大事なもの
翌朝、万全の体調の私はサウロさん、ルカ君と一緒に
森へと立ち入った。
暫く森を進むと数本の木が倒れていた。
その横には丸太が数本。
そしてこちらの様子をうかがうシオンさん。
「お、あんたも来たのか。」
と少し驚いたように声をかける。
「はい。何時までも休んでいられないので」
と返して作業を始める。
倒された木をそれぞれ枝をきり
ある程度の丸みを帯びるまで削り切る。
ルカ君は細い枝や少しいびつな部分を削る
子供なのに凄いな・・・
と感心しつつ私も後に続く。
二メートルほどに切り揃えた木を
台車に乗せていく。
一度に運べそうにないなと思っていると
この作業を数回続けるらしい。
想像以上に重労働なんだな・・・
と驚きつつも必死で食らいついた。
一回の作業と運搬で足ががくがくしてる。
一度運んだあと少し休憩してまた戻るそうだ。
私付いて行けるのか・・・そう思っていたら
疲労感が少し落ち着いたように感じた。
私は空を見上げて無言で心で祈る
ありがとうございます。
それだけ伝えてまた三人の話を聞いていた。
二度三度と繰り返すうちに
サウロさんが声をかけてきた。
「今日は何かやる事があるんだろ?
今日はここまでにしてミノリが試したいことを
やろうか」
そう提案してくれた。
お言葉に甘えてそのまま作業場の中へいく。
「「なんだこりゃ!」」
「わーたかーい」
と同時に声を上げるサウロさんとシオンさん
そして嬉しそうに見上げているルカ君。
「これは滑車といって井戸についている
桶を引き上げる道具がありますよね?
あれと同じ原理です。
違うのは上から引き上げるのと
下から吊り上げる違いだけですよ。」
そういうと納得した様子だった。
「ほーこれが滑車か・・・
しかしこれで吊り上げてどうするんだ?」
「これで作業場に入れた丸太や木材を吊り上げて
上に重ねていくんです。そうすれば
外で乾かした木材や丸太が雨にぬれずに
腐る事も防げます。」
そう伝えると痛く気に入ったのか
肩をたたきながら
「「そりゃすげぇな」」
とこれまた二人の声がかさなった。
ルカ君には良く分かってないようだったけど
目はキラキラしている。
きっと見たことないものに興味があるんだろう。
「今から吊り上げて壊れないか試したいんです。
その為にもし壊れて倒れたときに人に当たらないように
支えてほしいのです。
ルカ君は危ないから少し離れて見ていてね。」
先にずれないように縛っていた丸太の前に移動して
そして横に無造作に置いていた丸太にロープを巻き付けて固定する。
最初は木が中心軸の物だ。
吊りあげようとすると上の車軸からすぐに
びきっという音が聞こえ車軸部分を見ると
周りの石に亀裂が走り斜めになりかけていた。
慌てて握ったロープを緩めそのまま地面に下ろした。
サウロさんが
「駄目か?」
とちょっと残念そうに言う。
シオンさんとルカ君も同様だった。
もう一つの方も試します。
そういい一旦下から順次ばらしていき
滑車部分の車軸を石が中心の車軸に変えて取り付けていく。
そして再び組みあがった滑車を使って
丸太を持ち上げてみる。
今度は音はしない暫く待っていても壊れる気配はない。
「おーうまくいきそうか?」
とサウロさんは期待していたのか
声が少しうわずったように聞こえる
シオンさんは黙って吊られた丸太を見ていた。
ルカ君は少し跳ねるように両手を挙げて嬉しそう。
「問題なさそうですね。一応念のため
使った日の終わりに点検を行って
車軸の壊れ具合を見ます。
問題ないようなら数日ごとに。
もし壊れて怪我でもしたら意味がないので」
これで乾かした丸太を外で雨ざらしにしなくて済むな。
とシオンさんと二人で喜んでいる。
ルカ君も目を輝かせて宙に浮かぶ丸太を
見つめて喜んでいた。
『幸福度を検知しました。』
何時もの声が聞こえてきた。
視界のポイントがまた増えている。
「僕も乗ってみたい」
と言ってきたけど、
これはお父さんのお仕事道具だから
危ないし遊んじゃだめだよ?
と注意すると、素直に
「うん。わかった」
と残念そうだけどそれでも笑顔を作って答えてくれた。
その残念そうな顔を見て
何か遊び道具を作るのもありかもと
そう思うのだった。




