三章 二話 手袋
手袋を渡してから、
私たちは三人そろって石を除去しながら
土を整えていった。
「手袋の感触はどうかな?
手を締め付けてたり
石が痛かったりしない?」
ルカ「ボクの手にぴったりだよ。
石も痛くないよ。」
ソエル「私もー。すっごく動かしやすいし、
石も平気!」
「そう。
それは良かった。」
ルカ「ミノリおにいちゃんは、
僕たちの机も作れるし、
もっといろんなもの作らないの?」
ソエル「そうだよ!
折角作れるのに勿体ない。」
「うーん・・・
私はね。
ここに来る前までは
普通に歩くことも出来ない位だったんだ。
だから今健康に動けるのが楽しくて。
出来るだけスキルには頼らずに、
自分の手で作りたいんだよ。
ルカやソエルが困るときは
迷わず使うけどね。」
そう伝えると
ルカ「そっかー。
元気で動けると楽しいよね」
ソエル「ミノリにい、
病気だったの?」
「いや、原因は分からなかった。
でももう昔の事だよ。
今はルカにソエルも居るし、
一緒にこうして動けるんだ。
これより上はないよ。」
ルカ「ボクもミノリおにいちゃんと一緒楽しい!」
ソエル「私もー!」
「ありがとう、二人とも。」
会話をしながら石を取り除く。
表面の石が無くなったので、
また同じ作業を続ける。
「よし、ここはもう一度耕して、
石を取って整えたら完成かな。
二人ともありがとう。
新しい方は今はもう良いから、
少し休憩しててね。
耕し終わったらまた一緒に、
石を拾って整えようか。」
「「はーい」」
私は再び拡張した場所を耕し始めた。
一度掘り返した後の、石も拾っていたので、
最初ほど苦労する事もなく土の塊などを耕していく。
ルカ「ねーねー。
この手袋すごいね。
石を拾ったり、土をほぐしても
全然平気だった。」
ソエル「うん。
手が痛くならないし良いよね。
この模様も可愛いし。
私の作った小箱も何か模様付けられるように
なりたいなー。」
そういいながら手袋を空に掲げ、
「えへへー」と、
少し得意そうに笑っていた。
ルカ「ソエルならすぐだと思うよ。
おかあさんが、すっごく褒めてたもん。
私の仕事も手伝ってくれるし
器用だし、おかあさんが嬉しいって。」
ソエル「そっかー。
マローネねえが嬉しいなら私も嬉しい!」
そんなやりとりを聞きながら、
私は黙々とクワを振るっていた。
ルカ「ソエルは最初に何を植えたい?
やっぱりニンジン?」
ソエル「ニンジンも良いけど、
マローネねえとサウロおじさんの好きなお野菜でも良い。
二人を喜ばせてあげたい。」
ルカ「それ良いね!
でも野菜って季節があって、
お母さんに聞いてからにしたほうが良いかも。
ボクもお手伝いはしていたけど、
覚えてないや。
おかあさんと一緒に出来るし、
その方が楽しいから!」
本当にうれしいんだな。
そう言いながら笑顔を見せてくれる。
ソエル「良いなー。
私もマローネねえと一緒に種を植えたいよー。」
ルカ「大丈夫だよ!
これからは一緒なんだから、
いつでも一緒に植えられるよ。」
その言葉に、
「えへー。そうだね、楽しみだなー。」
ソエルは嬉しそうに何度も頷いた。
ルカ「たのしみだね!
ミノリおにいちゃんがおいしいって言う
メイズも楽しみ。」
ソエル「私も初めて!楽しみ!」
そんな話をしながら
二人は手袋を見ながら楽しそうに会話を続けていた。
「よし、こっちも終わったよ。
一緒に石を拾おうか。」
その言葉に手袋をつけて
ルカが「よーし、がんばるぞー」と
気合を入れてこちらに歩いてくる。
ソエルは手袋を付けた手を見て
「えへへー」と嬉しそうに手を見つめながら、
こちらに向かってくる。
「ほら、ソエル。
よそ見は危ないよ。
手袋はもう、ルカとソエルの物なんだから、
逃げたりしないよ。
もし破れたり、無くなってもまた作ってあげるから、
その時は遠慮しないで、いつでも言って良いからね。
もちろんルカもね。」
「「はーい」」
と元気よく答えて、一緒にまた石を拾い始めた。
ソエルが聞こえるか聞こえないかくらいの小さい声で、
「ルカとみのりにいと一緒にする作業は
マローネねえと同じくらい楽しい」
その小さな呟きだけで、
今日一日の疲れなんて全部吹き飛んでしまった。




