四章 一話 新しい交易品 前偏
トトさんと一緒に森の伐採場所へと向かっていた。
いつの間にかトトさんと手をつないで歩いているルカ。
ルカは人見知りはしないけど、
こんなすぐに仲良くなるなんて…
私はルカの様子を見て
トトという人が良い人なんだと確信していた。
そして伐採場所で木を積み込んでいた、
サウロさんとシオンさんのもとへとたどり着いた。
ルカ「おとうさーん!
そういってサウロさんの元へかけて行く。
サウロ「おお、ルカ。
もう交渉は終わったのか?」
ルカ「うん!
でね、でね……
ソエルが凄いんだよ?」
サウロ「落ち着けルカ。
その話はあとでゆっくり聞く。
その前にあの人は?」
そう言ってトトさんを見た。
トト「ワシはガラムに連れられて来た、トトという。
この村で鉄を加工するために呼ばれたものじゃよ。」
シオン「おおお、
鍛冶職人がシエの村に来てくれたのか!」
シオンさんは鍛冶師が来てくれたことが嬉しいのか
凄い反応を示していた。
サウロ「それは失礼しました。
私の名前はサウロ。
こっちの若いのはシオン。
シエ村の木こりをしています。」
トト「言葉は気にせんでいい。
いつも通りで話してくれんかの?
その方がこの村の雰囲気に合うじゃろ。
郷に入ってはじゃ。」
サウロ「分かりました…
いや、分かった、感謝する。」
トト「なになに。
暫くはこの村で世話になる身じゃ。
此方こそよろしく頼む。」
二人が挨拶を交わした後、
サウロ「それで何故ここへ?」
トト「森の入り口で子連れを見たのでの。
心配じゃったからついてきた。」
サウロ「それは、ありがとうございます。
ルカもお礼を言ったか?」
その言葉を聞いて慌ててトトさんへ向き直り、
「トトさん。ありがとうございました。」
と頭を下げた。
トト「気にせんでいい。
それにルカと一緒に歩くのは楽しかったぞ?
ワシの方こそ新鮮な気持ちじゃった。
ありがとう。」
と笑顔でルカに感謝を伝えていた。
その言葉にルカは嬉しそうに頷いていた。
トト「それにしても、
この森はほんに空気が澄んでおるの…
いつもここで伐採をしておるのか?」
サウロ「ええ。
この周辺が魔物も動物も出にくいので、
ルカも安心して仕事が出来るからな。」
そう言いながらルカの頭を撫でると、
ルカも嬉しそうにサウロさんにしがみついていた。
トト「ほんに愛い子じゃ。
父を心から好いておるのじゃな…」
その言葉を聞いた私は、
少し寂しそうな声に聞こえた…
ルカも何かを感じ取ったのか
トトさんに近寄って手を握って声をかける。
「大丈夫?」
とトトさんに声をかけていた。
トトさんは驚いたのか目を見開いた後
穏やかな顔をしてルカに「大丈夫じゃよ。」
と笑顔を見せていた。
ルカも笑顔で返している。
トト「ではワシは村に戻るとしようかの。
ガラムが待っておるやもしれん。
ではまた会おう。」
そう言い残して一人で歩いて行く。
その後ろ姿にルカが「トトさん。ありがとー。」
と元気に声をかけていた。
トトさんは腕を上げてそのまま歩いて行く。
サウロ「さて、それじゃあ作業を始めるぞ。
メリイすまないが、また周りの警戒と、
薬草の採取をよろしく頼む。」
メリイ「わかった。」
こうして私たちはそれぞれの作業を始めた。
……
作業が終わり家へと戻った後、
ルカはトトさんの事をサウロさんとマローネさんソエルに、
嬉しそうに話をしていた。
ルカ「でねでね。
竹とんぼと絵文字板で服とか村で必要な物を
交換してくれるんだって。」
サウロ「凄いなルカ、ソエル。
自分だけの事じゃなく村の事を考えたのか。
お前らは我が家の誇りだぞ。」
マローネ「本当ね…
本当にすごいわよ、ルカ、ソエルちゃん。」
二人に褒められて、
ルカとソエルはすごく喜んでいた。
ルカ「でね、でね。
ソエルの印も褒めてくれて
ソエルは制作道具を貰えるんだよ!」
ソエル「あー!
私が言いたかったのにー。
もう、ルカー!」
ルカ「だって嬉しいんだよ。
ソエルが大人に認められたんだよ?
本当にすごいよソエル!」
その一言で一気に上機嫌になって
「えへへー。私凄い?」
とマローネさんに笑顔で聞いていた。
マローネ「ええ…本当にすごい事なのよソエルちゃん。
私もすごくうれしいわ。」
そう言って椅子からずれて
ソエルに両手を広げると、
それを見たソエルは嬉しそうに
その腕へと飛び込んでいた。
マローネ「本当にすごいわよソエルちゃん。」
膝に乗せた後頭を撫でながら褒めていた。
ソエルは今までで一番の笑顔を、
本当にかわいらしい笑顔を見せてくれた。
サウロ「ルカ。」
その一言でルカへ向かって両手を広げるサウロさん。
ルカもその意図を察したのか
ソエルとは違って少しゆっくり歩きながら
その腕に包まれていた。
嬉しそうにサウロさんに抱っこされて
膝の上に乗せてもらっている。
ルカもソエルも大好きな人の膝の上で
本当に幸せそうに眼を細めていた。
その日は子供たちの嬉しそうな報告で
いつも以上に幸せ溢れる食卓になった。
夜が明け、いつもの朝食を取っていると
来客があった。
アニスさんだ。
アニス「朝早くにごめんなさいね。
実は昨日お話しした耳帽子の件なんだけど
日が暮れる前に一度集会所へきて
ミノリさん、ルカ君ソエルちゃんには
署名してほしいそうなの。」
サウロ「どういうことだ?
三人の署名?」
アニス「そうです。
ルカ君とソエルちゃんの帽子を見たガラムさんが
大層気に入ったご様子で、
今回は契約書を急遽作成して、
今冬中に契約を取りまとめておきたいと
いう事らしいです。」
サウロ「なるほどな。
分かった。ミノリとルカは
早めに切り上げて向かわせるようにしよう。
マローネも良いな?」
マローネ「もちろんよ。
それじゃあメリイさん。
ルカたちと戻った時にでも
一度作業場にソエルを迎えに来てもらえる?」
メリイ「ええ、わかったわ。」
セリア「急な話なのにありがとう。
ガラムさんが、
ご自身のお子さんにも上げたいと急いでいるのよ。
私も可愛いと思うし、
村の子供たちにも広がると思うわよ。」
と事情を説明してくれた。
それを聞いたソエルが
「かわいいもんね!
私もルカを見てすぐに欲しくなったもん。
ガラムさんも一緒!」
と嬉しそうな様子。
それを聞いてルカも嬉しそうにしている。
セリア「それでは宜しくお願いします。
朝早くにありがとう。」
そう言って戻って行った。
サウロ「良かったな。ルカ。ソエル。
また新しいものが認められたな。」
ルカ「ミノリおにいちゃんのおかげだよ!
ありがとう、ミノリおにいちゃん。」
「ルカが居なかったら作らなかったと思うよ。
だからルカがちゃんと交渉するんだよ。
私は横で見守っているからね。
ソエルも一緒に…良いね?」
ルカ「わかった!」
ソエル「がんばる!」
と元気な返事が重なった。
元気な返事をした二人の目には、
自分たちで頑張ろうという気持ちが表れていた。
本作をお読みいただき、ありがとうございます。
この話は少し長引くかもと思い、
前後編に分けました。
後編はこの話の投稿日、同日の12時に
投稿しようと思っています。




