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四章 一話 新しい交易品 後編

私とルカは途中で作業を切り上げて

ソエルを連れて

集会所へと向かった。


集会所の前にはトトさんと昨日みたドワーフの方が

馬車の前で何やら話をしていた。


私は昨日のお礼もかねて声をかけることにした。

私が声をかける前にルカが先にトトさんに歩み寄って

声をかけた。


ルカ「トトさん。昨日はありがとうございました。」

と元気にお礼をいって頭を下げている。


トト「なーに、気にする事は無いぞ。

ワシがやりたくてやったんじゃ。

子が気にする事は無い。

それにワシも楽しかったしの。」

そういって頭を撫でると、

ルカも嬉しそうに笑顔を見せていた。


トト「おお…今日は別の子もおるの。

ルカと一緒で可愛い帽子をしとる。

娘。ワシの名はトトじゃ。

ルカとは昨日友達になった。

宜しく頼む。」

ソエルに向かっても優しい声で

話しかけた。


ソエル「初めまして、ソエルだよ。

トトおじさん?トトじい?」

と気後れする事なくそう聞いていた。


もう一人のドワーフが

親方に何を…と言いかけている所を

トトさんが止めてソエルに話しかけた。

トト「おおー。それはいいのう。

ワシの事はトトじいとでも好きに呼ぶといい。

ソエルか、可愛らしい名前じゃの。」


ソエル「おー!トトじい!

宜しくお願いします。」

と元気に頭を下げてた。


トト「ルカといいソエルといい、

ホンにこの村の子は可愛い子がおるのう。

他の子もこんなに可愛らしいのか?」

と私に視線を向けて聞いてくる。


「そうですね。

皆元気で良い子ばっかりですよ。

竹とんぼを一緒に作った時も

真剣に聞いていたし、

危ない事はしないように言うと、

ちゃんと聞いてくれる。

本当に可愛らしい子供ばかりです。」


トト「そうか…

のうミノリじゃったか。

後で少し話を出来んか?」


「私とですか?」


トト「そうじゃ。

少し確認したい事があってのう…

ルカとソエルの前では少ししにくい。」


「分かりました。

そういう事でしたら契約が終わった後、

トトさんのご都合が良いのならその時にでも。」


トト「助かる。

ワシらはこれから石工へ向かう。

お前の話が終わったらすまんがそこへ来てくれ。

では頼んだぞ。」

そう言ってもう一人のドワーフと共に

一台の馬車を走らせて行った。


トトさんとの話が終わった私たちは

集会所の中へ入る。

今回は交易ではないので

受付などはなかったけど、

臨時の食堂部分はしっかりと準備がされていた。


誰も居なかったので個室部屋が並んだ奥の方へ

声をかけると、ガラムさんの滞在している部屋から

アニスさんが出てきた。


アニス「ミノリさん、ルカ君、ソエルちゃん、メリイさん。

何度もありがとうございます。

ガラムさんの準備は済んでいますので、

お部屋の方にどうぞ。」

そういって奥へと案内してくれる。

ソエルと手をつないで歩いて……


部屋に案内されて中に入るとガラムさんとセリアさんが居た。


ガラム「急なお願いで申し訳ないです。

ささ、座ってください。」

そう言って席へと案内してくれた。


「今日は耳帽子の契約だと伺いましたけど、

契約書の準備など、昨日の今日で、早くないですか?」


ガラム「ええそうですね。

既に二回連続で契約が増えましたので、

万が一をと思い、

一応契約書がすぐに作れるように準備をして参りました。

メイズの件もありましたからね。

流石にメイズは収穫するには、

まだ無理だとは思っておりましたけど、

他に何があるか分かりませんので。

実際この判断は私自身良い判断だったと思います。

そのお陰で耳帽子は今冬中で、

間に合う可能性もありますから。」

と嬉しそうに語っている。


「期待に応えられたようで良かったです。

ただ残念な事もありました。

メイズですが、

残念ながら芽が出る所までは育ったのですが、

寒さに負けてしまい枯れてしまいました。」

その言葉を聞いてルカとソエルも、

少し残念そうな顔をしていた。


ガラム「そうですか。

私も北に行くほど寒くなる事を考えず、

一年中と言ったのが悪かったかもしれませんね。

申し訳ない。」


「お気になさらずに。

それに一度は植えないと分かりませんし、

今度は春に植えようと思っているので、

今回の失敗は冬が近いと成長しない。

これが分かっただけでも十分ですよ。」


ガラム「(この男はやはり信用できる)

では今回メイズの種を持ってきているのですが、

それを差し上げましょう。

春に植えれば確実に育つと思いますので、

収穫したメイズで何か作ってください。

私はそのメイズ料理に興味がありますので。

もし食せなくても砕いてしまえば家畜の餌になりますので、

無駄にはならないはずです。」


「よろしいのですか?」


ガラム「構いませんよ。

木吊り台は順調に数を増やしておりますので、

その返礼品です。」


「ありがとうございます。

ではお言葉に甘えます。」


セリア「ガラムさん。

そろそろ…」


ガラム「これは失礼。

ではアニスさん、お願いします。」


アニス「では耳帽子の契約内容です。


――「耳帽子」について、

当商会は独占的な製作・販売権を有する。


ただし、シエ村内に限り、自由に製作し、

村内交易品として使用できるものとする。


支払い内容

当商会はシエ村に対し、以下の物品を対価として提供する。


裁縫用布


針


糸


生活用品


当商会の売上次第で追加報酬


シエ村が必要とする物品


継続取引

本契約は継続的な交易を前提とし、

数量・対価は交易ごとに協議して決定する。


以上になります。」


ルカ「ソエル、どう?」


ソエル「うん、良いと思う。

布なのが良いよね。

色んな色で作ってくれるかもしれないよ?」


ルカ「おもしろそう。

皆違う色でかわいいかも!」


ソエル「だよね?

きっとかわいいよ!」


ルカ「じゃあいい?」


ソエル「私は良いよ。

後は…」


そう言って私に視線が集まった。


「私も良いと思うよ。

裁縫師さんに余裕が出来たら

ソエルとルカも色違いを作ってもらうと言い。

きっと可愛いと思う。

それに今はその防寒帽しかないけど、

夏用の日よけの帽子に

耳を付けるのもありかも知れないよ?」


ソエル「あーー!!

夏の欲しい!」


ルカ「ボクもほしい。」

二人とも元気に答えていた。


ガラム「それでは私の方で準備しましょう。

メルカティスに戻り次第、

ルカ君とソエルちゃんの帽子を試作します。

既製品の帽子に耳を付けるだけですが、

その作りでどこまで使えるものなのかを教えてほしい。

よろしいですか?」


ルカ「え?作ってくれるの?」

ソエル「ほんと!?」


二人はガラムさんの言葉が相当嬉しかったのか

声が大きくなっていた。

その言葉を聞きガラムさんが言葉を付け加える。


ガラム「ええ。

その代わり冬が終わったら

しっかりと使ってみて帽子の良し悪しを

しっかり報告して下さいね。

これはルカ君とソエルちゃんにお願いしたい、

お仕事でもあります。

よろしいでしょうか?」


二人は元気に「「わかりました。」」とその提案を受け入れた。


ガラム「では一度戻り次第帽子に耳をつけさせます。

私が本国へ戻るときに帽子をお届けさせます。

私は本国へそのまま帰国する事になるので

別の者が届けることになりますが、

その時はセリアさん、アニスさん。

宜しくお願いします。」


セリア、アニス「「わかりました。」」


ガラム「ではそのように。

皆さん。

今回も素晴らしい契約を有難う御座いました。」


「こちらこそありがとうございました。」

ソエル、ルカ「ありがとうございました」


それぞれがお礼を伝えて部屋を出た。


そして大広間までくると

セリアさんとアニスさんが声をかけてきた。


セリア「お疲れさま。」


アニス「お疲れさまでした。」


私達も「おつかれさまでした。」と返した。


セリア「今回の帽子の件も含めて

村長が凄く喜んでいたわよ。

村の人たちの事を考えてくれて感謝を伝えてくれって。」


それを聞いたソエルが私より先に

「村の人の事を考えるのは当たり前だよ?

マローネねえがいつもいってるもん。

シエの村は皆が助け合ってるって。

私はそうしただけだよ。」


ルカ「そうだよね。」

とルカとソエルは顔を見合わせて笑顔でうなずいていた。


その言葉を聞いたアニスさんが「なんてかわいいのかしら」と

黄色い声を上げたと思ったらソエルに抱き着いていた。

セリアさんもルカに抱き着いて、

二人は嬉しそうに受け入れている。


大人の女性二人はそのまま手をつないで、

そのまま外までついてきた。


アニス「本当はこのままおうちまで

一緒に付いて行きたいけど、

この後まだ仕事が残っているのよね。」


セリア「残念だけどここまでね。

それじゃあルカ君、ソエルちゃん、またね。」


そう言って中へと戻って行った。

あの二人ほんと子供が好きなんだな。


ソエル「ルカ。二人に一杯褒めて貰ったね。」


ルカ「うん。うれしかったね。」

と二人もすごく喜んでいる。

私はその余韻を楽しみたい所だったけど、

トトさんとの約束があるので、

ルカとソエルをメリイに任せて、

集会所の前で別れることにした。

ルカが「先に戻って待ってるね。」

と笑顔を見せてくれたのが嬉しかった。


さて…気持ちを切り替えて向かおう。

トトさんを待たせるのも悪いし…

そう思って石工場へと向かった。



―ソエル視点―


おうちに帰るとサウロおじさんとマローネねえが、

笑顔で「「おかえり」」と笑顔で言ってくれた。

私とルカも「「ただいま」」と笑顔で言った。


そしてマローネねえが箱を出してきた。


マローネ「はい、ソエルちゃん。

ガラムさんの商会の人がソエルちゃんにだって。」

と笑顔で教えてくれた。


私はその箱を開けてみると

少し小さいけど綺麗な木工細工一式が入っていた。

私は嬉しくなってマローネねえをみると、

「これはソエルちゃん専用ね。

これで私と同じ、立派な木工細工師さんね。」

と笑顔で言ってくれた。


私は道具を貰った事より、

マローネねえに笑顔で言われた言葉が、

すごくうれしかった。


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