表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
40/60

検品

集会所を後にした私は

この後のガラムさんとの

交渉時間までの自由時間を利用して

村を見て回ることにした。


―ガラム視点


「では村長。

今回もよろしくお願いします。」


村長「こちらこそよろしくお願いいたします。

今回から新しい子供向けの商品もございます。

気に入って頂ければ、今後の交易品として

家具同様作っていこうと思っております。」


「先ほど少し話に出ていた、絵文字板ですな……

実物を確認してから判断したいと思います。

新しい交易品候補は私自ら検品を行います。

最初は自分の目で判断したいので。」


セリア「そちらに関しては問題ないと思いますよ。

ガラムさんなら間違いなく気にいると思っております。」


「先ほどから凄い自信ですね…

見るのが楽しみです。」


セリア「ええ、それではご案内いたします。」


出かける前に番頭へ声をかけ

広場の検品を任せて集会所を出る。


最初は集会所から一番近い木工場へ案内された。

家具が丈夫で信頼性の高い木工場。

飾り気はないけど丈夫。

その事で町の酒場やギルドで

そこそこの人気のある工房。


「相変わらず良い木を使っている。

この様子なら今回も安心して引き取る事が出来ますよ。」


セリア「こちらが新しい交易品候補の絵文字板ですよ。」


「これがそうですか。

一見すると、

ただ動物の名前が文字で書かれているだけですね。」


セリア「ええそうですね、本当にそれだけです。

裏面も見て下さい。」


その言葉を受け、裏面も確認する。


「絵が描いてありますな。

文字と絵で子供でも分かりやすい。

これで子供に文字を教えるという事ですか?」


セリア「ええそうですね。

ただそれだけではないですよ。

例えば子供と遊ぶ際に

一人が動物の名前を読みます。

残った子供がこれだと思う物を選んで手に取る。

その数を競うのです。


文字を読む際に関係のない動物の名前を付けて

すぐには分からないようにしたり

少し混乱させるような言葉を混ぜて

読むことで子供も楽しみながら

文字を覚えられるようになります。


屋内で出来る仕事の合間

家で退屈する時間を

遊びながら文字を覚える時間に

変えることが出来るんです。」


「それは素晴らしい!

これなら絵文字板で遊ぶだけで良い。

板の種類を増やせば

覚えられるようになる。」


セリア「この絵文字の発案はミノリさんですが、

この権利も木吊り台同様に

ガラムさんへお譲りする事も考えているそうですよ。」


「……素晴らしい。これはこの国のみならず

これから向かう国でも売れるものになる。」


セリア「ええそう思います。

この交渉は私とアニスに任されてはいますけど

今後の事を考えてミノリさんと

直接お話しする事をお勧めします。」


「もちろんですとも。

これは後の交渉が楽しみになりましたな。

しかしそうなると交換する物次第になるか…」


セリア「その心配はご無用かと。

ミノリさんですから。

恐らくそれほど難しい注文はしないと

思いますよ。」


「そうですな。

あの者は少女の保護をお願いした際

見返りを一切求めなかった。

それどころか木吊り台の報酬も

村の為だけで選んでいる印象でしたな。」


セリア「私としては少し心配になりますけどね。」


「違いない」


と上機嫌になり笑顔を浮かべる私を見て

セリアさんも笑顔になっていた。


最初の木工場で丈夫な家具と

丈夫な絵文字板の交換をする事を決め

明日の交易市当日に契約を交わす約束をする。



もう一軒の木工場の品も検品した。

今度の木工場は柔らかい木材で家具を作り

柔らかい木材で作られた柔軟性のある家具で、

安価で軽く、年老いた家に人気がある。


何の問題もなく交易をおこなう事を決める。

絵文字板は少し曲がりやすい板で作られていたが

子供ならこれでも問題ないと判断し

全て引き取る事で合意して

明日の交易市本番で契約を交わすことを

約束した。


新しい交易品を確認して集会所へ戻る途中に

ルカ君を見かけた。

ルカ君と手をつないで一緒に歩いているのは

あの少女だった。


その後ろを守るようにメリイザザも一緒に歩いている。

ルカ君とメリイザザはこちらに気が付いて会釈を返していたが

少女は周りに夢中で気が付かなかったみたいだった。


少女が笑顔で歩いている。

あの日、荷馬車の隅で膝を抱えていた少女とは、

まるで別人だった。

私は心から安心して集会所へ向かう。


戻る途中、村の子供が何かを飛ばしていることに気が付いた。


「セリアさん。

あの子供が飛ばしているものは一体…。」


セリア「ああ。

あれは最近ミノリさんが村に広めた

竹とんぼですよ。」


「竹とんぼですか…」


セリア「ええ。つくりは単純なんですけど

子供たちは凄く楽しそうに遊んでいますね。」


「あれも交易品としてお考えですか?」


セリア「残念ながらまだそこまで話は進んでいませんね。」


「子供が笑顔になる物は、商いになる前に価値がありますな。」


私は一つ頷くと、そのまま集会所へ戻った。


集会所の中に入り村長と話をすることにした


「今回の交易品もまた素晴らしいですな。」


村長に今回の交易品の出来に満足して声をかけた。

これであとはマローネさんが落ち着いたら、

ミノリさん達との交渉だけだな……

あの人は得体が知れない。


ふらっとシエの村に現れて

木吊り台という物を発案…

それだけじゃない。


木吊り台や肩たたきだけではなく、

子供の遊具にまで発想を広げる。


あの青年との取引は、

今後の商会にとって大きな財産になる。


そう確信を持っていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ