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備える刃と振り払う恐怖

朝、目覚めると外から「クンクン」

という不気味な鼻息と、土を引っかく音が聞こえる。

クリエイトで作った扉のおかげで

オオカミ(魔物)は中に入れず

ここが隠れ家だとも気づいていない。

しかし、昨夜のカップ麺の強烈な匂いに釣られ

諦めきれずに周辺を嗅ぎ回っている。


外の危険を察知したミノリは、シェルター内にある

「木と石(昨日掘り出した素材など)」に目を向ける。

スキル(0P)を使い、

不器用ながらも木と石を圧縮・結合させた[即席の剣]をクラフトする。


「戦ったことなんてないけれど、何もないよりはマシかな・・・」

と、一息ついた。


オオカミが遠ざかったのか

先ほどまで聞こえていた鼻息と唸り声が聞こえなくなった

しばらく身を潜めて待つ。

オオカミが遠のいて行ったと判断をした

ミノリはクラフトした剣を手に、

ルカくんと共に秘密基地を出て村への移動を開始する。


ルカくんの案内で森を進むが

一度匂いを覚えたオオカミは

執拗に二人の後ろを追跡していた。


村の近くまであと少しというところで

ついにオオカミが木々の影から獰猛な牙を剥いて飛び出してくる。


ミノリは戦闘技術も運動神経もない

ただの不器用な人間。

即席の剣を構えるものの

オオカミの速さと圧倒的な野生の迫力に足がすくむ。

しかし、恐怖に震えるルカを見た瞬間、


「この子を絶対に傷つけさせない!」


と前世と重なる恐怖を弾き飛ばす。

クラフトした剣を必死に振り回して

オオカミの注意を自分だけに引きつけ叫ぶ。


「ルカ、村へ近づいているんだよな?

走って、村へ逃げるんだ」


とルカを村の方へ突き飛ばして逃がす。


必死で村へと走り続けるルカ


「こわいよぉ・・・」


そうつぶやきながらも走り続ける。

村へ必死で走りながらも昨日の事が思い浮かぶ。


「半分こ、しよっか」・・・


「痛かったよね。もう大丈夫だよ。」・・・


「大丈夫、怖くないよ」・・・


「・・・ありがとう、ルカくん。もう怖くないね」・・・


昨日優しくしてくれた人が言ってた

優しい言葉、励ます言葉、

最後にもう怖くないねと言ってくれた言葉・・・


助けるんだ。

村の人たちを呼んで絶対助けてもらうんだ!

怖がりの少年が初めて小さな勇気を振り絞った。


圧倒的な劣勢の中ルカを逃がすために

一人残ったミノリは不器用ながらも必死に抵抗する。

しかしオオカミの牙や爪少しずつ受けた傷が

どんどん広がりついには飛び散るほどの衝撃を受けた。

【痛覚耐性】のおかげで痛みは一切ない。

しかし、痛みはなくても血が流れ、

肉体が破壊されていく衝撃と体の自由を奪われ

そのまま地面に倒れてしまう。

オオカミがトドメを刺そうと飛びかかった瞬間

ルカが必死に走り呼んできた村の戦士たちが間一髪で駆けつけ、

オオカミを討伐する。


崩れかけた家屋に横に寝かされたミノリ。

周囲の大人たちは「この出血はまずい、命が・・・」

と絶望し家を後にする。

残されたミノリは痛みを感じない動かせない体を横たえながら

天井を見上げていた。

意識がもうろうとする中レピエ様の祝福【自動修復】が発揮される。

微かな緑の光とともに、少しづつ傷口が塞がり、

出血が収まっていく。


ミノリはここで確信する。

痛みを消すだけじゃない。

理不尽に傷つけられても、

命を繋げるための『生き延びるための力』


出血が収まったころ

泣きじゃくりながらルカが駆け込んできて

ミノリと目が合うと抱き着いてきた。


「僕のせいで、僕が弱いから・・・」


と自分を責めるルカを、

ミノリは優しく抱きしめる。


「ルカ、自分を責めないで。

怖かったのに、必死に走ってくれた。

私も昔は怖くて動けなかったことがあった。

だから分かるよ。


君は本当に頑張った。

私は君を尊敬するよ

助けてくれて、ありがとう・・・」


頭をなでつつそう落ち着かせるように優しく話しかけた。

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