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三章 十一話 新しい役割

ソエルの抱えていた

マローネさんに嫌われるという

不安もマローネさんが

しっかり話をして、

払拭してくれたようだった。

私はソエルの様子を見て、

安心する事が出来た。


種を植えてから一週間がたった。

私は目を覚まし、顔を洗いに行こうとすると

家庭菜園の方からソエルの「あー!!!」

という大きな声が響いてきた。

私はあわてて家庭菜園の場所へ走った。

そこにはすでにメリイが来ていた。

家庭菜園のメイズを植えた場所で、

ソエルと一緒に何かをのぞき込んでいた。


私が駆けつけた時には、

サウロさんとルカが合流して、

最後にマローネさんが姿を見せていた。

皆ソエルが心配だったのかもしれない。

とくにマローネさんは食事の準備中だったはずなのに…


ソエルはメイズを植えた畑を指さして、

「ねーねー、見て見て。

ほらメイズがお家から出てきたんだよ。

小さい頭を出してきてる!」


と集まった皆に嬉しそうに声をかけた。

そこにはお家の中から細い緑色の芽が顔を出していた。

まだ指ほどの高さしかないけど、

それでも確かに生きている…


サウロ「発芽は成功したんだな。

良かったな、ソエル。

ミノリも良かったな。

後はこのまま育てば成功だな。」


マローネ「そうね。

発芽したという事は結構大事だと思うわよ。

ただこれから本格的に冷えてくるから、

これからが大変かもしれないわね…」


ソエル「寒くなると

私達みたいに野菜も大変?」


サウロ「そうだな。

寒いと野菜も冬眠して

成長が止まることがあるんだ。

最悪は枯れてしまうな。」


ソエル「そっかー。

折角お家からでても、

寒くて枯れちゃうかもしれないんだ…

メイズはどっちなんだろう。」


そういって私の方を見つめてくるソエル。


「ごめんね。正直、私にもどうなるか分からないんだ。」


私の方を見ていたソエルが、

私の分からないという返事を聞いて

「そうなんだ…」そう言って再び芽を出したメイズを

見つめている。


ソエル「せっかく出てきてくれたのになー。

育ってほしいけど、

寒いのに弱い野菜だとどうしようもないね…

でも私頑張って水を上げていく。

元気になるかもしれないんだから。

ミノリにい。私に水まきさせて。

がんばってみたい。」


真面目な顔つきになって

その思いを私に伝えてきた。


「もちろんいいよ。

ソエルがやりたいようにやってほしい。

私は失敗しても良いという気持ちで植えているし、

試さないと何も分からないから植えているんだ。

だからもし枯れてしまっても、

それはソエルのせいじゃなくて野菜と、

育つ環境が季節に合わなかったんだって、

ちゃんとわかってくれるかな?」


ソエル「もちろんだよ。

野菜が枯れちゃうことはよくあるし、

大丈夫だよー。」


と笑顔を見せて答えてくれる。

私はこの世界の子供を過保護に、

見過ぎていたのかもしれない。

可愛い表現や言葉を使っているけど、

現実の厳しさは私以上に知っているのかも…

私は少し反省をして、

膝を折りソエルと目線を合わせて

「それじゃあお願いするね、ソエル。」と

言葉を伝えると「任せてー。」と

元気に答えてくれた。

静かに見ていたルカも

「ボクも手伝うよ、ソエル。」とソエルに声をかけた。

「じゃあ二人で朝の水やりしよ!」と

ソエルがルカの言葉に返しているのが

微笑ましくてつい笑顔になった。

サウロさんやマローネさんも同じ気持ちだったのか、

優しい表情で二人の様子を見守っていた。


マローネ「それじゃあソエルちゃんも大丈夫なようだし、

私は戻るわね。

声に驚いて出てきちゃったけど

まだスープ出来上がってないから。」


ソエル「おどろかしてごめんね、マローネねえ。」


その言葉を聞いたマローネは、

「気にしなくていいのよ。」と頭を撫でながら

優しく声をかけて、

家の中に戻って行った。


それからの

子供二人の相談は可愛らしいものだった。

一緒にやるのか、早いもの順だとか、

それだと成長を先に見たい方がとか、

子供は純粋に思った言葉を出して相談していた。

大人同士だとこうはならないだろうな。

と感じながら聞いていた。

そんな私は、楽しそうだな…

と自分まで楽しい気持ちになって聞いていた。


そして子供たちの出した結論は、

お仕事があるときは交代で水を与える事。

休みの日は一緒に水をあげる事に決まった。

私やメリイも休みの日は、

一緒に水をあげることになった。


そうして一日の楽しみが、

また一つ増えるきっかけになった日となった。

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