四章 四話 苦悩
私は家へ戻りながら、
先ほどの事を考えていた……
ココを預かる…これは確定だ。
村の為に来た人が子供の事で困っている。
私のできる事があるのなら、
手伝いたいと思う。
それが私のやるべきことの様に思えるから…
でもそうなると不安材料はソエルだ。
今では他の人とも平気で交流が出来ているし、
以前の様に距離を取ることも無くなっている。
でもだからといって安心していいのかは、
私には分からない…
ならどうするか…
ソエルが引っ張られないように距離を置くしかないか?
それをやるとして、
ルカとソエルにどう説明するか……
いつの間にか足が止まり、
天を仰いだまま立ち尽くしていた…
いくら考えてもいい案が浮かばない。
私は結局この事をサウロさんとマローネさんに、
相談することにした。
家を出るにしろ、出ないしろ、
サウロさんとマローネさんに説明は必要だ…
天を見上げ初めてお礼ではなく
先の事を願う。
ココを救えますようにと…
そして重く感じる足を動かして家へと帰った。
すでにサウロさんが戻っているのか、
マローネさんが食事の用意をしている
煙が見えていた。
扉の前で一呼吸つき、落ち着こうとすると、
扉が開き中からメリイが顔を出した。
メリイ「なにをやっている。
変な気配をして確認してみればミノリか。」
私を見たメリイが無言で扉を閉め、
無言で横の畑の方へ手を引いてきた。
メリイ「ミノリ、何があった?
今のお前の気配はいつもの感じじゃないぞ?
まるで別人だ…」
私はしばらく何も言い返せずにいた。
メリイ「言いにくい事か?
私は気配は分かっても言われないと何もわからんぞ?
私でも何か力になれるかもしれない。
言うだけ言ってほしい。
お前にはソエルを助けて貰った恩があるんだ。」
「すまない。
本当に大したことではないんだ。
いや違うな……
トトさんが居ただろ?」
メリイ「ああドワーフの親方だな。
しかもトトが本名でドドという名前で呼ばれてたという事は
それ相応の上の立場のはずだ。」
「そうなのか…
その子供がな以前のソエルと同じ状況らしい。」
メリイ「なんだと?」
「それでガラムさんからソエルの回復を聞いたらしくて、
自分の子供をお願いできないかと相談を受けたんだ。」
メリイ「なるほどな。
でもそんなに深く考え込むほどか?
サウロさんとマローネさんなら、
喜んで助けてくれると思うぞ?」
「私もそこは心配していない。
サウロさんとマローネさん。
いやこの村の人たちのやさしさは、
私が一番感じている事だ。
問題はソエルなんだよ。」
メリイ「ソエルの何が問題なんだ?
ソエルならどんな子供とも仲良く出来るだろうに。
ルカもそうだ。」
「子供の心の傷って治ったように見えても
実際は心の奥で残っている可能性があるんだよ。」
メリイ「それは聞いたな。
だから慎重にしようという話だっただろう?」
「そう…
そして同じ状況の子供を見るとな、
その悪い方向へ引っ張られるかもしれないんだよ。
私は専門家ではないけど、
私が何度も引っ張られた経験があるんだ。
だからそこは断言できる。
もしソエルに過去の心の傷が残っていたら、
最悪元に戻りかねないんだよ…」
メリイ「なんだと……」
「だから最悪私が家を出て、
その子の面倒を見ようと思っているんだ。
その事をルカとソエルにどう説明しようかと思ってね。」
メリイ「なるほどな…
そこで悩んでいたのか。」
「……当然だろう?
ルカもソエルも私にとって、
もはやなくてはならない存在だ。
二人も同じ気持ちだと思っている。
だからこそ、
今の幸せな生活から別々に暮らすことになったとしたら、
二人がどう思うか不安になるんだ。」
メリイ「そうだな…
二人は嫌がるのか納得するのか
私には正直分からないな…」
「私もだよ。
二人の事は知っているつもりだったけど、
いざとなるとその思い込みは間違いだった。
と、今は感じているよ。」
メリイ「とりあえず、
家を出る、出ないにしろ、
サウロさんとマローネさんには先に相談するんだろう?」
「そのつもりだよ。
私の命の恩人だ。
何も言わずにとかそんな不義理な事はしない。」
メリイ「そこは私も心配はしていないけどな。
じゃあ今悩んでも仕方ないだろ。
それに案外何とかなるかもしれんぞ?
サウロさんとマローネさんは、
思慮深い人たちだからな。
きっといい答えが出るように
一緒に考えてくれるよ。
もちろん私もな。
まーサウロさんやマローネさんほど、
役に立つかは分からないけどな。」
そう言って笑顔を見せ元気づけてくれる。
「ありがとう。」
メリイ「それじゃあ戻ろう。
明日子供たちの居ない時にでも話すと言い。」
「そうするよ。」
メリイに相談に乗ってもらって
少し落ち着いた私は明日、
サウロさんとマローネさんへ相談することにした。




