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三章 十話 母親

―マローネ視点


昨日、種を植えた子供たち。

そこで話したという内容は、

私にはショックだった。

ソエルちゃんが、

私に嫌われると思っていたらしい……

普段のソエルちゃんを見ると

そんな風に思うとは考えられない。

そうなるとソエルちゃんの過去が、

原因なのかもしれない…

ミノリさんが言っていた事、

私は合っていると考えていた。


今一緒に作業台に座って

作業をしているソエルちゃんは

今まで見せてくれているいつものソエルちゃんだけど、

昨日ソエルちゃんが不安を言葉にしたというのが

まだ信じられなかった。

二人で楽しく会話をしながら作業をして、

分からないところでは、

首をこてんと傾けて、

ソエル「マローネねえ、ここはこれでいいのかな?」

とかわいらしい仕草で聞いてきてくれる。


マローネ「ええ、それで良いわよ。

さすがソエルちゃんね。

凄く上手よ。」


その言葉を聞いて、ぱあっと笑顔を咲かせた。

そして、再び自分の指先に視線を落とし、

作業に真剣に取り掛かっていた。


日が傾き始めるまでソエルちゃんと話をしながら、

作業を続けていた。

ソエルちゃんがウチに来てくれて、

私が一番うれしいのかもしれない。

だって今まで一人の作業が、

今ではこんなにかわいい娘と一緒なんだもの。


そろそろ終わりにしようと思い、

ソエルちゃんに声をかける。


「ソエルちゃん。

今日の作業はここまでにしましょうか。

また明日もお願いね。」


そう言って笑顔を向ける。

するとソエルも可愛い笑顔で

「うん」と元気に答えてくれる。

そうして椅子から立ち上がった私に、

ソエルちゃんが声をかけてきた。


ソエル「あの…マローネねえ……」


私を呼ぶソエルちゃんに「なあに、ソエルちゃん?」

とやさしく声をかける。


すると先ほどまで元気な笑顔を見せていた、

ソエルちゃんが、

少し不安そうな顔をして話し始める。


ソエル「あのね…

今度余った木材を使わせてほしいの…

きれはじでもいいから…

あのね、私最初に作った竹とんぼを大事にしたくて、

壊れるの嫌だから

新しいの作って遊びたいの…

お願いします。」


そう言って頭を下げてきた……

何で…

子供がそんな可愛いお願いをするだけなのに、

そんなに深刻そうな顔で頭まで下げてお願いするの…

そのソエルちゃんを見て、

昨晩、

ミノリさんが心配していたのは、

このことだったのね……。

私の中でそう確信が持てた。

私はソエルちゃんのその姿に、

胸が締め付けられる気持ちを抑えながら、

優しく、

そしてゆっくりソエルちゃんに向き合って、

答えることにした。


マローネ「ねぇ、ソエルちゃん。

そんな顔しなくても良いわよ?

そのくらい、いくらでも使いなさい。

切れ端だけじゃなく、

使いたいならここにある木材なら、

貴方の思うとおりに使いなさい。

竹とんぼを作っても良い。

ソエルちゃんが他の物を

作りたいならどんどん挑戦して良いわよ。

ただ刃物を使うときは私や大人がいる時だけよ?

それだけは私との約束ね。

ソエルちゃんは、ちゃんと守れるかしら?」


ソエルちゃんはその言葉を聞いて

安心したのか不安そうな顔はすぐになくなり、

笑顔を見せて「わかった。ありがとう、マローネねえ。」

そういって私に抱き着いてきた。

私はソエルちゃんを優しく抱き留めて、

声をかける。


マローネ「こらぁ。

作業台の近くには刃物もあるんだから、

飛びついたりしたら危ないわよ。」


ソエルちゃんを抱きしめながら優しく声をかける。

怒った言葉より心配しての言葉だと分かっているのか、

ソエルちゃんは笑顔のまま

「嬉しくて…ありがとう、マローネねえ。」


そういって頭をこすりつけてくる。

私は嬉しくなってしばらくその頭を撫で続けていた。

ソエルを胸に抱きながら、

(この子の笑顔を守らなきゃ。)


そう決意するのだった……

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