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新しい種

交易市の翌日。


家族で朝食を食べていた。

マローネさんはエプロンが気にいったのか

料理が終わってもそのまま着用していた。


ルカ「おかあさん、似合ってる!」

ソエル「マローネねえ、きれい。」


その言葉が嬉しかったのだろう。

家族みんなが笑顔になっていた。


今日一日は皆揃って休息日になった。

それぞれお礼を言う相手へ

改めて挨拶できるようにするらしい。


実際その場を見てないけど

サウロさんとマローネさんは

村を支える中心的な存在なのは事実。

お礼を言うべき相手は多そうだ。


私は私でガラムさんには大変お世話になった。


今日はガラムさんが出発する日だ。

だからこそ、

出発前にもう一度お礼を伝えたかった。


昨日のお礼を伝えるため、

集会所へ向かっていた。


集会所入口の前で出立の準備をしている

ガラムさんを見つけて声をかける。


「おはようございます、ガラムさん。

昨日は大変お世話になりました。」


ガラム「ミノリさん、お見送りですかな?」


「と言うよりお礼ですね。

昨日はガラムさんだけではなく

番頭のヨハンさんにまで

お世話になりました。

本当にありがとうございました。」


そういうと積み込みの指示をだしていた

ヨハンさんが頭を下げてくれた。


ガラム「いえいえ。

私共のほうこそ新しい交易品で

大変満足のいく商いになりました。

改めて今後もよろしくお願いします。」


「こちらこそ、宜しくお願いします。」


お互いが握手を交わす。


「そうだミノリさん。

メイズなのですが、

収穫時期が早い事でも知られています。

もし次の行商時に間に合うようでしたら

一度私にも食べさせて頂きたいのです。」


「メイズをですか?」


「ええそうです。

ヨハンにも聞きましたが

家畜の餌にせずに食されるという事で、

私は冗談半分だと思っていたのですが、

もしミノリさんが本気で食すのでしたら

私にもぜひ試させてほしいのです。」


「分かりました。

うまくいくか分かりませんが、

頑張ってみます。」


ガラム「宜しくお願いします。

うまくいくことを願っております。」


「ありがとうございます。」


ガラム「では、私はこれから出立の準備があるので

失礼します。

特別便…楽しみにしていて下さい。

それと、メリイザザにも宜しくとお伝えください。」


ガラムさんの目線の先にメリイがいた。

ガラムさんの言葉が少し気になりながらも

メリイに近づいて話しかける。


「メリイ?

どうしてここに。

ガラムさんへ挨拶なら

声をかければいいのに…」


「いや…

気になったことがあってな。

少し出てきただけだ。」


「そうか。

用事が済んだのなら

一緒に戻るか?

これから畑を拡張して

種をまこうと思っていたんだ。

良ければ手伝って貰えないかな?」


メリイ「わかった。

少し用事を済ませて後から合流する。」


「わかった。じゃあ先に戻っています。」


そう言って家へ向かう。


家へ戻ると、

収穫を終えた畑には何も生えておらず、

少し寂しく見えた。


トウモロコシ。

うまくいくと良いな…

そう思いながら畑の拡張をしようと行動した。


鉄製品の管理をしているアニスさん宅へ伺って

鉄の鍬を借りて家へ戻る途中にマローネさんと会った。


マローネさんもガラムさんに挨拶に行くという。

サウロさんは子供の面倒を見るために残っているらしい。

私は畑を広げる事をマローネさんに伝えて、

慌てて家へ戻る。


「サウロさん。

私はこれから新しい種を植えるために

畑を広げようと思っています。

ルカとソエルは私が一緒に行動するので

マローネさんの所へ向かってもらって良いですよ。」


そう伝えると

少し残念そうにしながら


サウロ「早かったな。

畑の拡張か、良いな、

それじゃあ頼む。」


そういってルカの頭を撫でて出て行った。

桑を持った私を見てルカが先に声をかけてきた。


ルカ「ミノリおにいちゃん。畑を広げるの?」


「そうだね。折角新しい種も手に入ったし

少し広げようと思ってね。

ルカとソエルも手伝ってもらえるかな?」


ルカ「いいよ!」

ソエル「うん!」


と元気に答えてくれた。

私は二人に感謝を伝えて

家の横にある家庭菜園へ向かった。


「ルカとソエルは収穫の終わった畑の

石などを集めてほしい。

私は広げるために少し離れて作業するから

危ないので近寄る前に大きい声で

私の声をかけてね。」


「「はーい」」


元気に挨拶をして石を拾い始めた。

私は少し慣れてきた耕すという行動を

楽しみながら必死に続けた。


長さ二メートル

幅一メートル

の畑を二か所、新たに作って

満足した気持ちで耕したばかりの畑を

眺めていた。


汗だくになり

気持ちの良い疲労感で嬉しい気持ちになり

自然に空を見上げて目を閉じていた。

心から感謝を伝えて目を開けると

ルカとソエルが同じように空を見上げていた。


「ルカ。ソエルも神様へ感謝を伝えた?」


そういうと不思議そうに


ルカ「ミノリおにいちゃんは

神様にお礼を言っていたの?」


「そうだよ。ルカやソエルと出会って

毎日が幸せなんだ。

だからたまにこうして神様へ感謝を伝えるんだ。」


ソエル「私もうれしい。

じゃあ私もお礼を言うようにする!」


ルカ「僕もー!」


二人が嬉しい事を言ってくれる。

二人が同じように嬉しい気持ちでいてくれるなら、

私はそれだけで、十分幸せだった。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。


二章はここまでです。


次回はガラムとメリイの外伝、

人物紹介、

その後三章へ続きます。

今後ともよろしくお願いいたします。

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