三章 二十二話 ドワーフ
???「おおい、そこの親子、
子連れで森は危険じゃぞ。」
そう声をかけて来たのは小さい髭を生やした
貫禄のある人物…ドワーフだ……
(初めて見た…
ルカの時は必死だったから感動は薄かったけど、
物語の中にしか存在しない人が、
目の前で生きている…)
???「ん?どうした。
ドワーフを見るのは初めてか?」
「ええ実はそうなんです。
先ほど村の中でも見ましたけど、
こうしてお話をするのは初めてですね。
申し遅れました。
シエ村の木工場を営むサウロ家でお世話になっている、
ミノリと申します。
この子はルカ。
その家のお子さんで私の弟の様な存在です。
こちらの女性がメリイ。
同じ家で生活を共にする姉弟の様な物ですね。」
???「おおう親子じゃなかったか。
こいつは失礼をした。
ご丁寧にどうもだ。
ワシの名はトト。
今はドドと呼ばれておる。
ここから南にあるメルカティス連合商業国の
トルヴェール商会の鍛冶技術部門の一つを任されとる。」
「トトさん?ドドさん?」
私は名前の違和感を感じて聞いてみた。
トト「おお。
ドドというのは、
一人前になったドワーフが付ける呼び名みたいなもんじゃ。
気軽にトトと呼んでくれ。
鍛冶をしない者やドワーフ以外にドドと呼ばれるのも
性に合わねぇ。」
トトと名乗るドワーフはそう教えてくれた。
(ドドって役職みたいなものなのかな?)
ルカも初めて目の前にしたドワーフに
興味津々なのか目を輝かせている。
トト「おおう、可愛いらしい獣人の子じゃ。
帽子も耳が付いていて似合っておる。」
ルカの視線に気が付いて
ルカに話を振ってきた。
ルカ「えっと…
トトさんはドワーフという人なの?
おヒゲかっこいいけど、小さい?」
見た目のギャップに最初は目がキラキラしていたけど、
いざ話すとルカは混乱しているようだった。
トト「おお、正直者でいいのう。
子はそれ位でなければの。」
そういってルカの頭を撫でた。
それをルカは嬉しそうに受け入れていた。
少し見えた手のひらの皮の分厚さ、
ハンマーを軽々と持てそうな腕、
身長は低いけど、
地面に根でも張ってるのか?と、
思えるほどどっしりとした印象を受けた。
(まるで大樹だな……)
私はそんな印象を受けていた。
そして見た目に反して子供が好きなようだ。
ルカが一瞬で目を細めて受け入れている。
メリイも警戒が解けたのか
少し雰囲気が穏やかになったのを感じた。
トト「それより子を連れて森に入るのは
感心せんぞ?
後ろの女はかなりやるようだが
お前さんが居ては負担も大きかろう?」
と一目で見抜いたような言葉をかけてきた。
「ええ、お恥ずかしながらその通りかもしれませんね。
ですが問題ないですよ。
この辺の森の中はオオカミはまず出ませんし、
少し離れると出る事はありますけど、
基本近隣なら森の中でも大丈夫です。
普段からメリイ…後ろの女性が
近くに来た魔物は倒してくれていますので、
安全は確保されていると思います。
森の伐採場所ではルカの父親も居ますから。」
オオカミが出ないという言葉に、
一瞬反応をしめしていたけど、
そのまま話を聞き終わるまで待っていた。
トト「そうか…
まあ、それなら安全かの?
まあいい、こんな可愛い子を見て、
そのままにはして置けん。
ワシもついて行こうかの。
子の護衛はその女に任せて、
ワシはお前さんを守ってやろうかの。」
「え!?
ガラムさんと一緒に来られたのですよね?
何か用事があったのでは?」
トト「おお、あったぞ。
ただ最初に契約をするとか言うての。
それまで暇なんじゃ。
ガラムには
「終わるまで好きにしていい」と言われとる。
暫くなら問題なかろ。
それにルカじゃったか。
珍しい育ち方をしとるようでな。
少し話を聞いてみたい。」
その言葉を聞きメリイの雰囲気が変わった。
その瞬間トトが声をかける。
トト「弟想いの良い姉じゃの。
まあ安心せ。
悪い事にはならんし、せん。
普通の獣人は戦闘能力が発達する。
じゃがその子にはそれが見受けられん。
それが気になっただけじゃ。」
ルカ「ボクもそう聞いたことがあるけど、
そういうの苦手だよ?
それにボクはそんな力より、
木を切る力が欲しい。
おとうさんとおかあさんを助けていくんだ。」
トト「ホンに子とは思えんの。
いや子だからか、
純粋に両親を思うか。
良い子じゃ。」
そう言って再び頭を撫でると
ルカは嬉しそうに「ミノリおにいちゃんみたいに優しい手」
と呟いていた。
トト「では行こうかの?」
何かトトさんに仕切られたけど、
悪い気はしなかった。
ルカが気に入ってるみたいだし、
そのまま森に入っていく。
ルカが鼻歌を歌いながら楽しそうに歩いている。
その様子を後ろから私とメリイとトトさんが歩く。
トト「ほんに可愛い子じゃ。
それに比べてワシの子と来たら。」
「トトさんはお子さんがいらっしゃるんですね。」
そう尋ねると、少し困ったように、でも、
少し嬉しそうに言葉を返してくれた。
トト「ヤンチャ盛りじゃ。
上に兄が四人姉が一人、
一番下は少し年が離れておるがの。
一番下の子が特に鍛冶のスジが良いんじゃが、
武具を叩くのを嫌がっとる。
それに…今は……」
何か歯切れが悪かったけど、
何か事情があるようだし私は聞かないふりをした。
「そうですか、子だくさんで幸せそうですね。」
トト「一番下以外はみな成人しておるぞ。
姉はメルカティスで食堂を営んでいるが
男四人はゼニスとベルクに一人、
ファブリカに二人行っておる。」
「そうですか…
子だくさんだと国元を離れて暮らすのが普通なのでしょうか?」
トト「ワシ等の種族自体、
子が親元を離れることはよくあるぞ。
ワシ等はの基本冬にしか鉄を叩かん。」
「え!?
冬のみなのですか?
夏場などは鉄を叩かないのですか?」
トト「おおそうじゃ。
この世界はの。
魔力で染まっておる。
一年中叩くとの、
世界が怒るんじゃよ。
じっさい過去にドワーフは痛い目におうた。
その経験を積んだ結果じゃの。」
私はその話を聞いて少し、
この世界の事を少し知ることが出来たような気がした……
この話で三章は完結になります。
ここまで、お読みいただき有難う御座います。
執筆を始めてそろそろ二か月。
ルカやソエルを描くのが楽しくて、
私自身も楽しくかけています。
私の小説の設定は結構頑張って考えたつもりなので、
その辺も楽しんでいただけたら幸いです。
今後ともよろしくお願いします。




