころにはソエルもスキップをしながら、

メリイと手をつなぎ、トトさんと手をつなぎ、

ソエルの気ままに手をつないで歩いている。

ルカは私の手を握ったまま楽しそうに手を振っている。


「こうして歩くだけでも楽しいね。」

ルカに声をかけると、「うん!」と

元気に笑顔を見せて答えてくれる。


私の体感で三十分ほどで川についた。

私の想像した以上に川幅があって少し驚いた。

そこから川上に向け歩いて行く。

たまにソエルが川をのぞき込んで、

「おさかなー!」と嬉しそうに指をさして、

トトさんとメリイに笑顔を向けていた。

私はルカと手をつなぎ歩きながら、

その様子を嬉しい気持ちになりながら眺めていた。


途中石ころがいっぱいの河原を通ると

ソエルはまた嬉しそうに石を拾ったり、

つるつるの石を拾って懐にしまっていた。


さらに一時間ほどだろうか…

川上に向けて歩いた。

するとだんだん、

傾斜が強くなり崖の様な場所が見え始めた。

山の様な地形の横に洞窟が見えた。


トト「ここが採石場じゃな。」


「これがそうなのですか…

初めて見ました。」


ルカ「ボクも初めて見た。」

と私の背中に隠れてその暗い穴を眺めている。


ソエル「いやな感じはしないけど、

夜じゃない暗いの苦手…」と

メリイの腕にしがみついて穴を眺めている。


「大丈夫だよ。

中に入らないからね。

洞窟は危険なんだ。

子供は絶対入っちゃだめだよ?」


ルカ「うん」

ソエル「わかった」

と真剣な顔で元気に返事をしてくれた。

ほんと聞き分けが良い子たちだと感心した。


トト「少し奥まで来てしもたが、

水路はもう少し戻った場所から引こうと思うとる。

傾斜が少し強かった場所じゃな。

さらに三十分ほど、川上に進めば滝もあったぞ。」


ソエル「たき!?見たい!」

ルカ「たきがあるの?見たい!」


その言葉を聞きトトさんは空を見上げて

「滝まで行っても大丈夫じゃろう。

ミノリとお嬢さんはどうじゃ?」

と聞いてきた。


「私も見てみたいですね。」


メリイ「私の事は…メリイで良い。

私も構わない。」

と少し悩んだ様子で名前を伝え、同意した。


トト「ではもう少し歩こうかのう。」

そういって川沿いに川上に歩き出した。


ニ十分ほど歩くと空気が澄んだ気がした。

冷え込んではいる。

でも寒さだけじゃない。

何か空気が綺麗な…

いや空気が綺麗なのは村も一緒なんだけど、

何ていうか言葉には出来ない、

安心感を感じる気がしていた。


さらに十分くらい歩くと滝が見えた。

とんでもなく大きいと言う訳じゃない。

それでも大きいと思える滝だった。

大きさじゃない。そう感じる……

私は不思議に思いつつも

その景色をただ眺めていた。

喜んで大はしゃぎしそうなルカとソエルも、

珍しく黙ったまま滝を眺めていた。


トト「美しいじゃろ?

ワシも初めて見たとき、すぐに気に入ったわ。

空気がとくに良い。」


「そうですね…

とても大きいと言うほどじゃないとは思います。

でもなぜか心にずんと感じる不思議な感じがします。

それでいて凄く心地良い……」


メリイ「本当ね。

私は何度か滝を見てきた。

それこそ、ここより大きいものは見たはずなのに

何故かこの滝は圧倒される何かを感じる。

それなのになぜか安心する気がするわね…」


ソエル「メリイねえもそうなんだ。

私は滝を見るの初めてだけど、

なにか好きな感じがする。」

と笑顔でメリイに抱き着いていた。


ルカ「ほんときれいだね。

ミノリおにいちゃんみたいな優しい感じがする。

ボクもここ大好き。」

と握った私の手に少し力が入るのを感じる。

この滝が私の様だと言ってくれて

嬉しくなって、優しく手を握り返した。


トト「本当はこの滝つぼから、

水路を引くのが理想なんじゃろうが、

ここは触れちゃいけん気がしてのう。」


「私もそう思います。

心にくる何かがあるんですよきっと…

私たちみんなが同じ気持ちなんです。

きっとそれでいいと思います。」


トト「じゃのう……」


三十分ほど滝を眺めて雑談をした後、

来た道を戻る事にした。


トト「ミノリ。

水路を引くのは採石場から少し川下の場所から、

引こうと思うとるんじゃが、

ミノリはどう思うかの?」


「私はトトさんほど専門知識があるわけじゃないですけど、

傾斜などを考えたらそれでいいと思います。」


トト「ミノリが言うのならそうしようかの。」


私はそれで良いのかな?と思いつつも

トトさんのやる事は正しいのかもと思い、

ただ頷いていた。


採石場から十分ほど戻った場所で、

トトさんが「この辺からじゃな」と教えてくれる。


トト「ここから南東にまっ直ぐ水路を引く。

村の北から南へ、水路を引き、

川へと戻すつもりじゃ。」


「私もそれでいいと思います。

メリイはどう思う?」


メリイ「専門的な事はわからないぞ?

ただトトさんとミノリがそういうのなら

それでいいんじゃないか?」


トト「ワシもミノリも専門家ではないからのう。

まあ、なるようになるじゃろう。

失敗しても作り直すだけじゃ。

ではこのまま村に向かって歩こうかの。」


そう言って帰りは川沿いではなく、

平原を村に直接向かって歩きだした。

四十分くらいだろうか、

村の方向へ歩いていると大きな倉庫が見えてきた。


トト「ここから右へ少しそれると村の畑じゃの。

ミノリ、今歩いた経路が水路を通す予定じゃ。

ミノリはどう思う?」


「良いと思います。

でも水路ですか…

これため池を倉庫の横辺りに作るのはどうでしょうか?」


トト「ため池のう…

悪くはない。

じゃがため池までとなると大事業みたいになるぞ?

ワシは構わんが…」


「そこは私も手伝います。

ただ水を通すよりため池を作って、

直接水を汲める場所を作ったほうが、

将来的には村の為になりそうですし。

水路はトトさんにお願いして、

ため池は私が作ってみます。

その際に何かあれば質問をさせて下さい。」


トト「なるほどのう。

確かにその通りじゃな。

ではそうしようかの。

ワシは専門家ではないが、

一緒に考えることはできる。

喜んで付き合うぞ。」


メリイ「おい、ミノリ。

大丈夫か?

かなり大変な作業になるぞ?」


「どうせ冬は木こり作業はないんだ。

毎日コツコツ穴を掘るよ。」


メリイ「そうか。

穴掘りも鍛錬になりそうだし、

付き合うぞ。」


「ありがとうメリイ。」


そのやりとりを聞いたルカとソエルも、

「ミノリおにいちゃん。ボクも手伝うよ!」


「私もー!」

と元気に言ってきた。

私は笑顔になり「ありがとう、二人とも。」と

お礼を伝えて頭を撫でた。


こうして水路を作るという工程は

大事業の様相を見せることになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。