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三章 十三話 村長

四人と二人で村長宅へ着いた私達は、

セリアさんがノックをすると、

そのまま中に入っていくのを見守っていた。


ルカ「勝手に入って行っちゃった。

大丈夫なのかな?」

ルカが不安そうに聞いていた。

ソエルも頷いている。

それを聞いたアニスさんが、

ルカとソエルに話しかけた。


アニス「大丈夫よ。

セリアは村長の助手みたいなものだから。

セリアは普段から勝手に出入りを許されているの。

返事を待っていたら、

急な事への対応も遅れるでしょ?」

そう優しくルカに教えていた。


ルカ「そっか…」

ソエル「セリアねえ、凄いんだねー。」

と感心した様子の子供二人を見て

アニスさんはルカとソエルの頭を撫でていた。

アニスさんが子供たちと話をしていると

中からセリアが出てきた。


セリア「お待たせ、ミノリさん、皆さん。

中で村長がお待ちです。」

と仕事モードになって対応していた。

(かっこいいな…)

と思いながら村長宅へ足を踏み込む。


入ってすぐにリビングの様な部屋に

足の低い大テーブルが置かれていた。

入ってすぐに相談出来るようにしているのだろうか…

奥の方から村長が歩いてきた。


村長「ようこそミノリさん。

そしてルカ君、ソエルちゃん、メリイさん。

こうしてゆっくり話すのは初めてですかな?」


「いつもお世話になっています。」

そう言って頭を下げると、

ルカとソエルとメリイも同じように頭を下げた。


村長「そう畏まらないでくれ。

ルカ君いつも通りで良いよ。

村の子供はワシの孫の様なものじゃ。

他人行儀は寂しくなる。

それに世話になっているのはワシのほうじゃよ。

村の(みな)が頑張ってくれておるから

ワシものんびり出来るんじゃ。」


その言葉を聞いてルカが話しかける。

「ありがとうおじいちゃん。」


村長「おーおー。

ルカ君はそうではなくてはな。」


ルカのお爺ちゃん呼びが嬉しいのか

真面目な顔が一気にほぐれて

笑顔になった。


それを聞いていたソエルが、

首を横へこてんと倒しながら

「おじいちゃん?じーじ?」

と言葉を発すると、

村長の目が一気に見開き

ソエルに向かって声をかける。

「おお。そうじゃよ。

ソエルちゃん。ワシが今日からソエルのじーじじゃ。」

と笑顔を見せるとソエルも笑顔で

「じーじ」と抱き着いていた。

最初はいきなり抱きつかれて驚いた様子の村長も

すぐに笑顔を見せてソエルを優しく抱き留めていた。


その様子を眺めていたセリアさんとアニスさんは

苦笑いをしながら村長へ声をかける。


セリア「村長、立ち話もなんですから。」

となだめていた。

その言葉で咳払い一つして、

ミノリさん、メリイさん、どうぞ腰かけて下さい。

とテーブルの奥の方へ手をかざしていた。

私はその手を遮って声をかける。


「申し訳ありません村長。

私の国では年長者より上座に座るのは

少し抵抗があるので、

出来れば村長が上座の方へお願いします。

私はその方が落ち着けるので。」


その言葉を聞いた村長は、

目を細めて私の顔を見つめた。

暫く考えた後、

「ではどうぞこちらに。」と下座を

指して座ることを求めていた。


「ありがとうございます。

それじゃあルカ、ソエル。

少し座らせてもらおうか。」

と声をかけると二人も「うん」と言って

私のすぐ近くの方に腰を下ろした。


村長「そろそろ冷え込むと思っていたので準備はしておった。

すぐに渡せるんじゃが、

ワシがルカ君とソエルちゃんと少し話もしたいので、

少し時間をもらってもいいかの?」


「ルカ、ソエル。

二人はどう?」


ルカ「ボクは良いよ。」

ソエル「私もじーじとお話ししたい。」

と二人とも嬉しそうに村長の提案を受け入れていた。


セリア「それじゃあ私は奥の方に保管している冬物持ってくるわね。

アニス手伝ってちょうだい。」


「ああ、それなら私が。

村長よろしいですか?」


村長「おお、もちろんだとも。」

ルカとソエルを見つめたまま私へ返事をしていた。


その様子を見て本当に、

おじいさんと孫の様だと思っていた。


奥の部屋に案内されてその部屋を見て、

驚くことになった。

異様に大きい窓板が開かれて、

外とそのままつながっているのか?

と思えるほどの大きい窓が開かれていた。

(これもう窓じゃないよな…)

その大きさにびっくりしていると

セリアさんが声をかけてきた。


セリア「初めて見ると驚くわよね。

これはね、村の皆の大事な防寒着を湿気から守るために、

空気の入れ替えがすぐ出来るようになっているの。

あと虫防止の為にしっかり壁の隙間も埋められた

部屋になっているのよ。

この部屋は三つの木工場の集大成と言っても良いわね。」


その言葉を聞いて私はこの村の凄さと

異世界という厳しい環境で

出来る限り対応しようとする、

大人たちの凄さに驚いていた。


「何度も耳にしていた。

村の皆は家族というのは

言葉だけじゃなく、

この何気ない部分でも生かされているんですね…」


私のその何気ない言葉に驚いたのか、

最初は無言で見つめていたセリアさんとアニスさんは

すぐにクスッと笑って、「なに当たり前の事言ってるのよ。」と

軽く返してきた。


私はその様子を見て、

本当に良い村に来れてよかったと思ったのだった。

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