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四章 五話 ソエル

家に入るとルカとソエルがトトさんの事で

楽しそうに話をしている。

私は子供たちの前ではまずいと思い、

今日はただいつも通りに過ごそうと思った。


そして翌日サウロさんが急に

「ミノリ、お前今日は休め。」

と言ってきた。


「え?昨日も早上がりしたのに、

これから本格的に冷え込むんですよね?

マキの材料は多いほうが良いのでは?」


サウロ「お前、今の状態で木こり作業してみろ。

大けがするぞ…悪い事は言わん。今日は休め。」


私は何も言い返せなかった。

サウロさんとマローネさんに相談すると決めてはいても

やっぱり子供の事を考えるとどうしても

不安な部分が残っている…

サウロさんはそれを見透かしたんだ……


マローネ「ミノリさんが何に悩んでいるのか分からないけど、

今日は休みなさい。後で話は聞くからね。」


「わかりました。

ルカ一緒に行けなくてごめんね。」


ルカ「ボクは大丈夫だよ。

ミノリおにいちゃん元気出してね。」


ソエル「ミノリにい、元気ない?

私が元気を分けてあげる。」

そういって手を必死に伸ばして、

私の頭を撫でている。


「ありがとう。」

と言うだけしか出来なかった。


そうして私以外の家族はそれぞれの作業に向かっていった。

私は一人畑の横で地面に座り、

天を見上げていた。

ルカとソエルが納得する方法か…

私一人では難しいな。


ソエルがその子と会った場合引っ張られる可能性がある。

それは私が過去に経験した事だ。

それを避けるには家を出るしかない…

頭の中で堂々巡りを繰り返していたら

裏手の方から台車の音が聞こえてきた。

(あれ?もう運んできたんだ…)

そう思い作業場へ向かうと、

サウロさんとメリイの二人だけが台車を引いていた。


「あれ?ルカとシオンさんはどうしたんですか?」


サウロ「ルカとシオンは門の外で暫く遊んでいる。

近くなら安全だからな。

お前はそこで少し待っていろ。

メリイ頼む。」


メリイ「わかった。」


そういって作業場へ入っていく。

そして出てきたのはマローネさんだけだ。


「なるほど…そういう事ですか」


サウロ「さて、ミノリ話せ。」

マローネさんは黙って私が話すのを待っているようだった。


「……実はトトさんの子供を預かることにしました。

その子は病気を患いましたが、

治癒術師によって病巣は取り除かれたそうです。

しかし、その後も心が閉ざされたままだそうです。

私はこの村の為に来てくれたトトさんを、

助けようと思います。」


サウロ「そんなことだろうと思った。

それなら遠慮なく家を使え。

もう一部屋空いてるのは知っているだろ?」


マローネ「そうね。

それとも、まだ何か悩むことでもあるの?」


「ソエルです。

あの子は過去同じように心を閉ざしていました。

そういう経験がある子供は、

同じような話を聞いたりすると、

悪い方向へ引っ張られる可能性があるんです。

最悪心を閉ざした状態になりかねない。

これは私自身が経験したことなので事実です。」


サウロ「いくらミノリでも、

言って良いことと悪いことがあるぞ?」

ソエルが心を閉ざした状態になるかもと知り、

憤慨する。


マローネ「……本当なのね……」


「残念ながら事実です。」


私の言葉が本当なんだと知り

サウロ「せっかく治ったのに…」

と寂しそうな顔をしている。


マローネ「それじゃあ、

その子供はどうするつもりなの?」


「私は受け入れるつもりです。

ただソエルと一緒に生活をさせるのは、

不安が残ります。

なので私はこの家を出て、

その子とトトさんと一緒に暮らそうと思います。

トトさんは職人です。

子供の心を回復させるのは難しいと思います。

なので私が居たほうが回復も早いと思うので。」


サウロ「それで家を出ると?」


「そうです。

家を出る事をルカとソエルに、

どう説明すれば納得するのかと悩んでいました。

この家はもう私にとって生きる場所なので…」


その言葉を聞いて二人とも黙ってしまった…

暫く沈黙していると声が聞こえてきた。


ソエル「大丈夫だよ!」


三人が驚いてその声の方を向くと

ソエルと後ろにメリイが作業場から出てきていた。


「ミノリにい。家を出る必要はないよ。

だって私は平気だもん。

昔酷い目に遭ったのも覚えてるよ?

でもね、メリイねえに助けられて、

ルカに会えて、サウロおじさんに会えて、

マローネねえに会えて、ミノリにいにも会えた。

じーじも出来たしアニスさんやセリアさんも居る。」

子供のソエルが必死に話している…


「昔の事、最近思い出したんだー。

でもねもうどうでも良いんだ。

だって今すっごく幸せだからね。」

そう言って笑顔を見せてくれる。


「こんどはねー私がその子を助けるのを手伝うの。

私がして貰ったことを今度は私がその子に教えてあげる。

だから大丈夫だよ。」


私は思い上がっていたんだ……

ソエルはもう守られる存在じゃない。

一人の人としてすでに立派になっていたんだ。

私は泣きそうになるのを必死に抑えてソエルの前で

片膝をついて声をかける。


「それじゃあ、

その子供を一緒に助けてくれるかな?」


ソエル「任せてよ!

皆がしてくれた事も覚えてる。

私も同じように頑張るよ。

今度は私がその子を助ける!」


「ありがとう、ソエル……」

私はソエルの凄さにただ感謝の言葉を伝えた。

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