三章 十五話 子供の合作一号
子供たちが奥から
少し小さめの子供でも引けそうな
台車を引っ張り出してきた。
「え…
ソエル、これは一体どうしたの?」
私は戸惑いつつそう聞いてみた。
ソエル「えへへー。
これはねー、ルカと一緒に作った
私たちの台車だよ!
ここにあったのは大人用で
大きすぎるもん。
私達でも使える台車を作ったの。
マローネねえとか、メリイねえも
何時も使うには今あるのは大きすぎるし、
少し小さくても
使いやすいんじゃないかって思った!」
その言葉を聞いてメリイの方を見ると
笑顔で頷いていた。
あの様子なら知っていたな…
私は少し肩を落としながら
その台車を見た。
小さいけど丁寧に作られた可愛い台車が
その存在を私に主張するように見えた。
「凄いな…ルカとソエルだけで作ったのか…
本当にすごいよソエル、ルカ。」
私は感動して心の底からそう二人に伝えた。
二人も可愛い笑顔で答えてくれる。
ルカ「これ使ってお洋服運ぼうよ。」
ソエル「みんなのお洋服、私も運びたい!」
その言葉を聞いて私はさらに胸の奥が温かくなった。
二人の嬉しそうな笑顔と言葉を聞いて、
ただ黙って頷く事しか出来なかった。
そうしてルカとソエル合作の台車を
ソエルとルカが交互にひきながら村長宅へ
向かった。
初めての台車の出番が嬉しいのか、
二人は交代で台車を引きながら、
終始笑顔だった。
私はその様子を後ろから見守りながら
後を歩いていた。
暫く歩いているとメリイが
「驚いただろ?」と言ってきた。
「正直驚きました。
ルカが付き合ってくれたことも嬉しいですが、
ソエルが自分から作ろうと思ったことが、
本当に嬉しかったです。」
驚いたことでつい敬語になってしまった。
メリイ「同感だな…
ソエルが笑顔で物を作れる。
これもマローネさんの、
いやこのシエという村の良さなのかもしれない。」
メリイの少し含みのある言葉を聞いて
「そうだな…」
と言葉を返すので精いっぱいだった。
二人の楽しそうな後姿を見て
いつも通りの少し小さい背中だけど、
今はどんな背中よりも誇らしく感じる
雰囲気を感じていた…
村長宅へ到着した私たちは再びノックをして、
中に通してもらった。
村長を見るなり、ソエルが村長に駆け寄って
話しかける。
ソエル「じーじ、見せたいものあるから
お外に一緒に行こう!」
私は止めようかと迷ったけど、
村長は嬉しそうにうなずいていたので
そのまま見守ることにした。
そして外に置いてあった小さい台車に手をかけて、
「これ私とルカで作ったの。
凄いでしょ!」
と村長に胸を張って作ったことを伝えている。
その言葉に村長は目を見開き、
ソエルとルカの台車をかがみ込んで
確認するように見ていた。
小さい台車を見回した後、
ソエルに声をかける。
村長「ソエルちゃんや…
これをルカと二人で作ったのかい?」
子供達へ確認するように聞いている。
ルカ「そうだよ。
ソエルと二人で作ったの。」
ルカの言葉にソエルは頷いていた。
村長「凄いのう…
もう一端の木工職人じゃ。
きっとマローネさんの様になれるぞ。」
そう言って二人の頭を撫でた。
ルカとソエルも嬉しそうに目を細めて
村長を受け入れていた。
ソエル「私たちのお洋服を運ぶなら
私たちの台車の最初の積み荷はお洋服!」
と村長に自分の気持ちをまっすぐに伝えている。
その言葉に村長は頷き、
「そうじゃな…
それでは、サウロ家の冬服は
ソエルとルカの台車で運んでもらおうかの。
ソエルにルカや…
お願いできるかの?」
ルカ「うん!」
ソエル「まかせて!」
と子供二人の声が重なった。
村長は笑顔のまま無言でうなずき、
私とセリアさんとアニスさんに声をかける。
村長「聞いた通りじゃ。
ソエルとルカの台車に運んでくれるかの?」
「「「わかりました。」」」
その言葉の後に家の中に入って、
大きな箱一つと少し小さめの箱二個を
外へと運んだ。
台車に乗せようと思ったけど、
台車に乗せようとすると、
大きい箱は枠に収まりきらなかった。
それを見たルカが、
後ろの方の枠を外してそのまま積み荷に寝かせた。
台車の積み荷部分より大きくても、
乗せられるようにしっかり考えられていた。
そして大きい箱の上に小さい箱を乗せて、
紐で縛って固定した。
台車に積んだ箱を見て、
ルカとソエルは目を輝かせていた。
初めて自分で作った台車に、
家族の荷物が乗ったのだ。
その光景を見て二人とも満足そうに
手をつないで喜びを分かち合っていた。




