三章 四話 本物の剣
マローネ「みんな。ありがとう。
それじゃあ私とソエルは準備してくるわね。
少し時間がかかると思うけど、
待っていてね。」
そう言ってソエルと一緒に台所へ向かっていった。
二人を見届けた後すぐにメリイが
「私は一度外にでて、訓練をしてくる。」と言ってきた。
私はその言葉に答えるように話しかける。
「なあ、メリイ。
良かったらその訓練。
邪魔にならないなら私も見てもいいか?」
メリイ「なんだ急に。
どういうつもりだ?」
少し目を細めて聞いてくる。
「いや…実際冒険者が剣を振る所を見たことがないから、
見てみたいだけだよ。」
メリイ「面白いものではないとは思うが、
見たいというなら見ても良いぞ。
黙ってみている分なら私は気にしない。」
「ありがとう」
と言って一緒に外に出る。
ルカはサウロさんと話がしたいらしいので、
私とメリイの二人で外にある庭へと向かう。
「じゃあ私はここで黙って見学させてもらう」
メリイは無言でうなずき
剣を手に暫く目をつぶっていた。
その瞬間メリイの周りの空気が変わった気がした。
(何だろう…空気が変わった気がする。
何が変わったか言葉には出来ないけど
明らかに何かが変わったのは理解できた。)
数秒黙った後
剣を丸太に振り下ろした。
(すげぇ…剣が見えない。
これが本物の冒険者…剣士の振りなのか…)
たった一振り見ただけで
意味の分からない感動を覚えていた。
生前、テレビでしか見たことのない、
本物の剣を扱う者の本気の振り。
それが目の前で見られる喜びを感じた。
メリイの真剣な顔とその早い動きで
ただただ黙ってみる事しか出来なかった。
メリイは十数分、剣を振り続けていたけど、
その動きを止め「ふう……」と一呼吸ついたあとに
ミノリに声をかけてくる。
メリイ「どうだ?
少しは参考になったか?」
「いや、
早すぎて何が何やらだ…
凄いなメリイ。
初めて剣を振る所を見たけど、
凄かったぞ。」
その言葉に気をよくしたのか笑顔で「そうか。」
と顔を少しそらしてしまった。
メリイ「まあ安心しろ。
私が居る場所でルカとソエルに
危害を加える者からは
しっかり守ってやる。」
「そこは疑っていないよ。
今の動きを見たら信頼がもっと厚くなった位だ。
ただ私自身も少しは剣を覚えても良い気がしてね。
実際ルカの時は逃がすだけで精いっぱいだった。
今度はもっと時間を稼げるくらいにはならないと…」
メリイ「何かあったのか?」
そして私はルカと一緒に、
この村に来る前の事を話すことにした。
村に向かう途中にオオカミに襲われて
必死に抵抗しながらルカを逃がし、
自分は無残に負けてサウロさんやシオンさんに、
助けられたことを話すとメリイは、「なるほどな…」
とただ聞いてくれていた。
メリイ「良かったな、ルカが無事に済んで。
お前はしっかり役割を果たしたぞ。
そんなお前を尊敬する。」
そんな嬉しい言葉を言ってくれる。
私はその言葉にただ
「ありがとう…」
そう答えるだけだった。




