表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
36/50

村へ広がる一歩

絵文字板が完成した翌日は

仕事を再開していた。


私とルカはサウロさん、

シオンさんと共に森へ向かい、

メリイも鍛錬と薬草採取、

それにルカの護衛を兼ねて森へ向かっていた。


最近のメリイはソエル以外の子供にも

優しく接するようになっていた。


作業場ではソエルとマローネさんが

小物作りと集会所の一部壊れた椅子の

代替品の準備をしていた。


数日間いつもの作業を繰り返した。


行商の日も近づき、

村中がどこか慌ただしくなっている感じがする。


そんな休みの日に、

ルカとソエルと私は再びセリアさん宅へ向かっていた。


セリアさんの家の前まで来て

ノックをするとセリアさんが出てきてくれた。


中へ案内されると、

アニスさんが居た。


私は不思議に思いながら

二人に挨拶をして席に着いて、

話を始める。


「事前にお話ししていた通り、

新しい文字板を受け取りに来たのですが…

どうしてアニスさんまで?」


セリア「私の話を聞いたアニスが

どうしてもミノリさんと直接話がしたいんだって。」


アニス「ミノリ君…」


ちょっと怒ったような顔で呼ばれた…


「なんでしょうか?アニスさん」


アニス「何で、絵文字板みたいな面白そうなことを、

商店をしている私ではなく、セリアに相談したの?」


それを聞いて戸惑った私は、とりあえず正直に答えた。


「えっと…村長さんのお手伝いをしていることは知っていたので、

それなら文字も書けるのではないかと思ったんですが…」


アニス「文字なら私も書けるわよ!

貴方も前の交易の時に見たでしょ?」


「ええ、マローネさんと一緒に並べていましたね。」


アニス「だったら何故、私じゃなくセリアなのよ!?」


「えっと…いずれ村の子供と作ったりして

各家庭に配ることになるので、

それならセリアさんに相談したほうが

村長にも話が行くので、

個別で対応しないで済むかなと…」


アニス「…それなら納得するわ。

でも今度からは私にも関わらせて。

これは行商の交易品にも使えるわ!

こういう新しい文化は、

外の村でも絶対に需要が出るのよ。

これ、すごくいいアイデアだわ。」


それを聞いて何となく察した。

……なるほど。

商人として放っておけなかったんだ。


「すいません。まだ出来上がってもいないのに

交易品の準備などで忙しいと思い、

後回しにしました。

申し訳ありません。」


そう言って頭を下げた。

するとアニスさんは、

慌てたように表情を和らげた。


アニス「ちょっと。頭を上げて。

別に怒ってるわけじゃないのよ?」


それを聞いて今まで黙っていた子供達が反応する


「え?怒ってたよ?」

「ミノリにいをいじめるな!」


と子供二人に詰められて慌てている。

私は早く話を進めたいので、

子供二人に声をかける。


「ルカ、ソエル。

アニスさんは怒ったんじゃなくて

村のための商売になるという事を

教えてくれてるんだよ。

気持ちは嬉しいけど落ち着こうね。」


そういって二人の頭を撫でて、なだめた。


アニス「ずるいわこんなにかわいい子達に好かれるなんて

羨ましい…」


「えっと…話を続けても?」


アニス「こほん!

今後は私も仲間に入れてもらうから。」


「絵文字板はルカとソエルの作品です。

そういうお話しならルカとソエルにお願いします。」


それを聞いて何か察したのか今度はルカとソエルに

話しかけた。


アニス「ルカ君。ソエルちゃん。

絵文字板の事なんだけど、

私も関わらせてほしいの。

交易時の交渉を私に任せてくれないかな?」


ルカ「ソエル、どうする?」


ソエル「私は作るのが好き。

あとはどっちでもいいよ。

ルカが決めて。」


ルカ「僕もみんなと遊べるなら

どっちでも良いんだよね。

じゃあお願いする?」


と二人で相談している。

そして結論が出た。


ルカ「えっと交換するのはお願いします。

でも僕たちが作ったり

遊ぶのは出来るようにしてほしいです。」


とルカが伝える。


それを聞いたアニスさんは感心したような表情で、


アニス「もちろんよ。私がする事は

大人の交渉、商人との話だけ。

難しい事は私がするから、

安心して任せて頂戴。


それと絵文字板を作るのを

あと木工場の二軒にも

お願いしようと思うの。

それも認めてくれるかな?」


二人は顔を合わせて意思を確かめて


「「良いよ」」


そう笑顔で答えた。


アニス「許可をもらったから先に聞いておくわね。

貴方たちが対価、

交換する物は何を求めるかなんだけど、

何か欲しいものはある?」


再び二人で相談を始めた。


ソエル「ルカ、なにかある?」


ルカ「ボクは斧とかナイフかな。

お父さんと一緒に使う事が多いから。」


ソエル「それなら私は木工細工用の道具かも。

後は冬用の服とか?」


ルカ「あ!

冬になったら寒いもんね。

冬服と交換出来たら良いかも。

凄いよソエル!

それ貰えるなら十分だよね!」


ソエル「うん、皆で暖かくなる!

冬も大丈夫になるよ?」


ルカ「うん、そうしよう!」


それを聞いていたアニスさんが

考えをまとめてくれた。


アニス「それじゃあ、二人は冬服を優先で

出来れば木工に必要な道具類って事でもいい?」


「「はい!」」


アニス「わかったわ。

私もそれを交渉条件にして

話を進めるわ。

ありがとうね。

ルカ君、ソエルちゃん。」


二人は目を合わせて息を合わせたように


「「おねがいします!!」」


と元気に返事をした。

私は「良かったね」と二人に声をかけ

改めてセリアさんに話しかける。


「お時間を取らせてしまって、すみません。

新しい文字板を受け取りたいです。」


セリア「良いのよ。アニスって商売の事になると

煩くなるから、こうなるのは分かっていたもの。

ミノリさんが気にする事は無いわ。」


何か言いたそうな様子ではあったけれど、

アニスさんは口を挟もうとはしなかった。


「実は受け取るついでに絵文字板の作成を

木工の方々に回してほしいと

お願いするつもりでした。

でも必要はなくなりましたね。

アニスさんが来てくれたのは

幸運でしたよ。

一気に話が進んでまとまりましたから。」


とアニスさんにお礼を伝える。

それが意外だったのか

ちょっと驚きつつも

うなずいてくれた。


「それで交換の品なんですけど、

もし可能なら他のご家庭の分も、

お願いできれば有難いです。

私のほうでもちょっと考えがありますけど、

交換する手段は多い方が良いですから。」


セリア「あなたの考えている交換品?」


「はい。実は木吊り台の報酬で

鉄をお願いしたんですけど、

私が石工の人でも鉄を加工できると

自分の知識だけで判断してしまいました。

このまま鉄を手に入れても、

うまく運用出来ないのではと。


一応少しは村のために残しますけど、

それ以外の鉄が余るようなら

その分を冬用の服や鉄製の農具などで、

交換出来れば良いかなと。

私の軽い考えでガラムさんには迷惑をかけそうですが

私の方からお伝えしてお願いしますので、

その後、うまくいった際の服などの分配は

お願いしたいと思っています。」


セリア「なるほどね…分配の件は引き受けるわ。

木吊り台の事は聞いているけど、

あなた個人でほしいものはないの?」


「私はもう、十分すぎるくらいのものを手に入れていますから。」


そういってルカとソエルを見て笑顔を向ける。

ルカとソエルも笑顔を返してくれる。


セリア「わかったわ。

ならその辺はアニスと一緒に動くわね。

ミノリさんから無償で配るのは村としても良くないからね。

その辺はアニスと私が動けば安心出来ると思うわ。」


アニス「ええ。任されたわ。」


「ありがとうございます。」


セリア「それじゃあこれ。名前と動物の絵も添えておいたから

文字が読めなくても分かるようにしておいたから、

貴方もしっかり覚えなさい。」


「ありがとうございます。

ルカとソエルと一緒に私も覚えます。」


そういって頭を下げた。


「それでは私たちはこれで。

ありがとうございました。」


と最後に挨拶をすると、

子供達もお礼を言って

セリアさん宅を後にした。


「予想以上に長引いちゃったね。

二人ともつかれてない?」


「ぼくは平気。」


「私も平気だよ。」


と元気に返してくれる。


絵文字板。

村の皆に広まると良いね。


三人で絵文字板の話をしながら

家路についた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ